競馬連載3

【ラジオNIKKEI賞2019】回顧「膨れる検索ワード」

「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。


「3歳限定、ハンデ戦、福島、芝1800m、不良馬場」
〜膨れる検索ワード、訪れる混沌〜
2019/6/30(日)3歳OP、GⅢ、芝1800m (右)


 ダディーズマインドとアドマヤスコールから穴を狙った人がゴール前で悲鳴をあげたレースだった。前者は自分の形が決まった馬なので、穴は前からという主義の方には絶好の狙いであり、後者は不気味な横山典弘騎手への乗り替わり、青葉賞9着を除けばこのメンバーなら通用する力がある馬だった。結果はお互い鼻面合わせてゴールも4、5着。
 
 上位はブレイキングドーン、マイネルサーパス、ゴータイミングで決まった。
 終わってみれば、簡単じゃんという典型だった。
 
 朝から降り続いた雨の影響で当日の馬場は不良馬場。古馬のレース、たとえば中京のCBC賞はレッドアンシェル(1着)、セイウンコウセイ(3着)と明らかな道悪巧者が結果を出したように道悪の巧拙は戦歴からある程度みえてくるもの。ところが、3歳限定、それもハンデ戦のラジオNIKKEI賞となれば、道悪経験に乏しく、巧拙なんて分かったもんじゃない。そもそも現3歳世代がデビューした昨夏から今春は雨が少なく、関東圏は道悪競馬なんて数を数えるほどしかなかった。
 
 加えて、3歳限定のハンデ戦。そして、舞台は福島。基本的に荒れることしか考えられないような舞台設定だった。
 
 競馬は個性のぶつかり合いだが、そこに舞台設定というヤツが加わるから、格段に面白い。これがドーム競馬場なんてできちゃって、通年同じような芝状態を維持できますなんて言われたら、競馬、やめちゃうかも。
 
 だから、こうしたややこしい舞台設定に道悪が加わり、多くの人が思考停止に陥ったのではなかろうかと。競馬新聞の印もメイン馬柱に◎が2個以上つく馬はおらず(日刊競馬調べ)、どこからだって入れる組み合わせに興奮した穴屋が多かったでしょう。

 というのも3歳限定とかハンデ戦とかという要素を振り払って、シンプルに福島競馬場、芝1800m、不良馬場のGIIIとだけ打ち込んで解析をかければ、的中できたという。

 出走馬中、芝の重馬場以上で実績があったのは重の弥生賞3着のブレイキングドーンと重の新馬戦で差して上がり最速を記録したゴータイミングが1、3着。それ以外に重以上で結果を出した馬がいなかったわけで、CBC賞ともに不良馬場を重視すればよかったと。
 2着マイネルサーパスは同舞台の2歳500万下きんもくせい特別をレコード勝ち、芝1800mは2勝3着1回で馬券圏外なし。
 

 終わってみればという感じだが、終わってみてからの反省も大事なわけで、ラジオNIKKEI賞に関しては馬券を買う側が勝手に打ち込むワードが増やしすぎて、混乱した結果……。

 ……なんでも検索できる便利な世の中だが、かえって検索ワードが膨大になり、データの精密さを欠くこともある。どの検索ワードを使い、どんな視点から絞り込むのか。ラジオNIKKEI賞はそんなセンスを試される時代を象徴する一戦だった。

・・・


 編集部Kの所属する東邦出版では、毎月様々な書籍を出版!
 競馬、プロレス、サッカー、右脳ドリル……多種多様なタイトルの詳しい内容は下記tumblarよりご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?