コロナ罹患第二次報告

 私事ですが、体が回復するにつれて忘れていくことも多かったので追加で書きました。第1次報告では書ききれなかった事を主にしています。第1次読んでいない人は第1次報告をみてからの方が良いでしょう。前回と同じく、今回も筆者の体験としてこれを残すので、罹った人はこれを参考にしないで速やかに保健所に連絡することをお勧めします。

2. 体感としてのコロナ

  ここでは、1章のタイムラインでは触れられなかった個別症状の様相について、あくまで私本人の感想という形で記述する。コロナの症状は、例え同じ感染経路上に位置していたとしても個人差があり、例えば私の様に嗅覚を失調する人間もいれば、母のように中等症に達しながらそうした症状を発現しなかった人間もいる。本稿においても、あくまで個人の体験という形で症状の体感を述べるため、読者諸兄におかれてはこの点ご了承願いたい。

2-1咳と喉

 空咳は発熱と同時に起こり、発熱から3日目の5月6日には大きな乾咳をするほどになった。「ゼッコゼッコ」を1セットで3回やってもまだ出るくらいのものが8から10日間程度続き、特に通話や就寝する際には大変煩わしかった。また後遺症として15日まで同様の咳が続いたが、私は検査陽性→自宅→一日一回の療養者センター(私が住んでる地区の対応)との電話→自宅療養終了無罪放免というルートだったので「自宅療養は終わったけれども医者には診てもらってないし、自分の体の中で何か起こっているんじゃないのか」という不安感と焦燥感が咳で煽られ、ある意味ではこっちの方がキツかった。
 喉の症状では特に痰の絡みが印象的である。たまに喉奥で絡み、咳と共に呼吸を圧迫してきてこれも大変煩わしかった。ひどいときは喉を塞いでくるためえづくなどする事があった。
5月22日現在では全体的にこれらの症状は改善し、咳類がたまに軽く出るのみとなっている。

2-2嗅覚異常

 嗅覚以上は私に起こった症状の中で最も深刻かつ期間の長い症状である。6日に失われた嗅覚は22日現在でも完全回復とはなっておらず、嗅覚による状況把握が極めて難しい状況が続いている。
 嗅覚が失われたとき、私は微熱との合併症で鼻詰まりを起こしており、元から嗅覚が聞きづらい状況だった。そのまま鼻水をつまらせた時の感覚が鼻をかんでも持続し、ついには鼻の穴は通っているのにどこに行っても鼻詰まりの匂いがするという有様になった。確認できる限りで匂いらしきものが復活し始めたのが5月10日で、それもコーヒー粉の容器に3cmくらいまで鼻を近づけ、コーヒーと認識した状態で嗅ぐと確かに記憶の中のコーヒーの香りと一致するものがある、という程度である。以降、ある程度意識しないと匂いや香りを感じることが出来ない。以前の様な、スープのある場所に近づくとスープがあると匂いで認識するとか、公衆トイレを見ていないけど匂いでこの辺に臭いものがあるなというような、いわば”匂いによる空間認識”みたいなものは未だ欠けた状態になっている。コロナ前は一日のうち必ずコーヒーか紅茶を飲んでいたが、風味の類を感知する能力が大幅に落ちているので明白に消費量は減っているように感じる。
 (6月3日加筆修正)
 コーヒー・紅茶の消費量は嗅覚の回復に伴ってコロナ前の水準に回復した。深刻なのは記憶の方である。コロナ前の嗅覚感覚がどのようなものであったのか勿論私は記録などしてこなかったので、コロナ以前にどのように匂いを感知していたのか最早完璧に思い出すことは難しくなっている。

2-3食欲減退 消化異常

 食欲の減退は3日の発熱から5日、6日に至るまで続き、長期的にみれば油ものや肉類の摂取は29日現在でも回復できていない。どうやら胃や腸に大幅な異常をきたしているらしく、発症直後は固形物の摂取自体が苦痛だった。茶漬けやスポーツ飲料、保健所からのウィダーインゼリー、また少量の固形物摂取など、体に栄養を入れるための各種試みによって、どうにか5月13日にはコンビニの弁当程度は食べられるように回復した。ただ、毎回食事の際に腹痛が走ってトイレに向かったことや、嗅覚の失調、自宅療養に伴う食事の自由の損失(買いだめしていた食料でなんとかしなければならなかった)は、食事そのものへの意欲や気力を大きく削いだ。
 消化不良は、いわゆる下痢として発熱直後から表れた。当初はそもそも食べるもの自体が量も少なく、液体が大半だったので特に困るような事は無かったが、回復の兆しが見えた7日前後から固形物を摂取するようになったため、視覚と感覚に大きなダメージを与えることになった。腹痛のタイミングも悪いことに、食事開始3分後とかであったため、前述したようにとてつもなくものを食べる気が削がれたのである。
 経過報告として5月20日以降のことを付け加えると、胃薬系統の投与で少しづつ油ものなどを食べられるようにはなっている。ただ、消化系統の完全な復活(例えば家系ラーメン屋で中を頼んでさらにライスを付けるというようなスタイルがコロナ前では当たり前だった)には至らず、胃腸の調子次第では昼食や夜食をカットすることもしばしばである。少なくともコロナ前にインフルで体を煩わせている身から言えば、このように食生活に大きなダメージを与える病気はコロナが初めてだと言えるだろう。

