あぁ、ここが地獄というものか。

どうもーー!!!!プロ会社員が目の当たりにした深淵の世界を少しだけお届けするこちらのnote!!今回は「某Tバック居酒屋の話」をしたいと思う。

私は基本的に友だちの選択や意思に対して「no」を言わない。基本的に肯定のスタンスであることは以前のデート商法投資用不動産営業に片足突っ込んでしまった友人の件でも書いたかと思う。

そんなto友人超絶イエスマンな私が、過去にもう一度だけ友人に対して「それはやめたほうがいい」と言ったことがある。それが今回書く、「某Tバック居酒屋」の話。

水商売に風俗、いろんな仕事をしている人たちを当時すでに知っていたけれどそのどれもが思っていたより暗黒世界ではなかった。水商売に関して言えばわたしも片足を突っ込んでいたし。

しかしこの居酒屋だけは、こんな地獄があるんだなと唯一思った世界だった。私が知ってる中ではあそこが一番こわいで下手したら。

というわけで、そんな地獄の一部をご紹介していく。

彼女とは、大学入学直後に私が数ヶ月だけやっていたレストランのバイトで知り合った。同い年で仲良くなり、辞めてからも遊んだ。

そのレストランを辞めたあと、私も彼女もそれぞれ別の栄にある居酒屋(これは普通の居酒屋)で働き始めた。

そうこうしていくうちに私はあれよあれよと錦のほうに吸い込まれてそっちでバイトをするわけだが、彼女もどうやらそうだったようだ。少し形態は違ったのだけれど。

ある日、私がバイトを終えて帰っていると彼女に出くわした。時間にして深夜1時くらいだったのだが、どうやらこれから出勤なのだという。

わたしは、彼女はまだ普通の居酒屋で働いてると思っていたので「遅すぎない?今からバイトなの?大丈夫?」と声を掛けたところ「大丈夫!またちょっと話すわ!」と言って彼女は深夜の錦に消えていった。

彼女の働く居酒屋は朝まで営業してるような店ではなかった記憶があったので、違和感を覚えたことをおぼえている。

数日後、遊ぶ約束をした。

そして彼女は言った。「わたし、Tバック居酒屋で働いてるんだよね」と。

Tバック居酒屋を知らない人のためにめちゃくちゃ簡単に説明すると、女の子がTバック丸見えのスカート(らしき布)と胸元丸出しのトップスを纏って働いているお店でそれ以外は普通の居酒屋と変わらない。

飲食店で届け出を出してるはずなので、女の子が横に座って接客してくれたりみたいなことは建前上無い。建前上。それやってるときに警察なだれこんできたらアウトだし。

そして特筆すべきはその時給の安さである。時給はなんと1200〜1500円。色々丸見えで働いてるのに、錦の最底辺キャバクラ以下、下手したらガールズバーより低賃金という恐ろしい実態。

よくそんなところで働けるなと思ったのだが、その安さでも働く女の子がいる理由を後に痛感することとなる。

最初はたいして実情も知らなかったので、そういうところもあるんだねと話を聞いた。

しかし、少しずつ彼女が変わり始める。

結果から言うと、ホストに行くようになってしまったのである。ホスト談義を聞くたびに、頭の中でガンガンに警鐘が鳴った。

そしてそのきっかけは同じ店の子たちだと言う。

しかし、先ほども記載したとおり彼女たちの時給は知れている。どれだけ働いたとしても、仕入れ値の10倍が基準価格のホストクラブで遊べるような金額はもらえない。

……みなさん!まだ地獄の入り口にすら立っていないですよ!!これで序章がおわりです。では第二章に突入していきましょう、ここからどんどん救いがなくなっていきます!!

そこから更に話を聞いていくと、それなりの人数の子たちがどうやらホストに通っているらしかった。

たしかに当時栄の8番出口を出れば至る所にキャッチのホストがいたけれど、それについていったの?と聞くと違うのだと言う。

「ホストがうちらの店に来るんだよ」と。

その後、わたしも1度だけ彼女の働く店に行ったことがあるが正直女の子のレベルはめちゃくちゃ低い。そして周りの男性客への様子も見たが愛想もまるでない。性別が雌であれば誰でも雇ってるんだな感がすごかった。

普通に考えるとそれも納得で、若く最低限の容姿があればこんなところであんな衣装を着て働かずとも何倍もの時給をもらえるところがこの狭い錦の中にはいくらでもある。その基準に達さない子たちが安い時給で雌っ気を売らされている、そんな印象だった。

