見出し画像

【雑記】吉野家と長谷川家と~Loveletter from 彼方改め東北

吉野家が好きだ。

ここからの文章には「私は吉野家が好きです」以外何も書かれていない。好きを表現するのは非常に難しい。結局のところ、この文章は溢れ出てしまう気持ちを表現した深夜に書いたラブレターのようなものである。

思い返せば、その存在を知ったのは「へのつっぱりのいらない」超人王子がアニメで「牛丼一筋300年~♪」と歌っているのを見た時だった。どうやら、その牛丼は吉野家がモデルとなっているらしいと知り、山形で鼻を垂らしながらファミコンに勤しんでいた私は、ぼんやりと思った「吉野家の牛丼、食べてみたいな…」と。

しかし近隣に吉野家はなく、親に牛丼をせがんでみたが食卓にあがったのは何故か卵とじの牛丼だった…。今思えば、すき焼きか何かの残りで作ってくれたのだろう。美味しかったが、あの王子が食べている牛丼ではないことに、これではGO!GO!マッスル!できないことに少しがっかりしたのを今でも覚えている。

そして時は流れ、自宅の近くに吉野家がないままの私は、仙台の予備校に電車通学をし始めるようになり、ついにファースト「吉野家」との邂逅を果たす。

忘れもしないマイファースト吉野家は、今でもたまに利用する吉野家仙台駅西口店。予備校の昼休み。ビジネスマン(男性客が多かったため、敢えてマン)やら旅行客でごった返す店内。まず驚いたのは、その回転の速さと提供スピードだった。

テンポよく吸い込まれていく行列客の流れに乗り着席。並盛注文。周囲の客がガツガツと牛丼をかきこむ姿を眺めるも刹那、目の前にはもう自分の牛丼が着丼…。嗚呼、本当に「はやい」んだと感動。

立ち上る湯気と、どこか懐かしいような和を感じるあのツユの香り。丼に手をかけるとプルンと揺れる薄くスライスされた牛肉たち。そう言えば、歴史の授業で日本の牛鍋について熱く語ってくれた先生がいたことをフと思い出す。隣の客にならい紅ショウガを乗せてみる。よし、食べるぞ。

次にきた感動は「うまい」だった。

色々な牛丼を経験した今だからこそ分かるが、圧倒的に吉野家のツユが個人的にストライクだったのだ。甘味が強くなく牛の油がしっかりと染み渡った塩味のきいたツユと牛、米、玉ねぎが混然一体となり口の中でGO!GO!マッスル!する。空腹だった胃袋に吉野家味がじんわりと広がっていく幸福感。手に持った丼に口をつけてかきこむのは、親に「はしたない」と言われた気もするが、気がつけばガツガツとかきこんでいた…。

そして「やすい」

今思えば、予備校の授業料から定期代、そして毎日の昼食代まで親に払ってもらっていたことは感謝しかないが、当時の私は1日分の自由に使えるお金をいかに満足いくように使い切るかに執心していた。

当時牛丼並盛400円(今と変わらないことに驚く)。1日に割り当てられる自由に使えるお金は1,000円。間食や授業後のゲームセンター代(え?)も考えるとラーメンは微妙に高い。そこに吉野家である。牛というパワーフードを食べても400円。何であれば当時、みそ汁と生卵をつけても500円ポッキリだった。

まさに、あの超人王子が歌っていたように「はやい、やすい、うまい」だった。

吉野家が好きだ。

その気持ちは、あの「牛丼戦争」の時に確信へと変わった。牛丼チェーン店がこぞって料金を値下げし、メディアが「牛丼戦争」なる言葉で揶揄したあの当時。並盛が280円。一人暮らしをしていた新人営業マンだった私は「昼と夜に牛丼並盛で済ませれば、食費めっちゃ浮くじゃん」と吉野家を食べ続けた。

先輩や周囲の人から「飽きないのか?」と聞かれて気がついた。あれ?全然飽きてない。むしろ毎食美味しくいただけていたのだ。私が食に保守的なせいもあるのかもしれないが、飽きない

これは、本当に好きなのだ、と

その後、今に至るまで私の人生には吉野家が寄り添ってくれている。

昨今SNSで「サイゼリアで喜ぶ彼女」が物議をかもしているのを知り、矢も楯もたまらず筆を走らせてしまった。

チェーン店であろうと何だろうと、飲食店とは、食と様々な人の人生や想いが交差する素敵な場所である。そして、それは価格の高低で価値が判断されるべきものではない。

サイゼリア問題、様々な意見を見て思ったのだが、批判している方は、きっと「高級店に連れていかれた」イコール「大事にされている度が価格と同じように高い」という判断基準なんだろう。そういった方は、吉野家への熱い想いを抱く私が吉野家へ誘ったとしても、「安いチェーン店に誘うクソオヤジ」と一刀両断されてしまうのだろう。騒動を見て、少し哀しくなった私である。

そんな吉野家へのラブレター。そろそろ終わりにしたいと思う。さて、今日は吉野家で何を食べようか!(最近も毎日食べている理由は後日書こうと思います)

最後に、吉野家へのラブレターを書いていて思い出した懐かしの2ch吉野家ネタとラブレターの参考にした風のように永田さん(現在はほぼ日刊イトイ新聞の乗組員の永田泰大さん)の伝説の名文ゲームレビューを張っておきますね。私は未だにこの永田さんのゲームレビューを超えるレビューを読んだことがありません。

(´・ω・`) /ハッテオキマスネ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?