表紙

タイム分析について


**ご紹介:ローエングリン**

本記事は「とうけいば」と「ローエングリン」のコラボ記事になります。

皆さま、レースタイムというのはどこまで分析の対象にされておられるでしょうか。有名なところだと、グリーンチャンネルの先週の結果分析ですかね。馬場差などを見ながら、ゴールタイムが早いと、クラスが上がったときに通用しやすい、レースで負けた際にも、次走好走しやすい、などに使われるかと思います。

今回の記事は、「とうけいば」からは『タイムランクは本当に使えるデータなのか』の解析と、「ローエングリン」からは『レースタイムだけをみるのではなく、ラップをからんで考える』というコラボ記事を書いていこうと思います。


1, タイムランク分析 (とうけいば)

どうも!とうけいばです。

今回は「レースタイム」について説明したいと思います。

ここでは分かりやすくするため、グリーンチャンネル「先週の結果分析」で使われている「タイムランク」を使用しました。

タイムランクfig


タイムランクはA〜Eの5段階評価で、Aが最もレベルが高く、Eが最もレベルの低いレースになります。

では、早速ですが2015〜2019年における前走のタイムランク別の勝率を見てみましょう。

勝率


一目瞭然ですね。前走タイムランクがいいレースに出走した馬は、次走で好走しやすいことがわかります。

やはり、走破タイムは重要であることがわかりますね。

では、馬券収支的にはどうなるのでしょうか?

今回はバラつきを最小限にするため複勝回収率を使用し解析を行いました。


芝 時系列

画像4

上の結果は5年間のA~Eランクの回収率を解析したものです。

上の図をみていただくとわかるように、芝レースでは全ランクにおいて80%を切っており、回収率的には使えないことがわかると思います。

しかし、下の図に示したダートではタイムランクのいいほうが回収率がよく、Aランクでは90%超える優秀な値になっています。

☆ここまでのポイント:タイムランクがいいほど勝率はあがる!しかし、馬券的な妙味はダートのみで、芝レースでは使えない!


そこで、これらデータをもう少し詳しく見てみましょう。

まずは芝レースの解析です。

芝 じけいれつ


上の結果は芝戦における一年ごとの回収率です。

結果から、2015年頃までは前走タイムランクのいい馬を買えば回収率が高かったことがわかります。

しかし、年々回収率は下がり、近年ではA〜Eランクでほとんど差がなくなっています。

これは
・タイムを重視して馬券を購入する人が増えた
・芝戦は展開や馬場による紛れが大きく、タイムによる影響が少ない

ことが考えられます。
では、芝に比べて能力通りに決まりやすいダート戦はどうなるのでしょうか?

以下がその結果です。

ダート 時系列

ダート戦では近5年においてタイムランクがいいほど回収率が高くなっていることがわかります。

これは芝よりもダートのほうが展開による紛れが少なく、前走のタイムが着順にそのまま反映されやすいことが要因と考えられます。

また近年もダート戦ではタイムを重要視してる人が少ない可能性が考えられますね。

☆とうけいばのまとめ☆
・前走タイムランクがいい馬の勝率は優秀!
・回収率でみると芝においては妙味なし。
・ダートは回収率も優秀!ダート戦こそ走破タイムを重視!


2, 走破タイムとラップの考え方(ローエングリン)

とうけいばさんの記事では、芝のタイムランクは有用ではなくて、ダートは有用性が高い、という結果がでました。まずは、これを私なりに考えていこうと思います。

これは自分の推察ではあるのですが、最近の中央競馬の芝高速化が影響している可能性が高いかなと思っています。

ダートについては、中央競馬開催での砂圧は大きくかわらないと思っていて、東京であっても、中山であっても、小倉であっても、コースへの適性、というアプローチは考えるところは大きくありますが、砂圧が違うよね、というところまで踏み込んで考えることはないかと思います。

ただ、芝コースについては、メイン開催4場の開幕週の高速化が如実になってきており、ここからローカルとの馬場差がかなり違いを産んでしまうこと、また、メイン4場についても、馬場が悪くなってきたと思ったら、いきなり復活するなど、足元の状況にかなりレース結果が左右されやすい、という部分があるんだと思います。コース適性に加え、馬場の状況も馬券結果に反映される、という意味ですね。

