白熱灯 歌詞&解説

白熱灯 作詞カシオ

いつも朝が苦手で僕の体は重い

少しも課題は終わらず時間は迫って重い

そして息を飲んだあの日の景色あの日の声に「嗚呼、もう無理だ」

消し飛んだ記憶が浮かんでは消え身悶えさせるのが嫌だ

今ならわかるよ君の事

気づいたんだ僕らは

同じじゃない似てもいない

選んだ記憶で築いた城たちが崩れたんだ

思いは揺れて振り出しに戻されるけれど

恨むべき偶然を受け入れて愛してやるよ

-解説-

この曲はとても温かくて、最初は歌詞の方でも温かい何かを表現できたらいいなと思っていたのです。しかし、やっぱりストレートに幸福感を表現できない質なのでしみったれた歌詞になっています。

テーマとしては「わからない」ということと「そんな不条理を受け入れる」ということです。

歌詞の前半ではよくある過去の失敗やトラウマがフラッシュバックしてしまう状況が描かれています。僕は過去に囚われやすい人間で、ふとした時に昔あった嫌なことを思い出します。そしてそんな嫌な記憶が蘇った時に限って、そのトラウマの張本人にあったり、似たような状況に追い込まれたりするのです。(本当に間が悪い)さらに、その張本人はそんなことを忘れたかのように振る舞うのです。「あれ?もしかして気にしているのは自分だけなのか?」と思うと同時に「きっとこいつも心の奥底ではなにか思っているに違いない!」と勘ぐってしまったり、そこでまたもや「根暗スパイラル」に陥ってしまう。「嗚呼、もう無理だ」

でも、一歩引いて考えてみると、それはきっと相手も同じなんですよね。もちろん僕ほど疑心暗鬼になってはいないだろうけれど、僕が「わからない」と思っているように、相手も僕のことを「わからない」。僕たちは考える力を持っていて、同じ「人間」というだけでわかった気がしてしまうけれど、それは結局「自分の予測」の集合体でしかなく、見落としている事も、無駄に勘定をいれているものも含まれているんです。でも、そう考えると自分の考えていることや行動がとても無意味に思えてきて、自分のいる場所が不安定に思えてくる。自分の記憶の殻が崩れて、今まで築いてきたものが全て台無しなったような感覚に陥ってしまうんですよね。そうなると後は何も考えないで生きるか、最悪死ぬしかない。でもなぜか僕はそうしたくなかった。それはきっと本当の絶望を体験していないからなのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。ただ漠然と「この世のわからなさを受け入れてやろう」と思った。それはきっと色々な人やものに救われたからだと思う。生きていると面白いものにも出会うんです。

生きることは理屈じゃないのかもしれない。ただ僕は生まれてしまった偶然を、どうしようもない不条理を受け入れたい。(受け入れられる自分でありたい)そんな気持ちもみんな持ってくれればいいなと思います。きっとこれもわからないだろうけれど。


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