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レポ66:王子鼻灯台(2020/9/30)

山口県長門(ながと)市。北部の青梅(おおみ)島へと続く橋のたもとにひっそりと佇む灯台を訪れました。

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年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台病の記者が灯台訪問の魅力などをお伝えする『全国の灯台巡礼レポ』。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、自身の原風景を護りたいと願う地元の方々にも参考にして頂ければ幸いです。

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◼️レポ66:王子鼻灯台(2020/9/30)

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山口県長門(ながと)市の仙崎(せんざき)の北部にある青海(おおみ)島。周囲約40kmの島は日本海の荒波に浸食された奇岩が多く、景勝地として観光客にも人気のスポットになっています。

ただ今回訪問する灯台は、仙崎と青海島を結ぶ全長260mの青海大橋の途中から西側に確認することが出来ます。

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大橋を渡った先には王子山公園があります。
仙崎祇園町にある八坂神社(祇園社)のはじまりは王子山といわれており、記録では奈良時代の遣唐使の吉備真備(きびのまきび)が、中国からの帰途、王子山に素盞嗚尊(すさのおのみこと)を祀り祇園社としたとのこと。

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公園の展望台からは童謡詩人の金子みすずがふるさとの仙崎の風情を綴った「仙崎八景」のうちの一つである「王子山」からの景観を一望できます。

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金子みすずは「わたしの町はその中に、龍宮みたいに浮かんでる。(中略)王子山から町見れば、わたしは町が好きになる」と詠んでいます。

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対岸の仙崎には海上保安庁第七管区の仙崎海上保安部があります。担当水域は、東は島根県の県境から西は山口県の角島東にある油谷(ゆや)湾西端に近い折紙(おりがみ)鼻にいたる沿岸水域です。

長崎から大分全域までをカバーする第七管区の中でも、最北西部の水域を担当しており、右隣は第八管区となります。

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この公園から橋のたもとに向かって降りれば、王子鼻灯台に向かう道に出ます。下には公園からの階段でも、橋からの下り階段でも降りられます。

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橋下から降りて川沿いまで出れば、灯台までは目と鼻の先です。この堤防を歩いてつたっていきます。

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この「名勝及天然記念物 青海島」というを石柱までくれば灯台が見えてきます。
青海島は約9000万年前の火山活動によって出来た凝灰岩類が主な地質で、北部一帯が北長門海岸国定公園となっています。

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王子鼻灯台は見晴らしの良い、河川敷というか岩場の先端に設置されています。

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灯台は少し離れた岩場の上に作ったからか、岩を削った上にコンクリートの基礎を作っており、飛び石のような造りをしています。

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白塔の小型灯台としては何の変哲もない形ですね。防波堤灯台のようですが、立派な沿岸灯台です。

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灯台の一帯は岩場になっています。近くの岩場にはウニのような生き物がウヨウヨいました。後日調べると、恐らく毒ウニのガンガゼではないか、と思われます。良い子は触れないようにしましょう。

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対岸の仙崎側からも王子鼻灯台はよく見えました。

この青海大橋の下は青海島をショートカットして島の東部や下関方面に向かうための船舶が頻繁に往来しますから、王子鼻灯台も大きさの割には担う役割は大きいでしょうね。

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かつては青海島との間を往復する航路があったとのこと。
青海大橋が開通する前から、その時の情景を見守っていた王子鼻灯台に思い馳せながら眺めると、また少し違った見方が出来るかもしれません。

村上 記

年々その数を減らしている灯台を護るため、灯台を訪れる魅力などをお伝えするプロジェクト。灯台マニアの方のみならず、灯台のある風景を通じて地域の魅力を再発掘したり、地元の原風景を護りたいと願う方々の想いを大事にしていきたいです。