そのため、開幕週でかなり早いタイムで勝ちました、という馬が、次走ローカルにいって適性負け、開催後半時計かかっている中でよいタイムで好走が、開幕週本当に早い馬場にいってスピード負け、なんてパターンもあるんだと思います。

そのため、ダートのほうが、タイム指数をすんなり信用しやすい、という結果になっているんだと推察します。

では、考えを変えて、レースタイム、というのはどういうことなのかを考えていきましょうか。

これから、あたりまえのことをいっていきますが、競馬はセパレートコースで走るわけではなく、オープンコースでどの進路を通ってもOKになります。また、ペースメーカーがいるわけではないので、レースのラップタイムも変わってくるわけですね。また、馬場ももちろん違う訳なので、東京でも中山でも開幕週の小倉でも、開催最後の福島でも、同じ土俵で比べることになるわけです。

ということは、レース全体の時計、というのは、「途中のスピードが違う」、「走っている芝やダートの状況も違う」なか、タイムを比べる、ということになり、かなりの補正が必要になるわけです。

そのため、タイムが遅いからだめ、早いからすごい、という考え方はせず、馬場差も意識して、レースラップも意識して考える必要がある、となり、前述した内容につながってきます。

ここから身も蓋もないことを書きますが、私は芝については全くレースタイムを重要視していません。理由は馬場差はリアルタイムで変わるものですし、最初早いタイムで逃げればレースタイムは早くなってくるので、そこで比較をしようとすると、時間がかなりかかる、というところが理由になります。利用をするのは、レースタイムが早いときに、走破した馬の脚力は高いな、と判断するときぐらいになり、レースタイムが遅い、については、何も参考にしないようにしています。理由は後述します。
*ダートについては、少し参考にする程度です。私はレース内前後の動きを重要視するので、単純に早いよ、というだけでは、信じられない、というのが根幹にあるためです。ただ、前述したように、芝よりは信用度も高く、後述する条件で好走している、という場合には、素直に信用するようにしています。

上記のため、私はラップをみていきます。なぜラップなのかというと、レースの途中の動きをみることで、どの部分で馬がきつくなったのか、を把握することができるからですね。

ラップの詳細については、私の有料記事で書いていますので、興味がある方はご覧いただければと思います。基礎的な内容はこの記事でフォローしていきます。
*下記リンクのラップって何?が無料にて記載した概念についてで、【ラップ分析】消耗戦と瞬発戦の考え方 にて、レースに対しての取り組み方法を記載しています。


1例を書いていきましょうか。
3/7に実施された中山1200mの未勝利戦、1、3Rのラップとなります。
*芝だと同一日に同条件で開催されるレースが少ないので、ダート戦をサンプルにしています。

1R:12.0 - 10.9 - 11.5 - 12.3 - 12.2 - 13.5( 1:12.4)
3R: 12.0 - 10.6 - 11.4 - 12.3 - 12.5 - 13.4(1:12.2)

どちらも前のこり決着になるので、ほぼ内容的に変わりはないかなと思います。では、ここから何が読み取れるのか?になると、3Rのほうが逃げ馬にかかる負荷が高いんですね。最初逃げるのにダッシュをしていて、3Fで0.4(私が実際に確認するときは1F単位でチェックしますが)早くなります。もちろん、早く逃げれば最後とまってしまう可能性が高くなりますので、逃げ馬はリスクを背負いますし、逃げ切ることができれば、優秀、という考え方ができるわけです。

ラップの基本的な考え方は、
「テンのダッシュ」「中間の動き」「最後の加速」
の3ブロックにわかれる考え方を私はしており、各セクションでチェックを行うことで、全体時計を確認せず、どのブロックで優秀だったのか、だめだったのか、を把握することで、次走にいかすことができるようになります。

先程の例でいうと、1Rよりは3Rのほうがレースの入りが優秀で、同レースの2着馬の先行馬が次回同条件で出走をしてきた時は、負荷のかかり方だと、3Rのほうが優秀だね、と考えることができるようになります。
(もちろん、中間、最後の加速の状況もチェックした上で結論を出すのですが、他が今回はほぼ一緒なので、結論はだしやすいです。もちろん、逃げ馬から先行した馬がどれくらい離されているのか、を確認する必要もあります。)

