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ライブと緊張

初めてのライブは中学三年の春休み、つまり高校に入る直前だったと記憶している。

伏見の藤森神社の近くにある喫茶店で、父親の知り合いが隔月でフォークソングのイベントを行っていたのに飛び入りさせて頂いた。

緊張の中10分のステージが始まる。既に密かにオリジナルは作っていたものの、当時大のビートルズかぶれだった僕は無我夢中で「Twist And Shout」「Nowhereman」「yesterday」を借りたマーティンのギター一本で弾き語った。否、そんな上等なものでもなかった。ギターも歌も、単に音が出ているだけ、といった体たらくだった。

一曲目が終わってふとギターを見ると、人差し指がパックリ割れ借りたマーティンが血塗れになっていた。凹み謝る僕に皆優しく接してくれたのを覚えている。

20年以上の時を経て、今もステージに立たせて頂いている。浮き足立つ事もそんなに無いし、昔のようにギターを血塗れにする事もない。

でも、今だに緊張はする。勿論当時とは違う要因によるものなのだが、結構周りのミュージシャンと比べても緊張する方だと思う。その緊張をコントロールし、時に爆発を起こす術を「エンターテイメント」というのかもしれない、と最近は感じる。

あなたがもしライブで出番前に緊張している戸田を見たら、その緊張というロデオをどう乗りこなすのか(もしくは振り落とされてしまうのか)是非見届けて頂きたい。

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