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かわいい子に彼氏いないで欲しい

いてもいいさ!あとイケメンにも彼女いないで欲しい。いてもいいさ!どうせ居ても立ってもいられないのは僕の心だけなのさ。
あと友達にも彼氏彼女いないで欲しい。いてもいいのさ!リア友のインスタ見る時たまに思わぬ爆弾があったりするからロクに開けない。エッ!そこ付き合ってん?!みたいなシチュエーションが多すぎる。ついでにこの記事を見てる人にも彼氏彼女いないでほしい。僕の人生を覗き見してるならそれくらいの覚悟はあるだろうなあ?!?!!いてもいいけどね!!!!

会話や、Twitterで、実は彼女がいました彼氏がいましたと聞くと、あることを思いだす。

時は遡って高校時代、僕には親しい友人がいたんだ、親しい友人がね。彼は、私が学校で、進級してクラスが変わってから、最初にできた友達なんだ。
いろんなことを話したし、彼の身振り手振りも全部覚えてたさ!体の重心がやたらと右によってること、話してる時はやたらと体が右にゆらゆら揺れがちなこと。やたらと語尾を伸ばして話してること。キャンプに行こうとして、道具と行き方ばかり悩んで一向に行く目処がつかないこと。あまり喋らないこと、スマホが禁止のこの学校で、スマートウォッチをずっとつかってること。こっそりスマホを使ってる僕に対して、何も言わず隠してくれてたこと。生徒会に入ってること。

彼との会話を一語一句間違えずに言えるかと言われればNOだ!でも僕は彼と、友達だったんだ。きっと、彼もそう思ってる。僕はそう思いたい。

7月、僕は文化祭の準備に追われたんだ。夏休みで、炎天下の中、自転車のパンクを修理してから学校に行って準備してたんだ。僕は実行委員やってたからね!
正直ダルかった!クラスで文化祭のあれこれも、企画書のあれこれもやって、面倒な会議にも欠かさず参加した!今度は肉体労働か!でも、その準備に彼も来ると聞いて、少しだけ救われたんだ。

初めに、準備活動中の自分の教室に入ると、女が一人だけいた。他の人は、きていない。この人は知ってる。僕が転部する前の部長だ。いい印象は抱いていない。逆恨みにも近いが、僕はこの人に、間接的に退部されられた。でも、話してみるといいやつだった。

最初に盛り上がった会話は、クラスで二人選ばれる実行委員のうち、僕じゃない方の人の話だ。その人はやたらと韓流ファッションに影響されてる子だった。それは、実際にそういう韓国の服をつけてるわけじゃなくて、全身からそういうのが滲み出てた。カメラを向けた時のポーズや、ウィンクの仕方、話し方と、髪型。明らかにTwiceとかみたいなそこらへん意識してんだろうな〜って感じ。俗に言うぶりっ子だ!初対面からやたらと肩触ってきたし、おねが〜いの言い方がやや腹立った。僕はそのひとを嫌いというわけでも好きというわけでもないが、そんな個性的な人だから、話題には事欠かない。

そうして次に盛り上がった話が、例の彼だ。
「そういえば今日、彼は来ないの?」「あー、そうそう。だるいから行かないって言ってた」
なぜ彼女が彼を知ってるのか。彼女もまた、生徒会だからだ。僕たちはクラスの前で飾る看板となる、段ボールの切れ端に学校の経費で買ったアクリル絵の具を塗りつけながら彼の話をした。「あいつ今アイス買いに行ってるって」「買ってきてくれんの?」「自分用みたい」

体の重心がやたらと右に傾いてること「あーそうそう!話してる時もずっとゆらゆら揺らいでるよね!」
やたらと語尾を伸ばして喋ること「ねことおー、あーこないださあ、水筒こぼしちゃったんだよねえ」「にてるにてる!」
キャンプに行きたがってること「ゆるキャン見てハマったらしいよ!うちは全然知らないけど!」
めっちゃ聞き上手だよね、あまり喋らないし「何も考えてないだけだよ」
スマートウォッチを持ってること「去年の誕生日に買ってもらってたらしいよ」
やたらと詳しいな?!「生徒会って仲がいいんだよ」

「あ、今近くにいるって!」彼女はスマホを見ながらそういう(当然校則違反だ)。「LINEでもきたの?」彼女は無言でZenlyを見せてきた。「ほら、あそこのコンビニまで来てる。窓から見えるかな」