この考え方だと、ラップの前後をみることで、どれだけ加速したのか、減速をしたのか、を考えればよいので、全体のタイムを無視して考えることができるようになりますね。

一気に加速すれば、もちろん負荷がかかりますし、減速すれば、その分楽になるわけで、これは馬場差で多少なり影響は受けるものの、全体時計ほどの補正をして確認をする必要がなくなります。

これが、ラップを確認する意味の1つになります。みなさんも、ラップを見たことがないよ、という方がいらっしゃれば、このような考え方で見ていただくと、競馬に対しての知見が広がってくると思います。

では最後に、レース時計が遅いときに気にしない理由と、レース時計が早いときに確認を行う理由を書いていきます。

まず、レース時計が遅い場合には、逃げが遅かった、馬場が緩かった、などの理由が挙げられます。時計が遅いから弱いよね、と考えてしまうのは早計で、逃げが遅くても、途中でレースラップに大きな動きがあった、などがあれば、レースそのもの十分評価できる可能性があるからです。

自分が大好きなレースで1例を。
2018/12/28のD1800mの新馬戦になります。

13.3 - 11.6 - 14.4 - 13.7 - 13.6 - 13.5 - 12.2 - 12.0 - 12.4(1:56.7)

買った馬はマッスルビーチ、超がつくハイレベル戦で、5着までが勝ち上がりだけではなく、後に3勝クラスまで全てが勝ち上がっています。

レースタイムは 1:56.7、同日の未勝利戦が 1:55.8なので、タイムだけを比較したら、たいしたことがないレース、の判断になってしまうわけです。

では、このレースのどこがレベルが高いのか、というと、14.4とキャンターレベルまで緩み、そのあともゆったり入ったものの、13.5-12.2で加速がなされ、そのスピードを最後まで衰えることなく継続した、ということになります。もちろん、ダッシュ区間が長くなれば、馬にかかる負荷は高くなりますが、それを新馬でこなした、というところに価値があるわけですね。

12.8 - 11.4 - 13.8 - 13.1 - 12.8 - 12.5 - 12.6 - 12.8 - 14.0

前述した同日の未勝利戦がこれ、最後にがっつりとまっていることがわかると思います。

このように、レースラップの細部を確認することで、強いレースを見つけることができることもあるわけです。これで、タイムが遅いを判断材料にしない理由がおわかりいただけたでしょうか。

では、レースラップが早いときに確認を行う、理由を確認していきます。

まず、レースの合計タイムが早い、ということは、走破した馬の脚力そのものが高い、というのはそのまま評価できるポイントになります。

これはあたりまえな話しで、絶対能力の低い馬がどう頑張っても、早いタイムで走破することはできないからですね。

そのため、タイムが早いということは、それだけで一定の評価は与えてよい、ということにはなります。

では、次に無条件に買えばよいのか、というと、そうではありません。

なぜかというと、セパレートコースで走る分には、周りの干渉をうけないので、そのままタイムを活かすことができますが、オープンコースで走るということは、同じタイムで走ろうと思っても、他に阻害要因がでてくるからです。

自分の評価ポイントとしては、逃げてそのタイムをだしたのか(逃げ方もポイント)、先行ないし差してそのタイムをだしたのか、が大事になります。

誰にも絡まれずに逃げてタイムをだした場合には、その馬のポテンシャルをフルに活かしてのタイムになるケースが多いので、次走逃げられなかった時や、逃げてもまわりに突かれたときに、自分のリズムが出せずに、凡走する可能性があがってきます。

逆に、先行ないし差して早いタイムをだしたときには、前に必ずターゲットがいて、自分のリズムではない状況の中で時計を計測しているので、次走同じようなパフォーマンスをする可能性が多少なり高くなります。もちろん、ペースやまわりのプレッシャーは変わってくるので、100%力を発揮できないケースもありますが、早いタイムで走れている以上、ラップもそこそこ以上のスピードで流れている可能性が高く、ペースで惑わされる、という可能性はかなり減ってきます。


今回の記事はいかがでしょうか。皆さまのお役にたてば幸いです。

今後とも、「とうけいば」と「ローエングリン」をよろしくお願いいたします。




いつもご覧いただきありがとうございます。皆様からのサポートのお陰でモチベーションを保てています。これからも優良な情報を提供できるようより一層努力しますので、応援のほど宜しくお願いいたします。