新京成電鉄の「特定運賃」って何ぞや

新京成電鉄が京成津田沼~北習志野間に設定している特定運賃を廃止するという。

そんな設定あったっけ?と思って調べてみた。だって滅多に乗らないし…

特定運賃の設定

新京成電鉄の旅客営業規則第77条及び78条には次のようにある。

第77条 大人片道普通旅客運賃は次のとおりとする。
5キロまで150円
5キロを超え9キロまで180円
(以下引用者により省略)

新京成電鉄株式会社 旅客営業規則

第78条 次の駅相互間の大人片道普通旅客運賃は、前条の規定にかかわらず、次のとおりとする。
京成津田沼・北習志野 170円

新京成電鉄株式会社 旅客営業規則

別表第1号によれば、京成津田沼~北習志野間の営業キロは5.5kmであり、第77条の取り決め通りであれば大人片道普通旅客運賃(きっぷ運賃)で180円になる。しかし京成津田沼~北習志野間の相互利用、つまり京成津田沼から北習志野まで(あるいはその逆)の利用に限り第78条の取り決めによって170円に設定されており、事実上の割引となっている。普通運賃のみならず通勤・通学定期旅客運賃にも同様に特定運賃が設定されている。

何故廃止に至ったか?

今回の特定運賃廃止の理由は、「新型コロナウイルス感染症の影響による事業環境の変化」だという。
新京成線北習志野駅の一日平均乗降者数は36,548人(2021年度。全24駅中第4位)。一日平均乗降者数が4ケタ台である駅が多い新京成線ではかなり多い方になる。北習志野駅は東葉高速鉄道との接続駅であり、乗り換えで乗降する利用者は少なくないようである。その分、特定運賃廃止によってそれなりの増収を見込めるのだろう。

追記

東葉高速線の北習志野~東葉勝田台間は大人片道普通旅客運賃(きっぷ運賃)で440円となっており、新京成電鉄側では特定運賃を設定して北習志野~京成津田沼~勝田台間を同額の440円にし対抗しているようである。今回新京成側が先に事実上値上げすると発表したが、これに対する東葉高速鉄道側の出方が注目される。
※ツイッターに情報をお寄せいただいた方、ありがとうございました。

終わりに

特定運賃廃止は2023年春を予定している。
なお、新京成電鉄では、京成津田沼経由での京成線乗り換えにも割引が設定されているという。新京成電鉄のみならず各社で「聖域なき改革」が進められていることを鑑みれば、これも廃止になるのかもしれない。

参考

「111 民鉄等駅別1日平均運輸状況」を参考にした。

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