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極楽荘立退き物語(その1)

発展めざましい北千住から歩いて約10分、駅前から続くアーケードを抜けて、日光街道を渡り、幅1.8m、いわゆる一間道路の迷路の先、そのどんつきに極楽荘はあった。築50年をとうに経過し、床は落ち、天井はたわみ、ねずみが巣食う、どこに出しても恥ずかしくないおんぼろアパート、木造二階建、六畳一間、風呂はなく、6戸/12戸が賃貸中(内2人については契約書がなかった)、そして入居者全員が高齢者の一人暮らし、家賃は月3万円、北千住から徒歩10分という立地を考えれば破格だが、それが安いとも思えないほどの劣悪な住環境、住むのは社会から置いてけぼりをくった、あるいは自ら距離をとった孤高の6名、立退き、約2ヶ月間の軌跡をここにまとめる、備忘録として、また、これから立退きに挑む方の参考になればと思い。

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