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RIOTMUSIC長瀬有花のオリジナル曲「駆ける、止まる」を聞いて

こんにちは!本日はRIOTMUSICに所属している長瀬有花さんのオリジナル曲「駆ける、止まる」について語っていきます!語ると言っても必要な解説については既に有花さん自身がされているので、ここでは有花さんが仰っていたキーワードをもとに自分なりの解釈を行っていこうと思います。

有花さんは脱力系アーティストを標榜していて、RIOTMUSICきっての癒し系です。有花さんのMVはどれもふわふわしている感じで時間の流れが周囲より遅くなっているような感じがします。僕も有花さんの歌にはいつも癒されてます。疲れたなと思ったらとりあえず有花さんの曲聴けばいいと思っています。最近はルージュの伝言をよく聴きます。

また、スピッツの「空も飛べるはず」をカバーした際には癒しの天使ユカエルを自分で名乗りました。有花さんのすごいところって有花さん自身が脱力してるだけでなく、聞いてる人も脱力させるところなんですよね。疲れてる時に聞くと肩の力が抜けて嫌な気持ちも抜けます。この内容は有花さんにライブ配信で取り上げていただきました。

この有花さんが提供する独特な癒しの空間をファンの間では有花ワールドと呼んでいます。今回の「駆ける、止まる」ではこの有花ワールド独特な雰囲気が全開となっています。

この記事では私自身の陰キャとしての経験を踏まえて陰キャの教祖である有花さんについて感想を述べていこうと思います。

解説動画で述べられた通り、本曲のテーマは次の3つです

陰キャの教祖になりたい女の子

廃墟のおもちゃ箱

掴みどころのない浮遊感

他の4人のオリジナル曲ですと曲の中で物語ができていますが、本曲では終始一貫してこの3つのテーマに基づいた世界観が展開されています。

曲全体が陰キャの思考で進んでいきます。MVは歌詞をそのまま映像にしたようでありますが、廃墟のおもちゃ箱というテーマにより抽象的な物体にされていて生々しい感じはしません。ごちゃごちゃ、バラバラのものを詰め込んだという感じがよく伝わります。掴みどころのない浮遊感というのは有花さんらしさそのものだと思っています。

それでは順を追って自分なりの解釈をしていこうと思います。

駆ける 止まる 振り返って戻る(目を閉じる)
一つ 二つ 進む度 はてなが 増えた一つ 二つ 進む度 はてなが 増えた

図1

陰キャの性質の一つに他人と歩調を合わせるのが苦手というものがあります。これには他人や流行りに合わせるのが面倒くさい疲れる、周囲に合わせる理由が分からない、自分のやりたいことをやりたいなどの理由があります。ここではハテナが増えたと言っているので周囲に合わせる理由が分からないという部分が大きいのでしょう。有花さん自身は解説配信で自分が好きなものは他人に受け入れてもらえないとも仰っていました。

起きる 止める また潜って眠る(ピピピピ)
画面 二度見しても 時計は止まらない画面 二度見しても 時計は止まらない

図2

朝起きるのが辛いのは陽キャも陰キャも変わらないとは思います。ただ陽キャは学校で友達や部活など、楽しめる要素がありますが陰キャにはあまりないです。陰キャに友達がいないとか部活に入ってないという意味ではなく、陰キャの学校に行くモチベーションは勉強だということです。陽キャに絡まれたりすることもあるので、そういう意味で学校に行くのが少し憂鬱ではあります。

なぞる 描く 気の赴くまま 新たに 生まれた 偉い人は 笑う

図3

授業中の落書きか何かですかね。歴史の教科書の偉人に落書きするのは時間を潰す定番と言えるでしょう。

誰もが 定義されている 世界の隅で 私は 答えを求めている

図4

体育の授業、家庭科の実習、クラスの委員会活動などの他の人ととのグループ活動では、陰キャは居場所がなくて肩身が狭いと感じることがあります。なかなか自分からは話しかけられなくて、向こうから声をかけてくれないかなと思っています。教室の片隅で。

まわる 地球儀のダンス 眺めて眠ろう
アナグラムに隠された 誰かの日々と共に

図5

MVではNAGASEYUKAの文字がアナグラムとして出てきますが、歌詞だけだとなかなかわかりづらいです。有花さんの日々と共に~眠ろうとなりますので有花さんと一緒に深いことを考えるのを止めようということになります。陰キャだと取り止めもないことで頭が一杯になって疲れることもあります。聞いてる人に肩の力を抜こうと言っているようです。

