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🎧占いは、宝船にポリアンナを乗せる

「この子、宝船が帆を張ってるのが見えるわぁ」

人付き合いが苦手で、運動が苦手で、勉強も苦手で、早起きも苦手で、食べるのも遅くて、手先は人並みなはずなのに誰かに見られると萎縮してトチる自分に、小学生ながらに「私はこんなんで立派な大人になれるんだろうか…?」
と悲観している少女がいた。

あんまり自分に自信がないものだから、母親が心配していった。
「あんたは生まれた時に、占い師さんから『宝船が帆を張って進んでいってるような子だ!』って言われたのよ、わかる?宝船!七福神様が乗ってるあの船よ!」

少女は、母の言葉を鵜呑みした。
「私には、七福神さんがついている!」

思い込みとは恐ろしいもので、その後少女は、人前で何か失敗した時も、運動や勉強が思い通りに進まなくても、「七福神さんに笑われたわ」と解釈し、寝坊しても怒られても、食べるのが遅くて給食居残りさせられても「まぁ宝船に乗っているんだから死にはしない」と思うようになっていく。
そのうち性格は段々大らかに、細かいことは気にせずに、やがて最初の受験シーズンを迎える。

「大丈夫、私、七福神さんついてるし、受かっても受からなくてもなんとでもなるよ」

全く勉強しようとしないばかりか、このまま楽に暮らしていこうと算段している娘に、母はブチギレて言った。

「占い師って、近所のちぃ婆ちゃんよ!あの人、生まれてくる子全員に同じこと言うてはったわ!!!」

怒り出すと、ゴリゴリの関西弁に戻ってしまう母の迫力に驚いたわけじゃない。
「全員に同じこと言うてはった…!?」

おいおい待て待て!!じゃあなんで私、変われたん!?
あんなに何にも出来ないのび太くんだったのに!

「自分を信じれば、自ずと道は開ける。せやけどな、なーんの努力もせんやつに七福神さんが笑うてくれるはずないやろ!そないやったらちぃ婆ちゃんに見てもろた子だけで時代を席巻できてまうわ、ちぃ婆どんな女帝や!」
「ほんで宝船信じすぎやろ!詐欺合っても知らんで!!」


ここまで、コッテコテの関西弁で攻められたわけではありません。
すいません、少し盛りました。

そう。この少女は私です。
どうやら、ものすごく単純で、人に言われたことをそのまま信じてしまうタイプでした。
悪く言われたり、叱られたりしても、そのまま吸収してしまうので、生きづらい幼少期でしたが、宝船の件以降、まぁなんとポジティブに生きてきたことでしょう。
ちぃ婆ちゃんの優しい一言を信じただけで、能力は何ひとつ変わらなかったのに、自分は変われたと思うことが出来たのです。

そこで私は悟ります。
「自分に起こる出来事を、全部いいこと信じればいいんだわ」
茨城育ちの「愛少女ポリアンナ」爆誕の瞬間です。

以降、人生ですもの、それなりに山や谷や失恋や転職や出会いや死や苦痛がありました。
それでも。
「天気運」「転機運」「出会い運」
いい風に解釈する癖のようなものを持っています。

もちろん腐る日もあります。
腐った時は、出来るだけ人に頼って、聞いてもらう。
いいたいことも言えないこんな世の中はポイズンなので、いいたいことが言える人と出会っておくのはとても大事。
そう、ポリアンナも、毒を吐き散らす。
いや、もうポリアンナ出すのやめておこう、ごめんねポリアンナ。


そしてスッキリしたら言うのです。
「よし、これから私は好転機に入る!」

さて。
今日の山羊座の運勢はどうなっているかしら?



そんなわけで!!

今回のすまスパは、朗読『星占い』です。

私は、せやま南天さん『ばあちゃんの星読み』を朗読させていただきました。


ばあちゃんと孫の瑠衣の手紙のやりとりで綴られる物語。
ばあちゃんは、始め瑠衣を楽しませようと、星占いのようなものを送ります。
それがいつしか、父を亡くした瑠衣の力になるための本格的な星読みになっていきます。

そう、ばあちゃんは、決して占いのプロではありません。
独学で占星術や星読みを学び、孫の力になるために、優しい星読みを続けるのです。

占いとは、誰かの力になるためのものであること。
受け手が自分の力に変えられること。

このやりとりの暖かさが、ゆっくり心に染み込みます。

そして、「力が湧いてきた」そう感じた瑠衣の気持ちに、私の声もすっかり高揚してしまいました。
やっぱり、あたたかい星読み、それはプロであろうがなかろうが、人を動かす力があるんだと思います。



そして、ピリカさん朗読
皐月まうさん『さそり座のあなた』


整えられた静寂の病院で出会った、占い好きの5歳の少女。
毎週、暗記した占いを教えてくれる少女との時間を、「私」は心地よく受け入れていく。
こちらの作品は、占いの内容よりも、「占いを通して共有する時間」が大切に描かれていきます。

「あなたは何座?」あどけない彼女にとっての占いは、きっと毎日の未来が詰まっている。
今日のラッキーカラー、今日のラッキーアイテム。
今日はこんな一日だよ。
病院にずっといるであろうと思われる少女にとっての星占いは、読み手に切なさも感じさせます。

そしてある日、突然訪れる「ポツンと乱れる自分を感じる日」
「私」がいつか、朝の星占いを、今日の未来を楽しめる日がくることを、なんとなく願ってしまう作品でした。

そしてピリカさんの5歳のここちゃん!
この声に、「わっ!」と声を漏らしそうになった私です。是非聞いてみてください!


星占い。
あなたは、信じる派ですか?興味がない派ですか?

何がきっかけであれ、あなたの毎日が。

幸せに感じますように。
明日への力が湧きますように。
宝船が帆を張って進んでいるような毎日でありますように!(にぎやか)





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