見出し画像

パイオニア環境分析のつもり(6/27~7/6)M21とはいったい……うごごご!

■はじめに

 こんばんは。先週もお知らせした通り、M21の加入によるパイオニアの環境変化はほとんどありません。そもそも大会結果自体、ほぼ更新がない状態のため、なんともコメントがし難い状態です。メタ分布も大きく変わっていません。

 とはいえ更新を心待ちにしている方もいらっしゃるのかも、と思いますので、今回はM21からの新戦力を得たデッキのリストを紹介したいと思います。なるほどその手があったか、と納得することしきりです。ただし、複数入賞しているアーキタイプは稀ですので、たまたま勝ったという可能性も十分にあります。ご利用は計画的に。


■注目デッキ1:スゥルタイドレッジ

mccloudbro (3-2)
pioneer preliminary 12174807 on 07/01/2020
 
creature (28)
2《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》
2《憑依された死体/Haunted Dead》
4《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
4《銀打ちのグール/Silversmote Ghoul》
4《縫い師への供給者/Stitcher's Supplier》
4《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》
 
sorcery (8)
4《這い寄る恐怖/Creeping Chill》
4《群れの結集/Gather the Pack》
 
instant (4)
4《忌まわしい回収/Grisly Salvage》
 
land (20)
4《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
4《植物の聖域/Botanical Sanctum》
4《繁殖池/Breeding Pool》
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard (15)
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
2《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》
3《減衰球/Damping Sphere》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
4《思考囲い/Thoughtseize》

 パイオニアでは黎明期から存在しつつも、その存在自体を闇に葬られたような存在感の「ドレッジ」です。《魂剥ぎ》が活躍していたころから墓地対策が厳しい環境なので、仕方ないのですが……。

 とはいえ、今回新たに《銀打ちのグール》という新戦力が加わり、デッキが一気に引き締まりました。

 切削呪文などで《這い寄る恐怖》が誘発したり、《ウーロ》を唱えたりすると3点のライフが得られ、《銀打ちのグール》が誘発し戦場に戻ってきます。その後、それに反応して次の終了ステップに《秘蔵の集合体》が戦場に戻ってきます。《銀打ちのグール》は任意のタイミングで墓地に行く能力が備わっていて、誘発タイミングに合わせて墓地に送り込む、という柔軟な運用ができます。

 見た目より打点が高く横並びのスピードも速いですし、何より回していて楽しいデッキに仕上がっています。ぜひ一度お試しください。試す際は、《漁る軟泥》に十分ご注意を!

■注目デッキ2:アゾリウススピリット

PHILL_HELLMUTH (7TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12174835 ON 06/27/2020
 
creature (32)
4《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》
4《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
2《無私の霊魂/Selfless Spirit》
4《鎖鳴らし/Rattlechains》
4《至高の幻影/Supreme Phantom》
2《鎖霊/Shacklegeist》
4《ネベルガストの伝令/Nebelgast Herald》
4《呪文捕らえ/Spell Queller》
4《天穹の鷲/Empyrean Eagle》
 
instant (6)
4《高尚な否定/Lofty Denial》
2《翼の結集/Rally of Wings》
 
land (22)
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
6《島/Island》
4《平地/Plains》
4《港町/Port Town》
 
sideboard (15)
4《不可解な終焉/Baffling End》
2《亡霊招き/Beckon Apparition》
3《減衰球/Damping Sphere》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《絹包み/Silkwrap》

 別に部族推しでもなんでもないM21から有用パーツを手に入れたスピリット。原根健太選手が使用してプロツアー名古屋を優勝した「《集合した中隊》型バントスピリット」ではなく、青白2色のバージョンが最近の主流です。

 新たに得た新戦力は《鎖霊》2マナ域のパワー2、タフネス2はこのカードだけで、ブロック制限はあるものの追加のタッパーとしての機能も持ち、先手・後手ともに頼りになる基礎戦力です。

 しかし、一番の強化は《高尚な否定》。このデッキではほぼ《マナ漏出》感覚で扱え、ゲームスピードの速いパイオニアでの性能はハードカウンター並。コンボデッキがTier1のパイオニアでは輝く1枚です。特に、《睡蓮の原野》1回では届かない4マナを要求するため、ロータスブリーチに対しては非常に有効です。

 反面、ボロスアグロや黒単アグロといった1マナ域を多く擁するデッキの苦手は《集合した中隊》型より顕著になっていますので、より繊細なプランが求められます。使い手の腕が如実に出るデッキなので、腕に自信のある方は是非お試しあれ。

■注目デッキ3:シミック《荒野の再生》

TALOS41 (14TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12174835 ON 06/27/2020
 
creature (5)
2《厚かましい借り手/Brazen Borrower》
3《奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk》
 
instant (22)
4《検閲/Censor》
4《成長のらせん/Growth Spiral》
4《中和/Neutralize》
4《選択/Opt》
3《崇高な天啓/Sublime Epiphany》
3《時を越えた探索/Dig Through Time》
 
enchantment (8)
4《サメ台風/Shark Typhoon》
4《荒野の再生/Wilderness Reclamation》
 
land (25)
2《爆発域/Blast Zone》
4《繁殖池/Breeding Pool》
3《ヴァントレス城/Castle Vantress》
1《森/Forest》
4《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
7《島/Island》
4《神秘の神殿/Temple of Mystery》
 
sideboard (15)
4《霊気の疾風/Aether Gust》
4《ジェイスの敗北/Jace's Defeat》
3《神秘の論争/Mystical Dispute》
4《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》