一般的に、こういう時は「女を売る」と表現するんだろうけど、ここで「雌っ気」と表現したのはその表現が一番適切だと思うからだ。「女の色気」とか「艶っぽさ」とかそういうものでは一切なく、もっと動物的な何か。そんな雌っ気が充満している空間。

話を戻して、ではなぜホストたちはあの店に行くのかということになる。気持ちの良い接客をしてもらえるわけでも、女の子が可愛いわけでもない。

答えは簡単で、自分の客になる女の子を探すため、である。

もっと踏み込んで言えば、自分の客になりそうでなおかつ育って自ら風俗でもやるようになってくれそうな女の子を探すためだ。

なおこれは、当時ホストクラブでバイトしてた友だちに聞いた。このお店知ってる?と聞いたら、あぁそこね!と教えてくれた。

たしかに、キャバクラで客を探すのはあまり期待できない。プライドが高い子も多いし、同じような仕事だとなにかと心の底が透けて見えるものだから。風俗の子も、既にホストクラブに担当がいて通ってる子も多いし何よりコストがかかる。

その点、この店はかかるコストが安く、また落とすのは容易であるように思える。朝の5時までやっているから自分たちの仕事が終わった後に行けるし。実際容易だからホストに通ってる子が多かったんだろう。

彼らは女の子に話しかけて連絡先を聞いて仲良くなる。仲良くなったら、「うちのお店にも来てみない?初回は安いし」と誘う。最初は抵抗もあるかもしれないが「相手も一度自分たちの店に来ている」という免罪符が働く。そうして彼らの術中にズブズブにハマった結果、彼女たちはその店の系列の風俗に流れていくという図式であった。

また、店側もその行為をとがめない。自ら風俗に流れてくれるならホスト様様なんだろう。

漫画みたいな話だけど、これは全て現実だしここから先はさらに悲惨。

先にも述べたように、彼女たちの容姿レベルや接客レベルはは極端に低い。つまりそこまでやってもたいして稼げない。ホストに通うため給料を前借りし姿を消し、店の人間に追われる子もいたらしい。思うように稼げずホストに殴られる子もいたという。

安い金額で体を売り、その少ないお金をホストに使う。もちろんきちんとしてる風俗のお店もたくさんあると思うけれど、女の子の流れが固められているようなところなのでその辺はもう察するに余りある。

また、ホストに関してもフォローするのであれば、そんなところで客を探してるようなホストはたぶんそんなに大したことがない。成績も微妙か低いだろう。けれど、だからこそ必死になって少しでも可能性を求めてこういうお店に来るのだろう。

では、なぜ彼女たちはそんな中〜底辺のホストにハマるのか。

理由は簡単で、このコミュニティの彼女たちに関してだけ言えば「愛情」のためなんだと私は思う。

話を聞くと、大半の子たちが家出中・親に虐待されて逃げてきた・中卒で働くあてもないなど本当に悲惨であった。

そして自力では家も借りられない彼女たちは、店が用意するマンションに住んでいた。そこにホストと住む女の子もいたとか。稼ぎのないホストからしたら、出勤も管理できて家賃もいらないし一石二鳥三鳥なわけだ。

私が今まで漫画や映画の中にしか無いと思っていた世界はこんなに近くにあったんだと19,20ながらに思った記憶がある。

また、ここまで普通に不自由なく育ててくれて普通に大学まで行かせてくれる親がいることがどれだけ有難いことかを痛感した。

人生のベースとなる家族が機能せず、きちんとしたところでは雇ってもらえず、同じような境遇の子たちが集まるところに流れ着き、安い時給で働き、愛情に見える何かをくれるホストにハマり、更に遠いところに流れて食い物にされていく。

標準的な道を歩めず行政のセーフティネットにすらかからない女の子たちを喰う地獄がそこにはあった。彼女たちの大半が、10代後半から20代半ばなのだ。

そんな環境にいたら、それが普通になってしまう。それが普通になるのは絶対にいけない。その子たちのことを私は救えないけど、その友だちのことは絶対にそっちにいかせちゃ駄目だと思った。遠くに流れすぎたら、救えるものも救えなくなる。

「そのバイトは、絶対にやめたほうがいい。」

おそらく、わたしはあの日初めて友人の選択に対して「no」を言った。

なお、全てのセクシー居酒屋がそうというわけではなくあくまで私が知ってるそのお店だけに限ったお話ですというフォローをしておく。

今、その店は潰れてなくなっている。


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