いでゆ坂の名物定食屋「勝太郎」

鉄輪の東側のメインストリートにあたる「いでゆ坂」。道沿いには温泉宿や飲食店などが立ち並んでいますが、その中に鉄輪に店を構えて約半世紀という定食屋「勝太郎」さんがあります。

手作りのおいしいおはぎが有名で、つい先日のお彼岸の間も、常連客の車が店の前にちょっとした渋滞を作っていたほどの大人気。とはいえ、勝太郎さんは定食屋さん。年季の入った凄みのある古い看板に気圧されて、今まで中で食事をしたことがなかったのですが、最近になって何度かお伺いするようになりました。

カウンターと、床の上に2つテーブルがあるだけの小さな空間。壁の一角には白塗りに着物姿の俳優さんたちのブロマイド写真が張り巡らされています。昨年まで勝太郎さんのお隣にあった大衆演劇場「ヤングセンター」に登場していた劇団の団員さんたちの写真です。ここはヤングセンターに訪れる方々の御用達食堂でもあったのです。

昭和という時代を超えて、不思議とエキゾチックなアジア的カオスを感じさせる空間が気に入ってしまい、通うごとにひとつづつメニューを試していくのを楽しんでいます。

チャンポンがとてもおいしいのですが、その上湯スープの味にもましていい味を出しているのは、勝太郎を仕切っている「おばちゃん」です。名物のおはぎを作るおばちゃんが「これ食べる？」とおまけにつけてくれる自家製のゴーヤの漬物も絶品。お心遣いにも毎回ほっこりしてしまいます。

筋湯通りのトビラボから直線距離にして、わずか100mほどという至近です。鉄輪の歴史を感じさせる場所のひとつ。ぜひお立ち寄りください。