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高崎レポート

高崎へ向かっている。
昨日は結局ぎりぎりまでZINEを作っていてろくすっぽ寝ていない。その上新しい会社の3週間の研修がやっと終わったところでクタクタ。八高線のローカル具合を見るのをちょっと楽しみにしていたが、ほとんど爆睡していて記憶なし。起きたら高崎だった。この電車に乗るのはもう15年ぶりくらい。大学一年生の冬に一泊温泉旅行に行こうということになり、伊香保の宿へ。温泉ではたっぷり癒されたものの、鈍行の列車移動で帰り着いたころには結局くたくただった。といういかにも若者らしいトホホな旅だった。でも、楽しかった。みんな、どうしてるだろうか?

9:30SNARKに到着。搬入については「10:30まで」とだけHPに記載があったけど、何時から開くのか聞いておくのを忘れた。一時間前くらいなら誰かいるだろうと思っていたのだが。先にホテルに荷物を預けに行こうかと迷ったが、早くZINE を届けたい思いだった。

しかし誰もおらず。しばらく待ってみたが、寒くなってきたし、ホテルの場所を調べたら現在地からけっこう近かったのでやはり先に荷物を預けに行くことに。

受付の女性はおそらく予約の時に電話に出た人だ。思ってたより年輩の方だった。声が若いのだ。荷物をカウンターに上げるとロビーに出てきてくれた。腕が肩より上に上がらないらしく、ぶら下げるようにしか持てないのだと言う。ちょっと悪いことをしてしまった。。
もう一度SNARKへ戻る。やはりまだ誰もいない。やっと人が来たと思ったら下のカフェのお兄さんだった。なんとなく「おはようございます」と挨拶した。なんとなく建物のガラスの美しい模様を眺めていた。試しにドアを押してみる。あ、開いてる!中に向かって「すみませーん!ごめんくださーい!」と声をかけたが、反応なし。もしかして勝手に入って置いてってってことなのか?わからん。
しばらくするとオシャレな感じの若者がふたり現れ、「あの、参加作家の者なんですが・・」と私に声をかけてきたので「私もなんです」と答える。やはり勝手がわからないらしい。下のカフェの人が何か知ってるかもと思い聞いてみることに。「入っていいですよ」とのこと。まじか。。
中に入って適当にZINE を置いていると他にも作家さんらしき人が入ってきて準備を始めだした。
そこへやっと主催の荻原さんとスタッフの女性がやってきた。私たちを見た荻原さんが「なんか人がいっぱい居る!」と言う。搬入締め切りの時間なのだから当たり前だ。
とりあえず自己紹介。「シラトリさんて高崎の人なんですか?」と聞かれたので「いえ、東京からです」 と答えると「こんなところまではるばる!」と驚いていた。エントリーの時とかその後何度か送ったメールに東京から行くと書いてあったのだが、ろくに読んでなかったらしい。そういえばDMが欲しいとメールしたら住所教えてくれたら送りますよという返事がきたので教えたけど、結局受け取ってないことを思い出した。忙しい人なのだろう。こちらは特に困らない。スタッフの女性が荻原さんに言われて掃除道具を持ってきた。「掃除するので皆さん一度出て下さい。」と荻原さんに言われたのだが、チェックインまでだいぶ時間があるし居るところもないので「よかったら手伝います。」と申し出た。「あ、じゃあ掃除道具シラトリさんに渡して」と荻原さんがスタッフの女性に言う。遠慮されるかと思いきや普通に手伝うことに。しかし暇が潰れて助かった。何よりイベントの運営側にちょっとでも関われて嬉しい。せっせと床を掃いていると、どこかで見たことあるマッシュルームカットの女性がやってきた。マツムラさんだ。会ったことはないけどすぐにわかった。彼女は以前に高崎のJAMCOVERで私のZINE を買ってくれて、インスタをフォローしてくれていたのだ。今日会えるのを楽しみにしていた。か、可愛い!「こんにちは」と声をかけてみた。すぐに私だと気づいてくれた。さすがに初対面でちょっとしどろもどろである。
掃除やセッティングが終わらない内にお客さんがぽつぽつとやって来だした。けっこう老若男女いる。若い人はみんなオシャレだ。こんな感じでゆるゆるとイベントは始まった。 </p>

ひと通りZINE を立ち読みしてるうちにお昼になったので下の階のNewboycoffeeでランチ。クロックムッシュとチャイ。美味しい。チャイはミルク感が濃くて飲んだことないタイプだった。カウンターの可愛い女性はさっき掃除用具を持ってきてくれた人だ。実は店主だったらしい。かっこいいなぁ。飲み物も食べ物も美味しいし置いてある本やレコードのセレクトがナイスだった。

