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風の強い日に思うこと

今日はね、台風かって位の強風だったんです。
身体中砂だらけ。髪の毛もボサッボサでした。
足元は歩きやすさを重視した割に上着が軽装で一日中後悔してましたが、そんな中お子さん達は半袖でスキップしてました。
子どもは風の子ってホントだなぁ
今回はこんな風の強い日にあった出来事と、それに伴って思い出したお話です。
他愛もない事なんですが、ちょっと覚えておいて欲しい。そんなお話。


・困っている親子さんに遭遇

強風の中歩いておりましたら遠方で強風に晒され、立ち往生している親子さんに気がつきました。
3、4歳のお子さん2人と、自転車を押したお母さん。
お母さんの支えている自転車はいわゆる「子乗せ自転車」強風で自分と反対側に倒されかけている自転車を倒れぬように必死に押さえていましたが
自転車は既に60度位に傾いていました。
少し離れた所には喜んでいるのか怖がっているのかわからない感じでキャーキャー言っているお子さん達。
そこは強風の日でなくともビル風の吹く場所。
わたくしは気が付いたら駆け出していました。
10m位あったかと思いますが猛ダッシュで駆け寄り、反対側から引っ張り上げました。
見ると身長153cmのわたくしよりも小柄なお母さん。
「風が納まるまでしばらくこのままでいましょう。」
と声をかけ、強風が納まるのを待ちました。
しばらくして少し風が鎮まった隙に
親子は急いで立ち去って行きました。
去り際に小さな男の子が
「ありがとー!」と大きく手を振ってくれました。
わたくしも「バイバーイ!」と大きく両手を振ってお別れしました。

お礼を言って欲しかった訳ではないけれど、あんな風に言ってくれるとお手伝いしてよかったなぁーと心の底から思うと共に唐突な10mダッシュに耐えきれなかったわたくしの膝がガクガク笑っていて内心「誰にも気が付かれませんように〰️」と焦っていました(笑)
よる年波に逆らえぬマイボディよ…

・助けてもらえなかった苦い思い出

その後、揺れる電車の車内でふと自分にも同じ経験があることを思い出しました。

それは次男坊がまだ赤ちゃんの頃、抱っこ紐で次男坊を抱き、小さな長男氏を自転車のベビーキャリア(前方のカゴ) に乗せ、出掛けから帰ってくる暮れ始めの歩道。
何を落としたかは定かではないのですが何かを落としてしまい、それを拾うため自転車を停車させました。
ところがお腹に抱いた次男坊、赤ちゃんとは言え1歳近く大きさも重さもそこそこあり、にっちもさっちも身動きが取れなくなってしまったのです。

そこへ、ランニング中の消防士さんが通り掛かりました。その数m先に消防署があったのです。
正直内心ちょっとは「助けてくれるかも?」と思っていましたが、瞬く間に過ぎ去って行った消防士さん。
わたくしもその時は「まぁどうにかなるでしょう」と高を括っていたので何とも思いませんでした。
けれど歩道の傾斜がいけないのか、どうにもこうにもスタンドを立てることができず、自転車を支えたままでは手が届かず、自転車を動かしてしまうと落としたものを踏んでしまうし、完全に身動きが取れなくなってしまいました。
暮れなずむ町並み。ぐずる子ども。気持ちばかりが焦っていたその時。なんと前述した消防士さんがランニング2週目で通り掛かりました!
さすがに2回目は助けてくれたと思うでしょう?
バチッと目が合い、「はっ!まだいたのか!」みたいな感じで気まずそうに、走り去って行きました。
その後何とか落とし物を拾うことに成功し、無事帰路に着くことができました。

・消防士さんが悪いわけではない。

わたくしは決して消防士さんが悪いと申し上げたい訳ではありません。
おそらく1回目の時はわたくしがそこまで困っているように思えなかった。つまり、助けを必要としていると判断しなかった訳です。
2回目はまぁ…気まずかったのでしょう。
ここで申し上げたいのは、子乗せ自転車で立ち往生していても、そんなに深刻には見えないということです。
子乗せ自転車はほとんどの場合電動アシストが付属していて走行中は軽々漕いでいるように見受けられるし
子育て中のお母さんは概ね若く健康で、さほど大変そうに見えないのだと思います。
「ま、何とかなるだろう」と思ってしまいがち。
ですが、子乗せ自転車というものは子どもの安全を守るため、フレームはかなり頑丈に作られており、本体だけでもゆうに25㎏はあります。
そこにベビーキャリア、子ども、荷物など乗せると母親の体重をはるかに越えてしまうのです。
人間自分の体重以上の物を支えるのは難しいと運転免許を取得しに行った教習所で教わりました。
(そう考えるとパズーってすげぇな。やっぱ鉱山の男だわ。そりゃ惚れるわ。と、セットでいつも思ってしまう…余談。)
自分の方に倒れてきたらある程度は支えていられるかもしれませんが、反対側に倒れたら最後、自らの力で起こすことは至難の技です。
あの自転車は見た目よりも自由もコントロールも効きにくいものなのです。
きっとあの若い消防士さんはそれを、ご存じなかったのだと思います。
当然です。扱った事がなければわからないはず。
消防士さんは決して悪くないのです。

