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地域を繋ぐ『和』の音色 vol.2

──今までの演奏で、1番印象深かったイベントは何ですか?

 老人ホームに演奏に来てほしいという依頼も、何件かあったんですけど、演奏中お年寄りの方の顔が変わっていくのが分かるんですよね。
幼稚園とか1年生のちっちゃい子が出てきますからね。老人ホームに入っておられる方は、 自分からすればひ孫が演奏しているような、そういう感じで見ていたんじゃないかなと。最初はニコニコしながら見ていたけど演奏終わって帰る頃には泣いてた人もおられましてね。

(手前)岩佐良雄さん(奥)高嶋義和さん

──元々子供たちには大人何人くらいで教えていたんですか?

私たち含めて4,5人で子供たちの指導役をしていたんですけど、子供は頭が柔らかいし、やっぱり覚えが早いのでどんどん進化しますね。それに伴って指導のテンポも速くなりますし、人数もたくさん来ますから。練習時間も30分刻みで。人数が多かったときは7時から9時まで練習時間があったので大変でしたね。
7時から7時半。7時半から8時、8時から8時半、8時半から9時の4段階に分けて。最初は、低学年1、2年の下級生、次は 3年から6年まで上級生、次は中学生と分けてやっていたんです。一番多いときは40人近く子供さんが来てましたね。
当初から、下は幼稚園でもいいんですけど、上は受験があるので中学校2年までと決めているんです。

小学校低学年から入って、中学生になった頃には10曲ぐらい演奏できるようになっているんです。
小学生の頃から見た中学生の子って、すごい大きいんですよね。なので、ちっちゃい子らは上級生の子たちの演奏を見ると、音も大きいし、速いしで、 太鼓の叩き方を見てやっぱりびっくりすると思うんですよ。それで『僕らも私らも、大きくなったらあんだけできるんやな』ってなって、それが励みになっていくんだと思うんです。

そうなると、やっぱ高学年の子の存在ってすごく大きいですね。
小さい子が入って、太鼓を続けていくにあたって、一緒にやる同年齢の子たちがいるのも大事ですけど、やっぱり上級生の存在というか、目標がいるってすごく大事なことなんですよね。

だから、上級生の子は、自分たちは下の子の目標になるんじゃないかなとシャキッとしていくんだと思います。下級生の子は上の子たちをよく見ていますので。上級生の子たちがだらだらしていたら、下級生の子も一緒になってしまうのでね。礼儀や挨拶も含めてですね。

──指導ではどんなことを大事にしていらっしゃるのですか?

 挨拶、礼儀っていうんですかね。もう太鼓よりもまずはそれです。太鼓を通じて礼儀、しつけを学んでほしいですね。

入ってくる時はみんな扉を開けて『お願いします』。帰り的には練習場に向いて『ありがとうございました』。あとは玄関の靴はちゃんと並べなさいとか、やっぱりそういうところですね。

町内の人から聞いたんですけども、太鼓をする前は、学校に行くときに朝も帰りに会っても黙って通り過ぎて挨拶をしなかった子供が、太鼓をやり始めてから挨拶をするようになったんだそうです。それを聞いた時には、やってよかったなと思いましたね。

昔習ってた子で、大人になって会社に勤めて、 たまたま宴会かなんかで太鼓があって、太鼓を叩いたらすごいウケたって話は聞きましたね。
太鼓やってたっていうとちょっと珍しいというか、なかなかいないですからね。

──今まで何人の方が卒業してきたんですか

全部で89名卒業していきました。それに今いる10名。だから合計で99名です。
この卒業生で僕らを引き継ぐだっていう子がいてくれるといいんですけど。

──コロナで何年か活動をお休みしたと思うんですけど、なにか影響はありましたか?その時どうしようとか、迷われたりしたこともあるのかなと。

 3年間コロナで活動が無かった時は、正直なところ、練習しなくていいから、私たち自身はちょっと身体的には楽だったんですけど、その間にどうしても子供たちは太鼓から離れてしまうというか、太鼓にあまり興味がなくなって他のスポーツに行ってしまう子がいるんですね。でも、それはそれでいいと思うんですね。それはもう本人がやりたいと望むスポーツですから。

そのなかでも再度連絡を取ってみたら、うちもやりますよっていう子が残ってくれて、今は全員で10人で活動しています。保育園の年長さんから中学生まで来てくれています。

子供たちにとっての3年間ってすごい大きいので、入れ替わりも多いと言いますか。3年の間に、6年生ぐらいだった子が、コロナが収束した頃にはもう中学校を卒業してたって子がもう何人もいますから。

これからもイベントで声がかかれば出演したいという気持ちは変わりません。
子供達も練習していて、出演する場所があるのがわかっていれば、励みになると思いますから。

10月の町内の秋祭りが基本的に一年の最後の演奏なので、今年の活動はもう終わったんですけど、
新しい子でやりたいっていう子がいれば、その年の12月ぐらいから、その子だけを集めて、太鼓の基礎だけ教えるんです。それで、年明けて大体2~3月頃から、今までやってきた子供たちと一緒に練習してもらうんです。

最終的には保護者の方に入るかどうかを聞いて、うちに入りますとなったら、 その後に専用のバチを渡して、それをうちへ持って帰ってもらって、うちで練習してみてくださいと。今は毘沙門町だけではなくて希望してきた子はみんな受け入れているんです。

東郷地区へ海外の方来られる時ありますよね。そういう時に、毘沙門太鼓が紹介されるので、体験させて貰えないかということで、オーストラリア、アメリカ、台湾、何か国からの人が来ましたね。

──毘沙門太鼓が東郷内外を繋いでいるんですね。

太鼓とか笛とかって、やっぱり日本人としてワクワクするから、その一体感を味わってほしいですよね。





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