見出し画像

ヒマラヤ杉のあったアパート  南平台の記憶・その1

部屋の模様替えをして、ラップトップを置いている机の位置が変わった。
座ると、窓から、近くにある松並木の何本かが見えるようになった。
ぼーっと眺めていたら、小さい頃に住んでいた社宅のベランダのガラス戸の向こうに見えていた、四本のヒマラヤ杉を思い出した。

思えばなぜ、あんな立派な木が何本も、たかが社宅アパートの敷地に植えられていたのだろう。

アパートは南向きだったのに、背の高い木にさえぎられて、ものすごく日当たりがよいベランダというわけではなかった。ただ太陽が低くなる冬には、のっぽな木の下の方にはさえぎる枝葉もなかったようで、二間続きの畳の部屋のベランダ側の部屋の奥まで日が差しこんで、ガラスの引き戸を開けていても、中はぽかぽかしていたことを思い出す。

ここに住んだのは昭和四十年台のほぼ十年間。昭和三十九年に生まれたわたしが一歳半で越してきて、物心ついたのはこの場所だ。
わたしにとっての原風景。

高い松並木の見えるこの部屋で、南平台のいろいろなことを思い出してみよう。



ヒマラヤ杉の一本が、わたしが住んでいた棟を背景に写っている。左手下には、シロクマの帽子をかぶったわたくしプラムが。引っ越してすぐの昭和41(1966)年ごろか。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?