SNARKを出て荻原さんのお店LEVELBOOKSへ。これまたオシャレリノベーション。もとはお寿司屋さんだったらしい。本のセレクトも超ナイス。お店番してたマツムラさんとお喋り。打ち解けて良かった。オリジナルのノート購入。

さて、チェックインまでまだまだ時間がある。少し街中を歩いてみることに。うーーん、何もないなぁ。。適当に歩いてるうちに古い商店街に出た。錆びた屋根は骨組みしか残っていない。閑散としている。古い書店や履物屋の中に風俗店がいくつもある。商店、風俗、風俗、商店、風俗・・・。そして時間が止まった映画館。その名もオリオン座。テナント募集のチラシが貼られたその物件は、飾ってあるポスター(ハリーポッターと秘密の部屋・ボーンアイデンティティ・イナフ)からして10年以上前から放置されてるっぽい。車が多いせいか少し空気が埃っぽく感じた。それ以前に掃除した時に顔に少し埃をあびてしまっていた。お風呂に入りたい。もともと2時間くらいしか寝ていなかったのでそろそろ疲れがピークだった。

そういえばSNARKの隣の隣に治療院があったことを思い出したので思わず足がそっちへ向かった。確かチラシには30分2200円と書かれていた。うん、悪くない。空きがあれば良いが。ディスプレイには古ぼけたお茶の水ハカセの置物。since2003と書かれた古いドアを恐る恐る押してみる。フロントに誰もいないので「すみませーん」と奥へ向かって声をかけると「はーい」と明るめのおじさんの声。予約なしで私くらいの年齢の女性が来るのは珍しいようだった。東京のリラクゼーションとは違い、昔ながらの整体院のようだった。おじさんは助手で先生はおじいさんだった。それはもうゴッドハンドで、指圧というよりリンパを流すような手つき。大変心地よい。最後に肩にスースーするクリームを塗ってもらったのだがこれがまた良かった。瀬術中、「今度時間があったらぜひ3時間くらいじっくりかけてやるコースを受けてみて下さい。オイルと針とマッサージをミックスした施術です。」とすすめられた。それやりたい!ぜひお願いします!と、言いたいところだが、悲しいかなお金がないのだった。次回は施術料も予算に入れとこう。

この時点で14:30。チェックインは15:00からだけどそれまでロビーで待たせてもらうことに。場末感パないビジネスホテルのロビー。マンガがいっぱいあるが、マッサージで多少マシになったとはいえ疲れてて読む気にはならなかった。ようやくチェックインしてすぐ持ってきた部屋着に着替えた。喫煙可の部屋しか予約とれなかったけど幸い匂いは気にならなかった。ユニットバスにお湯を溜め、入る。ああ〜〜最高。さっぱりしたところでベッドに潜り込む。お布団さいっこーー!掛け布団にくるまってそのまますうすう眠った。

起きたら夕方。夕飯はマツムラさんに教えてもらったワインバーに行こうと思っていた。ワインバーだけどカレーが美味しいらしいのだ。しかし眠い。もうちょっと寝てからにしよう。
再び起きたらもう21時。夕飯の時間ではない。とりあえず着替えて外へ。ZINEPHONYは夜のバータイムがあるのだ。23時まで楽しめる。良いイベントだな〜。簡単なおつまみとかあるかなと思ったが、わからないので一応近くのデイリーストアで肉まんを買った。かなり久しぶりに食べた。美味しい。結局これが夕飯になった。
バータイムは結局ドリンクだけだったので肉まんは大正解だった。お酒は呑めないので洋梨のジュース。奥のソファ席にマツムラさんがいた。失礼にもこの時でマツムラさんの名前をマツイさんだと思っていて、ついマツイさんと呼んでしまった。。特に訂正せずにいろいろ話した。本当に会えて良かった。会えるんだなと思った。SNSはもうひとつのコミュニケーションツールとして私の中では重要なものになっている。マツムラさんからあの商店街の話を聞いた。あの錆びた屋根は大雪の日に抜けて落っこちてしまったのだそうだ。それはもうこの世の終わりみたいな光景だったと言う。他にもZINEの話や、高崎の美味しいハンバーガー屋さんの話などなどだんだん打ち解けて私も少し饒舌になれた。楽しかった。

翌日はチェックアウトぎりぎりまでホテルでうだうだしていた。朝ごはんはホテルのサービスで軽食が出る。8時頃に降りて行ってそれを食べた。ロビーの片隅に食パン、サラダ、冷凍の焼きおにぎり、ジャーの中にはスープ。セルフサービス。スープの具は明らかにサラダと同じ野菜を使っている。しかし野菜ありがたい。スープだけおかわりした。疲れのせいか塩分が恋しく、前日に買っておいたインスタントの味噌汁も食べた。お腹いっぱいになるとやっぱり眠い。いくらでも眠れる。