僕は彼が来るまで待とうとも思ったが、ちょっとした野暮用でお茶の水の留置所まで行きたいから、僕は常磐線に向かう電車へ乗り込んだ。帰りに乗る電車を間違えてしまったと思って降りた先が東京スカイツリーの真下だったので、何かの縁に違いないと、雨が降って日もほぼ暮れてる中、人の流れに乗って、登ってみた。展望台まで向かうエレベーターがあまりにも早くて、気圧の変化に鼓膜が追いつかなかった。ドアが開くと、僕の頭の中にけたたましい爆音が響く。

夜景は確かに綺麗だった。半周くらいすると家族用の記念撮影スペースがあったので、スタッフに頼んで撮ってもらった。いい笑顔ですよと言ってもらったのが嬉しかった。
あとはすみだ水族館にいった。今日話した彼女が、水族館が好きだという話ですみだ水族館が話題に上がったので、早速いってきたよと、次回話した時に気まずくならない布石をはりたかった。

二日後クラスに行くと、彼も彼女も、その他のお手伝いの人もいた。彼女が呼んでくれたらしい。僕は拳大のクラゲのぬいぐるみのキーホルダーを彼女に見せて早速いってきたよーと言った。彼女の顔が、ちょっと引き攣っていた。

結局水族館についてあれ以上言及することなく、前と同じようなポジションで同じようなテンションのアドリブな会話をしていた。その会話の中で違うことは、彼も混ざっていること。
彼は壁際に座っている彼女の、その背中と壁の間のわずかな隙間に滑り込んだ。
いや、近!!!何?お前ら話してんの初めて見たけど生徒会同士ってそんなもんなの!?しかも彼女にもたれかかったまま話進めんなし!え、ヤバ。

しばらく作業して、昼下がりにもなると、彼女は自身の財布を彼に渡して、菓子類を買ってくるよう頼んだ。誘われたので、僕も同行した。そこで僕はまあまあなミスをするが、ここら辺の話は別に重要じゃないからいいや。結局彼女の財布は使われずに彼のパスモで支払われた。

僕はなんとなく、彼は彼女が好きなんだという気がした。彼が彼女に奢ったから好きなんだという発想ではない。何か、深い文脈が、ある気がしたのだ。学校の玄関口についたころ、そう思った。何か機会があれば、彼を応援しよう。と、思った。

開学した。相変わらず準備している。いつものポジション。彼女の手首に、綺麗なミサンガがついてることに気づいた。
「綺麗なミサンガだね。どこかの土産?」「ううん、一周年記念で編んでもらったの」「一周年って、なんの?」「交際の」「え、誰と?」「彼と」「彼?」「”彼”」

世界が、止まった気がした。心の中にある、感じたこともないような感情を、あなたたちの恋路が気になってしょうがないですよ、キュンキュンしてやまないですよというふうに着地させて、動揺を隠さないことにした。

「去年?!いつの去年?!去年っていつ?!」「去年は去年でしょ。文化祭の時くらいかな」「どっちが告ったの?!」「ウチだよ」「エッ!!どこで!!!!いつ!!!どんなふうに告ったの!!!」「ちょっとうるさいよ…」
あたりを見渡すと、数人がこちらを見ていた。
「ごめん」「文化祭後のアンケートの集計をやって、そのあと生徒会全員でマックに寄った時に告ったよ」「珍しい場所…どういうふうに?」「いや普通に…好きですって」「いやもうちょっとなんかあるでしょ。ずっと見てましたとか」「いやムリムリ」「そんで彼、なんて言ったのよ」「なんかおもしろようだからいいよーって言ってた。面白そうってなにって感じ」「そうか…」

この場に彼は、いない。彼らが、本当に付き合ってるのかという解像度が、少し上がった。去年か。僕は、去年、まだ彼を知らなかった。

「え、なんで彼好きになったのよ」「えーいやなんかぁ…なんていうだろ、私結構メンタル弱い方なんだけどね、去年の文化祭の準備でうち、みんなをまとめないといけなくてほんと大変だった時に、彼がやってきて、なんかやることあるー?ってきたのよ。もうピンときちゃって!」「弱ってる時に助けてもらったから〜って感じなのかな」「そうそう!そんな感じ!そしたらもう告る他ないっしょ!みたいな」

「えー…全然付き合ってるって知らなかった」
なぜ、あの場でただ同じ生徒会に所属しているというだけであそこまで話が盛り上がれるのか
「彼があまり公にしたくないってさ〜だから学校であまり話さないようにしてるんだけど、うちが好きすぎてもう周りにバレまくってるみたい」
気づかなかった。いや、本当に気づかなかったのかな。友達の誰かが、実際に誰かと付き合ってる状況なんて、僕の交友のなかじゃあ滅多になかった。
「あー…はは」
そうか、こんな気持ちになるのか。こんなに胸が踊るのか
「彼こないだ準備の時にさ、ねことーまだ気づいてないみたいだねえって言ってたよ」
踊るわけねえだろ!!クソいてえわバカが!!!!!!