 パイオニアではロータスブリーチというマナ加速系コンボデッキが既にあるため、《荒野の再生》自体は下火ですが、M21で登場した「令和のクリコマ」こと《崇高な天啓》を使用するデッキとして登場したのがこのシミック《荒野の再生》です。

 基本的な動きはスタンダードのそれと変わりませんが、インスタントタイミングの動きに拘り《ウーロ》は不採用。打ち消しを多めに積み土地を並べながら《荒野の再生》を設置、《サメ台風》のトークンでフィニッシュします。

 《崇高な天啓》は重いものの様々な働きを見せ、最終的には《奔流の機械巨人》のコピー生成から連打することで致死量のクロックを生み出すことも可能です。《奔流の機械巨人》自体はいわずもがな《時を超えた探索》との相性が非常によいため、一度《探索》さえ通してしまえば勝ちも近いでしょう。

 サイドボードにはスタンダード同様《夜群れの伏兵》の姿が。パイオニアでは4/4というサイズ自体が強力なのでサイズ負けがほとんどなく、《致命的な一押し》《取り除き》が基本除去なので意外と除去するのに手を焼く、という環境の背景も追い風です。

 コントロールは《ヨーリオン》の独壇場ですが、たまにはこういったデッキも悪くないのでは。

■注目デッキ4:4色ケシス・コンボ

TRAFT (27TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12174835 ON 06/27/2020
 
planeswalker (6)
1《神秘を操る者、ジェイス/Jace, Wielder of Mysteries》
2《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》
3《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
 
creature (24)
4《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4《精励する発掘者/Diligent Excavator》
2《尊敬される語り手、ニアンビ/Niambi, Esteemed Speaker》
4《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》
1《トレイリアの大魔導師、バリン/Barrin, Tolarian Archmage》
2《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
4《隠された手、ケシス/Kethis, the Hidden Hand》
3《万面相、ラザーヴ/Lazav, the Multifarious》
 
artifact (9)
4《モックス・アンバー/Mox Amber》
3《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
2《願い爪のタリスマン/Wishclaw Talisman》
 
land (21)
2《花盛りの湿地/Blooming Marsh》
3《植物の聖域/Botanical Sanctum》
1《繁殖池/Breeding Pool》
3《秘密の中庭/Concealed Courtyard》
1《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《マナの合流点/Mana Confluence》
1《産業の塔/Spire of Industry》
2《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
sideboard (15)
2《突然の衰微/Abrupt Decay》
1《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
3《致命的な一押し/Fatal Push》
2《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》
2《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》
3《思考囲い/Thoughtseize》
2《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》

 先日紹介したパイオニアのケシス・コンボ。今回、新たなパーツを得て微強化されています。

 1枚目は《尊敬される語り手、ニアンビ》。キーカードを狙い撃ちしてくる《軍団の最期》などの除去から《精励する発掘者》他キーカードを守ったり、ライフを得られる基本能力で延命をしたり、手札に伝説のクリーチャーを戻してコンボの息切れを防いだり、手札を補充したり、と八面六臂の活躍を見せます。地味に《夢の巣のルールス》から飛び出してくる点も見逃せません。

 《トレイリアの魔術師、バリン》も同様ですが、相手の邪魔なPW(=《覆いを割く者、ナーセット》)を戻すこともでき融通が効きます。自分のパーマネントを手札に戻すことでリソース回復ができるため《時を解す者、テフェリー》と組み合わせると本領を発揮します。

 先程のドレッジもそうですが、ロータスブリーチ対策に《減衰球》が流行っており、墓地対策が薄めです。その間にこうしたデッキを握っておくのは賢い選択肢ですね。


■終わりに

 というわけで日本時間では7/14(火)、パイオニアに禁止改訂が行われるようです。本命はディミーアインバーターの主要パーツ、おそらく《真実を覆すもの》または《時を超えた探索》ではないか、と言われています。また《ニッサの誓い》の禁止解除を希望する声もちらほらあります。とにかく、座して発表を待ちましょう。

 なお、日本に限らず世界中で「間を持たせるぐらいならとっとと禁止しろ」という声が多数です。本日から禁止改定までの間、おそらく本稿の原資となるPioneer PreliminaryやPioneer Challengeも参加者は少数となり、有益なデータは取れなくなるでしょう。というわけで、しばらくは「気になったデッキを紹介する」という今回のスタイルを踏襲したいと思います。

 他に気になった海外記事や気になったデッキなど、取り上げてほしい内容があればコメント、Twitter(@tokeimawari)等でお知らせください! よろしくお願いします。

原則、全記事全文無料で公開していますが、モチベーション維持や更新頻度の向上、家族サービス費用、コンテンツ精度の確保等のため、あなたからのサポートを随時お待ちしております。たとえ少しずつでもご支援いただければ、これほど嬉しいことはありません。よろしくお願いします!