12時ぎりぎりにチェックアウト。さてここからどこへ行くか。なるべくお金を使いたくない。とりあえずSNARKへ顔を出す。作品が少し増えていて、なかなか網羅しきれてないのがかえってありがたく、1時間ほど潰せた。椿まなみさんという人の写真が素敵で思わず購入。下のnewboyでもイベントをやっていたのでなんとなく立ち寄る。結局レモンケーキだけ買っておいとま。黄色いキャンディみたいな佇まいが可愛いケーキだ。

ようやくお腹がすいてきたのでマツムラさんに教えてもらったティンズバーガーへ。オールドアメリカンな感じ。ちょうど久しぶりに「ニューヨーク東8番街の奇跡」を見たばかりだったので、フランクの店みたいだと思った。意外なことにホールのスタッフが白髪でくるくるパーマをおばあちゃんだった。しかしちょいちょいミスをしてしまうらしく、店主に厳しくされていて少し心が傷んだ。店主の顔を見てみると、あれ?おばあちゃんにそっくりだ!どうやら(いやどう見ても)親子だ。そうか、身内だからこそ厳しくしてしまうんだなと思った。それでも親子で店を経営できるというのは素敵なことだとも思った。おばあちゃんも家でぼんやりしているよりも働いていたほうが淋しくなくて良いかも知れない。お店のロゴが入ったオシャレなTシャツがとても似合っている。そしてお待ちかねバーガー🍔がやってきた。で、でっか!!アボチーエッグ(🥑🧀🥚)をオーダーしたけれど、おばあちゃんに「ABC(🥑🥓🧀)お待たせしました。」と言われ、あれ?もしかしたら他の人に提供されるものが私に提供されるのでは?と心配になり、「あの、アボチーエッグを頼んだんですが・・」と言うとすかさず「あ、すみません、それアボチーエッグです。スタッフが言い間違えました。」と、店主。おばあちゃんは「メニューの名前間違えないでよ。」と、怒られてしまった。アボカドが入ってるメニューは沢山あって、おばあちゃんは何でもABCだと思ってしまうようだった。ABCのBがベーコンのBだと理解してないのかも知れない。たしかに、よく見れば🥓ではなく🥚が入っている。おばあちゃんに悪いことしたなぁ。申し訳ない。。それにしても大きな🍔。どうやって食べようか?と思っていたら店主が「食べづらかったらぐいっと掌で押して下さい」と言う。なるほどね。そんなわけでぐいっとやったら気持ち高さが減った。おちょぼ口の私はそれをむしゃむしゃと時間をかけて食べた。うーまい!🥑も新鮮なものを使っているようでとても濃厚でちょうど良い主張具合。レタスや🍅もたっぷりで大満足だった。その間おばあちゃんはキャンペーンの説明を何度も練習していた。店主は根気よくそれを聞いて、間違えたら言い直させるというのを繰り返していた。お会計を済ませるとさっそくおばあちゃんがキャンペーンの説明をしてくれた。「3ヶ月以内に5ポイント貯めると割引きします。」うん、ずっと聞いてたから知ってるよ、なんて野暮なことは言わない。ちょくちょく行きたいが次は半年後になってしまうのが申し訳なかった。

搬出の時間までまだあと2〜3時間あるので、図書館に行くことに、マツムラさん曰く蔵書がものすごい沢山あるのだとか。おまけにタダだし。楽しみだ。ここ最近では珍しく陽が出ていて暖かかったので、図書館の手前にある公園で一休みすることに。ベンチに腰掛けて持参した水筒に入れたお茶を飲みながら、さっき買ったレモンケーキを食べた。

寒くなってきたので図書館へ。たしかにすごい本の数。大人やティーン向けの絵本を読み漁る。あっという間に時間が過ぎた。

搬出の時間近くなりSNARKへ。すごい人いっぱい来てる。と言ってもほとんど参加作家だけど。昼間写真集を買った椿さんにも会えた。嬉しい。もうひとり時間ギリギリに来た若い女の子がナガタビvol.1をとても気に入って買ってくれた。食べることが大好きなのだと言う。食に関心が強い人は大好きだ。思えばSNSを通じて出会った人みんなそうかも知れない。マツムラさんも椿さんもnewboycoffeeのオーナーさんも、最後に出会った女の子も、みんなとてもオシャレで可愛かった。高崎、とてもアツイ街だ。名残惜しみながら、その場を去った。短いけど良い旅だった。