令和五年度 鉄道要覧を読む (1)
はじめに
学生時代の終わりころからの乗り鉄です。いろいろなファンサイトで頻発する資料名でありながら、「鉄道要覧」の現物に触れたことがありませんでした。そういう方、多いのではないでしょうか。
一度は、ちゃんと入手しておこう、ということで、このたび最新版を購入しました。また、比較対象とするべく、過去の鉄道要覧(JR発足以前の「民鉄要覧」「私鉄要覧」が中心)も入手しました。以下、適宜比較しつつ、内容をご紹介します。
外観
(以下、特記事項のないものは令和5年度版での値)
重量:1kg
定価:6,800円(本体6,182円)
判型:A4判(入手出来ている範囲では、「民鉄要覧」「私鉄要覧」はB5版)
ページ数:462ページ
令和5年10月1日発行
監修者:国土交通省鉄道局(省庁再編前は運輸省鉄道監督局→同省鉄道局)
発行所:株式会社電気車研究会・鉄道図書刊行会
近年の値上げペースがすごい。
(以下、それぞれ消費税込み、端数切り捨て)
平成9年 4,169円→平成19年 4,713円→平成21年か22年 5,238円→平成25年 6,076円→平成26年 6,090円(消費税率変更)→令和元年 6,500円→令和5年 6,800円
章立て
中表紙
目次
凡例
鉄道・軌道索引
JR各社→他鉄道・軌道事業者名五十音順
運輸局別開業者数・キロ数表
北海道・東北・北陸信越・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の各運輸局と、沖縄総合事務局について、鉄道・軌道それぞれの開業者数とキロ数が掲載されている
開業者数には、未開業の路線しかない事業者の数も含まれている
JR発足以前の民鉄要覧・私鉄要覧では、国鉄のキロ数は含まれていない
運輸局営業キロ数一覧表(鉄道・軌道)
鋼索線(ケーブルカー)もこちらに含まれる
運輸局別営業キロ一覧表(索道)
令和4年度鉄道・軌道の許可・特許等一覧表
参考情報として、令和5年4月1日に予定されていることも記載されている
かつては、運輸局別路線図の後(巻末;各社別路線図が掲載されるようになってからはその前)に掲載されていた。掲載位置変更時期は不明。
鉄道
普通鉄道〔JR〕、普通鉄道、鋼索鉄道、懸垂式鉄道、跨座式鉄道、案内軌条式鉄道、無軌条電車の7つの節に分かれている
国鉄時代は、章の名前が「地方鉄道」。「(1) 普通鉄道」と「(2) 特殊鉄道」の2つの節に分かれていて、(2)の中にさらに「(イ)鋼索鉄道」「(ロ)懸垂式鉄道」「(ハ)跨座式鉄道」「(ニ)案内軌条式鉄道」「(ホ)無軌条電車」の節があった。
国鉄時代は、国鉄路線の掲載はなし。JR発足後もしばらくは、JR路線は「専用鉄道」の章の次の章で参考情報として掲載されている。(平成元年度版で確認。)
軌道
軌道、懸垂式モノレール、跨座式モノレール、案内軌条式、浮上式の5つの節に分かれている
確認できる範囲では、「民鉄要覧」「私鉄要覧」にこれらの節はない。これは、「節を分けていない」のではなく、そもそも「軌道法に準拠して設置されたモノレールや新交通システムが無かった」ものと想定される。
昭和46年版には、「軌道」の章の次に「無軌条電車」という章が(上述「(ホ)無軌条電車」とは別に)ある。セクション見出しでは「軌道(無軌条電車)」という章名。横浜市営トロリーバスの廃止に伴い、昭和49年版までに章消滅。
専用鉄道
令和5年度版には存在しない章
平成7年版を最後に掲載されなくなったとの情報がある。それまでも、網羅的に掲載されていたわけではないとの情報も。
鉄道・軌道事業者の主な株主一覧表
私鉄要覧・民鉄要覧では不掲載?
全国運輸局別路線略図
かつての「民鉄要覧」時代からずっと、JR線は細い線で、JR駅は分岐駅・終端駅のみが記載され、民鉄各線が太線で描かれている
JR7社の各社別線路図
JR発足前は不掲載
次の章の「各社別路線図」のJR版という位置づけか
会社別(JR貨物含む)に全線・全駅が記載されている。運輸局別路線略図と逆に、民鉄線は細線。
鉄道・軌道の各社別線路図
昭和53年度版から掲載
索道事業
「(1) 普通索道」「(2) 特殊索道」の2つの節に分かれている
かつては、専用鉄道の次、全国運輸局別路線略図の前にあり、「(1) 普通索道」「(2) 甲種特殊索道」「(3) 乙種特殊索道」「(4) 丙種特殊索道」の節に分かれていた。
1997年の鉄道事業法施行規則改正で、甲種~丙種の分類は廃止
項目ごとの詳細については、別記事にします。
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