・神様みたいなおじさんもいた。

逆にこんなこともありました。
それからもう少し経ち、次男坊もトコトコ歩き位の頃。
友人と映画を観に行く約束をしていて、前のベビーキャリアに次男坊を、後ろのチャイルドシートに長男氏を乗せ、大荷物を背負い自転車を漕いでいました。
小さな子を連れ歩くとオムツに着替えに軽く食べ物、飲み物、グズリ対策のオモチャや絵本、その他色々でなんだかんだ一泊二日くらいの荷物が常時必要になります。
けれど前後に子どもを乗せてしまうと荷物を乗せる場所がないのです。
なのでリュックサックを背負ったり、仕方なくハンドルに付けたフックに荷物を掛けたりするのでヨロヨロ運転になってしまうのです。

赤信号で停車した時の事でした。
携帯電話が鳴りました。
約束している友人からの電話かもしれないと思い、電話を取ろうとした瞬間、バランスを崩しあっという間に自転車は横倒しになってしまいました。
突然の事に驚き泣く子ども達。
慌てて起こそうとしたその刹那

「動かないで!」

車道の方から大きな声が聞こえて来ました。
声のする方を見ると、原付にまたがったおじさんが車道からこちらへ向かってやってきました。
原付を停車させると
「これ重たいんだよね~!オレ知ってんだ。これ女の人が起こすのは無理だよぉ」
と言ってよいしょっと子どもを乗せたまま自転車を起こして下さいました。
そして「意外と子どもは怪我しないんだよね。あぁ~
お母さん怪我しちゃったなぁ。大丈夫か?!」とおっしゃいました。
そう。子どもの安全に配慮して作られているので意外と子どもはほとんど怪我をしないのですが、親は生身なので大怪我をすることもあるのです。
わたくしは膝を擦りむいた程度で済んだのですが、大怪我をした友人もいます。
脛椎を損傷した彼女のコルセットをした姿が忘れられません。

走行中にわざわざ停車してまで助けに来てくださったおじさん。
おそらく車道を走りながら我々が倒れるのに気が付いて下さったのでしょう。
本当に神様みたいなおじさんでした。
正義のヒーローは町中にそっと潜んでいるのもなのだと思いました。

・その頭の片隅に。

今回他愛のないお話なんですが、記事にしようかなと思ったのは
子乗せ自転車は想像以上に重量があってコントロールが効きにくい
という事をホンのちょっと頭の片隅に入れておいてもらえたら嬉しいなと思ったからです。

人間、経験のないことは想像しにくいもの。
もし、子乗せ自転車のお母さんが困っているのかも?!と思ったら迷わず手を貸してあげて欲しいです。

わたくしのご近所さんは、子ども達が幼い頃
夕方遊びから帰ってくる頃にいつも飼い犬ちゃんと玄関先にいて (おそらく待っていて) 子どもを下ろすとよく
「少しの間見てるから買い物の荷物しまっておいで。」と言って子ども達を見ていてくださいました。
ほんの束の間ではありますが、その荷物をしまうほんの
束の間が我々子育て中の親にとってどれ程貴重な時間でしょうか。
冷凍ものをしまい、お風呂のスイッチを押し、子どもを笑顔で迎え入れる事ができるのです。
そんな「ちょっとくらいのこと」
されど「ちょっとくらいのこと」
なのです。

今や我が家のお二人も自分で自転車を漕ぐことができるようになり、もはやわたくしが子乗せ自転車を運転する事もほとんどなくなりました。

それでも、ベビーカーや子乗せ自転車を見かけますと、手伝いは必要ないかといつも見るともなしに見ています。

わたくしは考えるよりも行動に出てしまうタイプですが、色々と考えを巡らせてつい差しのべる手を引っ込めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
だけどどうかその手をすっと差しのべてあげて欲しいと思った。
そんな風の強い日のお話でした。

それではまた!(^_^)/

TOUDO YAYOI Illustration 




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