2-4 小括

 5月3日にこの項目を書いているが、未だに疲労や走ったあと、ふとした瞬間に咳が出る。嗅覚については失調によってコロナの後と前の感覚が正しく繋がっているか理解出来ていない。食生活は以前の様に奔放とはいかなくなった。少なくとも、私のような軽症患者でも本調子に戻るのに一ヶ月以上かかることを考えると、中等症・重症の予後が思いやられる。ただただ平穏が戻ることを願うばかりである。


3 補足:自宅療養に必要なものとは

 最後に、これから罹患する予定の読者(そんな人間はいないと思うが)や罹患に備えたい読者のために自宅療養、あるいはコロナ初期に重要だった物品を述べていく。
 体温計とパルスオキシメーターは自身の体調管理・ベンチマークとして、また罹患者の精神安定剤として欠かせないものである。特にパルスオキシメーターで計る酸素飽和度は罹患の症状目安を端的に示してくれるため、通常は自宅療養者に保健所から貸与されるが、自身がコロナに罹っているかどうかが気になる人は買っておいたほうが良いだろう。即応性の観点から1人1個が望ましい。また、PCR→自宅療養→自宅療養解除という手順を踏んだ人間は、予後の体調が悪い時に数値を計れるという意味でパルスオキシメーターが精神安定剤となる(少なくとも私はそうだった)。体温計が家にないということは考えにくいが、ない場合はすぐに結果が出るものを買うことが望ましい。保健所への電話を行う間に計って伝える事ができればなお良い。
 下痢・発熱で体の水分がかなり早く失われていくため、通常の風邪に対応するのと同等かそれ以上の水分を集積する必要がある。私は毎晩2Lのポカリスエットを消費することで最初の1週間を乗り切った。一箱、ないし二箱が発熱時に存在していると注文(発熱時は玄関の外に置かれた箱を取りに行くことすら重荷となる)する手間が省ける。また何も食べたくないが確実に何か食べたほうがよいと言う場合に備えて、こんにゃくゼリーでもウィダーインゼリーでも良いのでゼリー状の流動食を買っておくと良い。保健所からの物資に含まれている可能性もあるが、数を期待できるかは自治体によって異なる。私の区の場合、保健所からは以下の物資が支給された。
ティッシュボックス×1
トイレットペーパー×2
ポカリスエット(500ml)×2
ウィダーインゼリー×3
自宅療養の手引と生活上の留意点を書いたチラシ×2

画像1

写真1:支援物資開封の儀。ウィダーインゼリーは即刻1本使ったので2本になっている。5月6日22時筆者撮影。

これだけで自宅療養を乗り切る事はおそらく無理なので、自治体からの支援物資は額面通り”支援”として活用する覚悟が必要である。
 備蓄食料は、胃袋が弱る点と料理に対する労力が避けない点を考慮して選ぶと良い。順調に行けば10日程度で解除となるため、備蓄の目安はその日数を念頭に決めるべきである。
 最後に、購入や整備が必要な問題ではないが、携帯電話の充電環境と電話(LINEとかではなく)は確保しておく必要がある。緊急搬送は勿論そうであるが、保健所や自宅療養センターとのやりとりは全て電話で行われる。人が訪問するとか、LINEでできる(これも自治体によって異なるかもしれない)という保証は全くないため、電話が常時稼働していて鳴ったら取れるようにする環境を整備することが望ましいだろう。自治体や感染状況の悪化によって電話が繋がらない(私の場合最終日だったが15分かけても待機状態ということもあった)時間が長いので、折返し電話よりは来た電話を取る体制のほうが体にも良い。
 

 「コロナはただの風邪」、そう思っていた時期が僕にもありました。軽症でもインフルとは比べ物にならんくらい生活が破壊されるので気をつけましょう。読者諸氏が無事にこの災厄を乗り切れることを祈ります。

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