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小説の感想・レビュー

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読了した小説の感想・レビューなどです。
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2022年2月の記事一覧

彼女がエスパーだったころ|感想・レビュー ★3.5

読了したので感想です。 まえがき氏の作品は、 『超動く家にて』 『偶然の聖地』 『盤上の夜』 『エクソダス症候群』 『ヨハネスブルグの天使たち』 に続いて6冊目です。 氏の代表作とされるものは、だいたい読み終えた形になるでしょうか。 うち、後半の4冊についてはレビュー記事を書いています。 短くまとめるとスプーン曲げなどの疑似科学(超常現象)を題材にした、6編の短編から構成されるSF短編小説。 著者らしいアイディアや洞察・哲学がしっかりと含まれており、SF

ヨハネスブルグの天使たち|感想・レビュー ★4.5

宮内悠介氏の『ヨハネスブルグの天使たち』を読了したので感想です。 前回の『エクソダス症候群』と同様に、2回連続で通して読んでしまいました。 短くまとめると近未来を舞台にした、ディストピア・哲学色の強いSF短編連作集。 戦争や内戦・テロといった重いテーマが扱われており、また氏の作品の中でも難しい部類に入るため、氏の作品の入り口としてのハードルは高め。 しかし、意識・生き方・愛・社会・宗教など、哲学的に考えられる内容であり、考えさせられる作品が好きな方にはおすすめ。 ハ

エクソダス症候群|感想・レビュー ★4.5

宮内悠介氏の『エクソダス症候群』を読了したので感想です。 短くまとめると精神病をメインテーマに扱ったSF作品。 ミステリ的な要素も含んでおり、精神病という重いテーマでありつつもエンタメ作品として完成している。 膨大な参考文献をもとにした文章は、専門用語などが多く難しい内容にもかかわらず、圧倒的に読みやすく、また著者の筆力の高さを再認識させられる。 重く、暗い内容でも問題ないという人には、是非とも読んでほしい1冊。 まえがき著者の作品は『超動く家にて』、『偶然の聖地』