ああぁぁぁぁああぁぁああ!!!!!!!!!!!!!そうかよ!!!お前ら付き合ってて、俺のあずかり知らぬ間に仲良くイチャイチャイチャイチャ!!そんな彼に至ってはお手製のミサンガまで編みやがって!!!!!!僕は彼に彼女を取られた?違う!彼女に彼を、簒奪されたんだ!!!!!!!
お前はもっと俺ともイチャイチャせんかい!!!昼休みずっと話してたろ!!体育祭の時は俺を探して席を俺の隣に置いたよな!!!俺以外に話してる相手なんて滅多にいなかったろ!!!俺がいなきゃこいつは孤独になると思って俺は体調不良でも毎日学校来てたんだよ俺は!!!!!!!お前はなんだ、俺がおすすめしたキャンプの動画を、その女と一緒に見たのかよ!!!!同じシーンを見て笑って、感想を共有してたのかよ!!!そのミサンガはどうやって渡した!!手渡しなのか!郵送なのか!!!!どうなんだよ!おい!!!!!!お前のその血管の浮き出た手はなんのためにある!!!その女と指を絡め合うためか?!違うだろ!!!!!俺とキャンプに行くためだろ!!!18歳になって、車の免許取って、一緒に行くんだろ!!お前が枝を集めて、俺がテントを張って、お前が持ってきた謎のハイテク道具にびっくりする予定だったろ!!!!!!俺はキャンプなんて行かないし、アウトドアなんてごめんだけどよ!!!お前となら行きたかったよ!!!!!クソが!!!

なのに俺…バカみたい。そりゃそうだよな。いくら友達と遊ぶったって、そのうち身を固める必要だってあるもんな。俺はお前とセックスはできないし、お前もキモがるだろうよ。僕もお前をそういう目で見れない。別に、僕はお前に彼女がいてほしくない、なんていうと極端だけど、せめて少しの間は、学校でだけでも、お前の一番でありたかったよ。やっぱりお前に彼女がいてほしくなかった。いてもいいのさ、別に。僕は全く、お前と交際したいわけではない。LBGTQとかそういうややこしい話じゃなくて、単純にそういう相手じゃないと思った。仮に付き合ったって荷が重い。でももうちょっと早く出会っていたら、彼は、彼女と交際することもなく、実際に僕とキャンプに行くこともあったのかな、と思うことがある。今ある現実を否定したいわけではない。でも、考えさせてくれたって、いいじゃないか。

ジェラシーは、全くもって醜いことだ。嫉妬は、人の感情の中でもかなり根源的な位置にあるらしい。また、フレンドガーティングという心理も存在していて、動物ですら、あるメスのシマウマは、他のメスのシマウマに嫉妬して噛みついたりすることもあるみたい。
理性的でないことは、つまりこの嫉妬の感情を心の中にしまっておけずに、どこかで表現してしまうことだと思う。ちょうど僕がこうしているように。

でもいくらこの感情表現して周りに知られたって、どうせ知らされないだけでみんな裏で作り出すんだろうなーーーああーーーーーー。

そう。君だよきみ。これを読んでるVRC民のきみ。僕が、いつの日だったか仲良くなって、きみと、僕と、他の誰かと一緒にワールド巡りをするんだ。僕はVRCLenzを取り出して、一日数百枚と撮ると、その中から3枚を厳選してLightroomで多少加工した後きみのタグをつけて画像ツイートするんだ!そうして過ごして数週間か数ヶ月経つ暁、僕がどこかで、遠くで、誰かと二人きりで輪から離れて会話するきみを見つけるんだ。その誰かってのは、きっと僕のフレンドだ。気づけば君たちは輪の中にいても、まるでそこだけが区切られたように二人の空間が広がるんだ。その人と会話する時だけ、きみは声色が優しいよね。この前会いに行った時、きみとその人が、頬を撫で合ってキスをするのを見たよ。幸せそうだったよね。そうして気づくと、二人の薬指にお揃いの指輪が嵌められるんだ。めでたいねえ。僕がそのことに気づいた数日後に、きみが、あるいは相手がTwitterで報告するわけ。お気づきかも知れませんが誰々さんとお砂糖しました。これからもどうのこうのと以下略!なんだあその写真はよ!夜空で二人仲良く並んで指輪見せて!はあ!キスまでした!堂々と公表してる!!はあ

