朧月
朝起きて、今日の日付を確認する。
それを学校まで持っていき、ノートの端に移し替える。
再び朝が来て、また新しい日付を覚える。それをくり返す。私がまともに「それ」をできたのは、自我を持った4歳の夏から半年〜1年ほどだ。正常な記憶とはこういうもので、私は「それ」を知っている。
「それ」を取り戻せれば、私(あるいは──私たち)は、もっと生き易くなるだろう。
時系列の往復は神経を破壊するために。
歪んだ線はあなたに殴らせるために。
強い言葉は人間を分別するために。
一体いつまで小学生のつもりか知らないが、あなたの非行や狂気は私の悪意をうまく隠してくれた。
私はあなたのことが嫌いだ。
地位や知恵を持つことが、美しいことだけがすべてだと考える暴力的なところが嫌い。
視野が狭く、周りが見えていないところが嫌い。
「私はあなたの友達じゃないから」あなたの狂気を飲まない、と言うとすぐ差別として扱うのが嫌い。
人が困っているとき馬鹿にしたり、茶化して無視するところが嫌い。
そのくせ自分が虐げられているのは世界のせいだと信じて疑わないところが嫌い。全員死ねばいいと思ってる。
インターネットの文化は「外の世界」で虐げられた人間によって作られた。
先生に褒めてほしくてドリルを早く終わらせたのに、足並みを揃えろと叱られたあなたが。
好きな子の気を引きたくて同じモノマネをくり返し見せていたらキチガイ扱いされたあなたが。
教室の片隅で絵を描いていたら何故か仲間外れにされて、悪口を言われ傷ついたあなたが。
ただ討論がしたいだけなのに、言葉がキツイから恐ろしいと精神疾患を疑われたあなたが。
時代の不幸ばかりを押し付けられ、誰かと出会うチャンスすら探しに行けなかったあなたが。
だから「外の世界」の人間は、インターネットでの意見をまともに捉えたりしない。
私とあなたは別の人間なのだと割り切っている。
奴らはまず、私たちを地位ではなく思想で分けた。
パンデミックの最中だから、不審者がたくさんいるから、同伴する親がいないから、とにかく色々な理由をつけて私たちが群れるのを嫌がった。それはとても恐ろしいことだ。
「助けを求める」という選択肢を「知れる」かどうかが「運」頼みになったのだから。そんなんだから山ほど子どもが死ぬのだ。
でも気持ちはわかるよ、ガキに物事を教えるって面倒くさいもんな。
どうか勝手に育てばいいのに、と願いながらその選択肢を次々に塞いでいく奴らが憎い。
これらの状況を「外の世界」で真っ当に解決しようとするのは無理だ。たとえ地位を得たってどうにもならないだろう。
しかし、日本経済の軸となる「漫画」を経由したらどうだろうか?
どうせまともな奴は政治家じゃなくて「漫画家」になってるのだ。それを俯瞰する奴だって山ほどいる。
視覚から人間を弱らせたり、細工することはできるとわかってる。「漫画を経由して」上の人間を言いくるめなければだめなのだ。
漫画を経由すれば、最悪ダメでも海外に情報が届く。変死体の処理に関しては、みんな困るのだからあとでまとめて奴らにやらせればよろしい。
私はあなたが嫌いだ。
嫌いだが、それが守るべき文化であると理解している。私があなたを壊す「奴ら」なら、コイツはアニメを見せておけば大人しくなると金を出すだろう。それは、あなたの母親に似ているかもしれない。でも違う。奴らは悪い人だ。
私たちはもう小学生じゃなくて、大人にならなければいけない。
時系列の往復は神経を破壊するために。
歪んだ線はあなたに殴らせるために。
強い言葉は人間を分別するために。
これは、私があなたたちを破壊しようとした時心がけたことだ。
流れに沿って、順番に。
真剣な話し合いだから馬鹿にされないためにも、まっすぐな線を引いて。
多くの人間にわかりやすい言葉を使って。
ここから先は、なによりもそうした技術が求められるだろう。
私があなたたちを嫌うのはこれからも変わらない。私には私の人生があるからだ。一日でも早い死と文化の滅亡を祈り続けるだろう。
だが、同時に医療の発展と教育の浸透を祈っている。
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