恐怖を自覚した話

こんにちは。みひろです。骨巨細胞腫という骨から腫瘍が出来る病気を患っています。

新型コロナウイルスの流行によって、見て見ぬふりしていた恐怖を自覚しました。(直接関係はないので、COVID-19についての情報はここにはありません。)軽いトラウマには、少しずつ向き合っていく対処法もあると精神腫瘍科の先生に言われ、書いてみようかなと思いました。

今は月1回の注射と痛み止めの薬を飲んでいます。体力が落ちたり、熱がでやすかったり、病気になる前とはやはり違いますが、さほど支障なく日常生活が送れています。新型コロナウイルスの流行については、①基礎疾患がある②肋骨から出来た腫瘍で片肺が8割方つぶれている③ステントという器具で気管をひろげている、をふまえて、必要以上に恐れることなく、出来ることをやって気をつけています。

今は仕事もしていないし、もともと人混みが嫌いなので、外出自粛によるストレスは一般の人にくらべて少ないと思います。ネガティブなニュースも時間を区切って必要最低限だけ見るようにしています。肺炎を経験したことがあるので怖いものは怖いですが、家にいれば大丈夫、私自身は流行前の生活とそんなに変わらないよって言い聞かせていました。

ただ、新型コロナウイルスの患者数が増加し、病床が埋まり、自宅待機者が急変して亡くなったというニュースを目にしてから、私はなんだかおかしくなってしまいました。

私は2019年7月の骨巨細胞腫という病気発覚とほぼ同時に集中治療室に入った経験があります。検査入院中に肥大した腫瘍が気管を押しつぶし、呼吸困難になったからです。意識を失い、気管挿管をしてなんとか命を繋ぎとめました。それから緊急でステント手術をした3日間くらいは、断片的な記憶しかありません。その後、肺炎になり、ひたすら苦しく熱く痛かったです。母はこの時のことをあまり話しませんが、深夜、病院から電話で呼ばれ、タクシーで駆けつけている間、きっと私の死を覚悟したと思います。

しかし、なんやかんやで2カ月の入院を経て、順調に回復し、腫瘍自体の治療も効果が出て、自宅に戻ることが出来ました。病気のことをひたすら考えないようにしたり、再入院をして一生付き合っていく病気なんだと考えなおしたり、落ち込みと励ましを繰り返しながら、この出来事を少しずつ消化していました。ツイッターで専用のアカウントを作ったことも、そのうちの一つです。ありがたいことに、時間が経過するにつれ、体調も良くなっていたので、8カ月たって、私は病気だけどそれなりに幸せだと思えるようになりました。コロナウイルスにだって負けないぞって、むしろ病気になる前よりも落ち着いて対処出来ているんじゃないかと思っていたくらいです。

息が止まって死ぬ夢を見るまでは。

びっくりしました。先に述べたニュースを観た夜のことです。ショックでした。私は何も克服出来ていなかったんだ、と思いました。

7月の息が止まった夜、私は医療用麻薬の投与のおかげで、それまでの息苦しさが緩和され、落ち着いて眠っていたのです。何も前兆を感じることなく、目が覚めたらICUにいました。自宅にいたら、助からなかったでしょう。もちろん、ニュースの場合は病気からして異なりますし、環境も状況も違います。その患者さんが救急搬送されて、ICUで治療を受けられたことも読みました。残念ながら亡くなってしまいましたが、自宅待機中に急変したことが直接の原因ではないと、考えるようにしています。もし、私が新型コロナウイルスに感染し、自宅待機になったとしても、息苦しさなどの変化はあるだろうし、手持ちの体温計やパルスオキシメーターで数値チェックすることも出来ます。誰にも気づかれないことが恐怖なんだと考えたので、ワンタッチで親に電話できるよう設定したスマホとレスキュー薬(コロナウイルスに対する薬ではありません。普段服用している痛み止めの緊急用タイプ)を枕元において寝るように、自分なりの対策をとりました。

それなのに、私はまた同じ夢をみたのです。呪いだ、と思いました。起きている間は面白い動画を観れば笑えるし、ご飯も美味しい。夜は気を紛らわせながら眠気がくれば、薬を飲まなくとも眠れます。それなのに夢を見てしまうことは、自分の本質的な部分が、この7月の出来事に理性も何もなくただ怯えているからじゃないか。そう思うと悔しくて、情けなくて、涙がこみあげてきました。

と、ここまでひたすらに掘り下げてきて、「く、暗い・・・。なぜ私はこんな苦行を好きこのんでしているんだ。」といきなり我に返りました。今回の目的は向き合うことなので、充分取り組んだと思うことにします。書いては消し、書いては直しで、やってみようと思い立ってから丸4日かかりました。

呪いなんて、おおげさな言葉を使ってしまいましたが、50回くらい読み直していると、不思議と印象が変わってきました。心の傷のカサブタが思いもかけず勢い良くはがれ、血がどばっと出て、服にひろがっていたところで気づいて、わーなんだこれ?!ってパニックになったって感じです。よく見たら、はがれたところはそんなに大きくなかったし、止血もしました。向き合うということをしなかったら、呪いと思いこんでお祓いの踊りなんかして、余計に血がでちゃってたかもしれません。(比喩表現です。)私はええかっこしいな所があるので、人の目に触れるという意識で書いたのも、良かったと思います。暗い話はほどほどでいい、私はやっぱりハッピーな話が好きです。克服してもしなくても、幸せでいられるように、たまには、こうやって試行錯誤しようと思います。

読んでくれてありがとうございました!

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