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レポ21:大関酒造今津灯台(2019/5/1)

「現役の木造灯台で唯一の灯台」と呼ばれる兵庫県西宮(にしのみや)市にある大関酒造今津灯台。民営灯台で現役最古かつ唯一、令和元年初日に、現役最古のユニークな灯台を訪ねました…

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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

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◼️レポ21:大関酒造今津灯台(2019/5/1)

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大関酒造今津灯台は兵庫県西宮(にしのみや)市南部にあります。今津港へのアクセスは公共交通機関では、阪神今津駅もしくは阪急今津駅で下車します。

ちなみに、西宮市には高校野球で有名な甲子園球場があり、阪神今津駅は甲子園球場から2駅ほどの距離感です。

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駅を降りたら真っ直ぐ南へひたすら歩きます。だいたい灯台まで徒歩20分くらいで灯台には到達します。

西宮は元々、「灘五郷」のうち「西宮郷」「今津郷」と呼ばれる酒どころで、酒造メーカーさんが沢山あって、資料館見学やショップで買い物が出来たりします。今津灯台を維持管理されている、大関株式会社もその中の一つですね。

案内板の右下の方に大関酒造と今津灯台が描かれています。

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駅から10分ほど歩くと「大阪ガス今津総合グラウンド」が目の前に見えてきます。ここをさらに直進します。

なお、このカーブを道なりに進んでも今津港の入口には到達出来ます。むしろ、そちらが正式なルートですが、今回は真っ直ぐ進んでみます。人しか入れないようポールが立っているのが目印です。

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今津港へ流れ出る東川の河川敷を歩きます。人気はあまりなく、壁に落書きが沢山されています。夜間に歩くのは少し危険かもしれません。

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この河川敷を10分ほど道なりに歩くと大関酒造今津灯台のある今津港に到着します。

現在、大関酒造今津灯台の眼前には高潮対策のための仮設工事中のようです。ですので、パッと見の景観は物々しい感じです。

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大関酒造今津灯台は、航路標識である灯台の中でも非常に珍しい大関株式会社が維持管理している民営の灯台なのです。この日も私設警備員さんが、巡回されていました。

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やぐら型の灯台で「現役灯台の中で最古の灯台」と呼ばれています。というより「唯一の灯台」とのこと。確かにこの趣は洋式灯台にはない雰囲気があります。

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台石には「文化七年(1810年)建立」の文字が。

今津灯台の起源は、酒造家「大関」の長部家5代目の長兵衛によって、私費で文化七年(1810年)に建てられた燈明台(和式灯台)です。その後、6代目文次郎が再建しました。

現在の灯台は昭和59年(1984年)に創建当時の姿を復元したものです。

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江戸時代、大阪から江戸へ海上輸送するお酒は「下り酒」と呼ばれる重要な商品でした。そのため1730年(享保15年)にお酒だけを運ぶ樽廻船が誕生しました。

以来、今津灯台は今津郷のお酒を数多く輸送してきたのです。

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灯台の対岸にはマンション住宅があり、灯台とは一見アンマッチのようにも思えますが、意外と地元に馴染んでいるようにも見え、不思議な風景でした。防波堤灯台ではないし、沿岸灯台と呼ぶのも少し迷う、まさにオンリーワンの灯台です。

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ちなみに今津港への正式な入口は今津グラウンドを直進せず道なりに進んだ先にある三叉路から入れます。

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灯台の対岸にある住宅地側から眺めた景色。

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今津港から真っ直ぐ北へ今津駅方面に向かうと、大関酒造の2つの酒蔵が見えてきます。とても大きく町のど真ん中にある様子も必見です。

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これまた駅へ向かう途中に「酒蔵通り」という道があり、そちらから駅方面へ歩くと直営店があります。

「甘辛の関寿庵」というお酒とお菓子を販売しているお店なのですが、ここにさり気なく樽廻船と大関酒造今津灯台がいます。

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令和元年の初日に、現役最古の灯台巡りという組合せもオツなものです。

村上 記

年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台を訪れる魅力などをお伝えするプロジェクト。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う方々の想いを大事にしていきたいです。