恥ずかしがり屋の立方体 #2|#毎週ショートショートnote
私は暗闇の中で息を潜めてじっとしていた。
大丈夫……さすがにここまでは彼も入ってこないはず。私は不安を取り払うように自分にそう言い聞かせる。
ザッ、ザッ。
闇に飲まれた洞窟の空洞音に、誰かの足音と思わしき雑音が混ざり込む。
大丈夫……まだ離れている。ここまでは……来ないはず。
ザッ、ザッ。
しかし、その期待とは裏腹に足音は徐々に近づいてくる。
そしてついに、彼の姿を目に捉える――
その角張った体の人物は、使い込まれたであろう鈍い光を放つツルハシを手にしていた。