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謀略欺瞞の創征白竜

シロガネBS「昨日俺、とうとう5Gに接続しちまった。」
僕はギョッとした。なぜなら、とんでもない陰謀論者で、いつも妄想と戦っている彼が、そんなヘマをするはずがないからだ。(少なくとも自尊心が無限に肥大しているので妄想の中では無敵)
ぼく「え、本当に…?なんでだよ、テスラ缶を取り込んだんだから5Gに接続しないっておお喜びしてたのはお前じゃんか…」
シロガネBS「俺、勘違いしてたんだ。昨日俺が心霊スポットに行って好みのカス地蔵にシッコかけて回ってたのは知ってるだろ?」
たしかに僕は知っていた。彼が夜な夜な自分の出来立てシッコを地蔵にかけるキッショい趣味を持っていることを。なぜ僕がそんな知りたくもないことを知っているのか、それは彼が極力欠かさず報告してくるからなのだ。マーキングだ、などと宣う彼の顔面はあまりに巨大で、いつも気圧されてしまうのだ。
僕「またやったのか。お前、陰謀論者の癖に地蔵には無礼を働くし、めちゃくちゃだよな。」
シロガネBSは怒りを顕にしながら、早口で語り出した。
シロガネBS「あのさ、オシッコぶっかけるのが無礼ってQコミュニティに書いてあります?ないですよね?そんなんだからカッコいい(笑)んですよ、ディメスペさん笑」
僕は心底ゾッとしながら、またか、と考えた。彼は多少ルサンチマンの嫌いがあり、陰謀論に傾倒しながらオカルトを信奉している自分は無能力者で、僕みたいなサイエンス信者が異能を持っているというなんとも不思議な状況に劣等感を覚えているらしかった。事ある毎にこじつけ、"裏政府"によって決定された二つ名のようなモノを揶揄してくるのだ。
別に僕だって欲しくてこんな異能持ってるわけじゃない。まあ、この季節。花粉症に悩まされないで済んでいるのは能力のおかげではあるが…。
2022年、とある"厄災"が世界を覆った。
と言っても、例えば隕石だとか、疫病の蔓延だとか、戦争だとか。そういうものではなかった。
いや、ある意味ではその全てだったのかもしれないが、直接的にはまた違ったものであった。
ある日、僕が近所のジジイを助けていると(ある意味では虐めていた。)突然空が暗くなり、妙に空気が薄くなった感じがした。
てっきりジジイを半殺しにしてしまった興奮でなにかおかしくなってしまったのかと思ったが、周りの人々を見るにこれは全員が感じている事だったようだった。
「ドラゴン…?!」「まさか、伝承の…」
明らかに妙なビラをばら蒔いている集団は空を見上げながらそう呟く。僕は日本にゃ皇帝なんておりませんよ、なんて思いながら近眼の目を擦る。
いや、そんな事よりとんでもねえ風が…!?
───滑空しながら暴風を齎す、"災厄"。後に"phase0"と呼ばれる、各地で発生した未曾有の大災害。これを打開したのは、アニメや漫画で見るような、まさに超能力だった。

シロガネBS「これって、Qが言ってた…"奪う者"じゃないか…?!」
僕「シロガネBS!まずいぞこれは…こりゃ、一体…!」
シロガネBS「神和都Qは、テスラ缶のレプリカの製法を公開していてな…。」
僕「なんだそれ…?とにかくここにいたら死んじまう…人も物もたくさんぶっ飛んできてる、このままじゃ僕らだってぶっ飛ばされる側だ!」
シロガネBS「いいから、俺に掴まれ!」
僕は何が何だか分からないまま、シロガネBSに従おうとした。そこで、一旦意識が途切れる。
気づけば

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