Tomorrowland Around The World
ベルギーで毎年行われるEDMの祭典Tomorrowlandが先週末開催された。
ただし、今年の開催地はパーピリオネム。
デジタル技術が創り上げた絶海の孤島だ。
これまでずっと憧れでしかなかった巨大フェスにリアルタイムで参加できるのは単純に嬉しかった。
オンラインフェスという、おそらくアーティストのプレイ映像をそのまま流すだけであろう形態だとしても。
2日間+2週間のアーカイブ付きで日本円で2,500円。
そんな安価な金額で従来と変わらないボリュームのライブセットが楽しめるならそれで充分だと思っていた。
今となっては、そんな諦めにも似た気持ちで待っていたことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
現地開催を諦めざるを得なかった運営側のプライドがそんな中途半端さを許すわけがなかった。
当日、画面に映し出された絶海の孤島には見事なステージが8箇所も散りばめられていた。
圧倒的な舞台装飾、溢れかえるほどのライティング、アーティストのプレイもオンラインの物足りなさを微塵も感じさせない。
そして何より凄かったのはオーディエンスだ。
何万人ものオーディエンスが何の違和感もなく映し出されている。
これまで見たことのある『CGが作り上げたオーディエンス』は同じようなシルエットの同じような動きをする不自然な群像だった。
単一的なパターンを持った集合体は、むしろ興醒めの材料でしかない。
今回のTomorrowlandにはそれがなかった。
多種多様なシルエット・行動。そして何より驚いたのはそのオーディエンス達の声だ。
歓声を上げるし、クラップもする、合唱し始めた時には鳥肌が立った。そしてなんと雑談までするのだ。
そこには、私がこれまで経験してきた『生の現場』があった。
メーキングを観ていないのでどうやって創られたのかはわからない。(そもそもあるのかな?)
あまりに自分の想定を超えた状況に、フルCGって勘違いだったのかな、と何の成果も出ない検索を繰り返したりもした。
他の人が同じように興奮を感じるかはわからない。
スピーカーから浴びせられる音の振動が無いなんて、やっぱりただの映像だと思うかもしれない。
ちなみに、私もあの振動が大好きな人間です。
でも、今回の体験で、私にとってはオーディエンスの存在も同じくらい大切な要素だと気付かされた。
見ず知らずの大勢の人達と、同じ音楽が好きという共通点だけで創り上げる幸せに満たされた空間と時間。
他のオンラインフェス(ライブ)で拭えなかった物寂しさの正体を教えてもらった。
画面の中の、そして画面の向こう側の全ての人達に最大級の感謝を。
この先、あれを超える感動に出会えるんだろうか。
出会えたらいいなぁ。
あと1週間ちょっと、パーピリオネムでヴァカンスしてきますね。帰ってこれるかな…。
【追記】
あったあったあった!裏側の記事あった!
https://iflyer.tv/article/2020/08/01/tomorrowland-around-the-world-numbers/
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