おい!腐ったキンタマ!!!!!オオイヌノフグリ!!!俺を置いてかないでくれよ!!!!!!彼でもそうだし重ねていうが!俺はお前と付き合いたいわけじゃねえ…お前の感情を受け入れられる器なんて僕にはねえ!付き合って相手が病んで泣きつかれた暁には僕も病んで共倒れだ!!でもだめだ!お前は誰とも付き合っちゃいけない!僕とも付き合っちゃいけない!!一緒に仲良く遊びたいだけなんだ!!恋とか誰が好きとか、オフ会したとかしてないとか、そういう生々しい話はもういやなんだよ。

でもこういう考えがダメなのはわかってる!!本当にその人のことを愛しているならば素直に応援するのが一番だ!だから僕は君たちを応援している。でも、表層だけ繕うわけにも行かない、こういう考え方は、案外深刻なんだ。僕はあれがいやだ、これが嫌だと考えるうちに全てが嫌になるんだ。

彼らの間には、僕の預かり知れぬ過去があった。僕と出会う前、こんな出会いを果たして、僕と出会った後も、縁はこういうふうに続いていて、告白した時も、そこには当然僕はいないが、君たちにとっては延長線上の出来事でしかないんだろう。
だから僕は、その人の過去が垣間見えるものが、かなり嫌だったんだ。たとえば、きみとぼくが、一緒にご飯を食べている。きみがご飯を食べてるということは、過去にもご飯を食べてると言うことだろ。その延長線上で僕とご飯を食べてるんだろ。過去には家族か、友人か、一人か、それとも恋人とかと食べたことがあったんだろ。なんて不愉快だ!僕は、誰かがご飯を食べていることでさえ、脳が焼き切れるほど堪らなく不快に感じられた。その延長線上に、僕の知らない場所で、またさっきのようなことが起こるのではないかと思った。

でもどうしてかな、その人の、地平線まで、見えなくなるまで続いていく人生の延長線に、ほんのちょっとでも自分がいたという事実が、同時に堪らなく嬉しかった。僕はいつかきっと、この人と離れる。運命なんてたいそうなものではない。時の流れと、その時の気分によってさえ関わらなくなることはある。でも、たとえば、その人の家のゴミ箱の中に、僕と一緒に食べた店のレシートがあったならば、僕は涙を流して喜ぶと思う。なんでかと、思うかも知れない。この感情を全ての人にはわかってもらえないかも知れない。そのレシートの過去を遡ると、確かに僕がいたと言う事実が、僕の心をすっぱくさせるんだ。

きみが何かを好きならば、僕は、ただそれだけでそれをすごいと思うし、尊敬もする。
それは僕にとって堪らなく不愉快だけれど、ずっと心地のいい不愉快さだと思う。

はん!!!でも許したわけじゃねえからな!!!!!!たまたま出会って、めっちゃ感じがいい人だな〜仲良くなりたいな〜って思った人の薬指にはいつも指輪がついてる!別にその薬指欲しいわけじゃねえ!でも仲良くなり辛えだろ!!!!!!
その後にきっと僕は、途中から入ってきた名も知れぬその人とその相手との強烈なイチャイチャを見せつけられるんだ!!!二人イチャイチャして僕は蚊帳の外!!!!!!ああああ!!!!!!

お前ら!!相手を作るな!!!作らないでくれ!!!哀れな僕と遊んでおくれよ!!いや、作ってもいい!作ってもいいんだ!君たちにどんな相手がいてもいいんだ!!僕は外野から一方的に嫉妬を送る性根が腐った陰属性の取るに足らない人物だ!!こんなやつに構う必要なんてないさ!!構う必要性なんてないけれど…そんな僕を憐れむなら、どうか、どうか一緒に遊んでおくれよ…行かないでくれ…

この彼と、久々に図書館であった。嬉しかった。たまたま目に入った子供六法大全を手に取って、何々法の何条の内容とは何かって、大喜利しあった。やがて彼女が来ると、彼の腕を組んで、どこかに連れて行ってしまった。

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