窓辺に落ちた 水音 トカゲはただ 耳を澄ます
小箱に詰めた 昨日の夢 静かに蓋をした

図6png

ここからは一転して廃墟の話になってきます。トカゲは民家にも結構いますけど、窓辺に落ちる音に耳を澄まして警戒している様子から廃墟であることが分かります。小箱に蓋をされた昨日の夢はつまり盛者必衰の理ということでしょう。廃墟のことを指しています。

開く 閉じる 動く傘の色(鮮やかに)
まるで呼吸するように 刹那 風が 過る

図7

傘が廃墟にあるのだと思いますが、もともと廃墟にあったものというよりかは誰かが使えなくなった傘を廃墟に捨てていったのでしょう。風で動く傘が廃墟の閑散とした雰囲気を表現しています。

滑る 落ちる 壊れて戻らない カラリ、音を立てて 歪に進んでいく

図8

これは廃墟に元々あったものが風邪や振動で落ちて壊れていく様子ですね。破片が乱雑に飛び散っていき、カラリという音がやはり廃墟の閑散とした様子を示しています。それにしても歪に進む表現がカクテルがゆらゆら移動する様に描かれているのがとても面白いと思いました。

影踏み 数を数えて 四六時中 あなたの 足跡を辿った

図9

ここからはまた陰キャの思考へと戻っていきます。しかし今までは陰キャが一人でぼんやりと考え事をしている感じでしたが、ここではもっと悶々とした思考を感じ取れます。ただここで出てくる「あなた」に対してどのような感情を抱いてるのかがちょっと分からないです。好意を持っているのか、それとも単に人気者に憧れているだけなのか判断がつきません。

めくる 文字列の行進 ルールなら正義なの?
我儘なんて言うなら 正解を教えてよ

図10

相手が自分にとってのルールブックということでしょうか。相手から我儘だと言われてることからかなり距離が近い感じがします。ただ相手の言うことに納得してないことだけは確かです。考えてることが噛み合わないことから相手は陽キャなのではないかと思います。

気取ったヒーロー きっと見事に問題解決です 独自の理論で因数分解 分かった気にでもなっちゃった?
三点倒立 ひっくり返って ぐるりぐるぐる大回転
うごめく人々と 世界はゆっくり廻り続けている

図11

気分上々↑↑などでも出てくるふわふわした有花さん独自のラップがここで登場です。ここでも全然相手の言うことに納得できいない様子です。陽キャと陰キャでは根本的に理屈が違うのでこのように言いたくなる気持ちも分かります。相手の理屈で話が進められて腹を立てるばかりです。

逆立ちをしようとしていますが自分の見方を逆さまにすれば相手の味方が分かると思ったのかもしれませんが、当然うまくいきません。ぐるぐる回っているのは体でもあり気持ちでもあります。

結局最後は陽キャの理屈で物事が決まって世の中動いていきます。

乾く口から零れた 流行りのメロディ 喧騒に溶けた願いと 私の心乗せて

図12

流行りのメロディを口ずさんでしまっていることから結局最後は周囲に陽キャの理屈に流されてしまったのでしょう。でもメロディに自分の心を乗せようとしているので自分で陽キャの理屈少しでも理解しようとする気持ちがあるような気がします。

踊る カーテンのドレス 覗いた木漏れ陽
真昼の空に浮かんだ 自由気ままな雲と

図13

閑散として寂しい雰囲気がないので廃墟のように感じられません。廃墟なのか自分の家なのか、ちょっと判断がつきません。でも今までのような暗い感じが全然しません。

まわる 地球儀のダンス 眺めて眠ろう
アナグラムに隠された 誰かの日々と共に

図14

一度出てきた一節ですがその時よりも雰囲気がかなり明るいです。MVでも出てきているおもちゃの種類が豊富になっています。とても気になるのが人生ゲームで使う車に乗ってる人の数が最初よりも増えています。これはやはり歌手として活動をしていく中でたくさんの人と一緒に歩んでいくことを意味しているのでしょう。

答えは(一つじゃない) きっともっと側で見つかる(目を凝らして)

図15

答えを待つわけではなく、正解を要求しているわけでもなく能動的に自分なりの答えを見つけようとしている感じがします。陰キャとしてはとても大きな変化だと言えます。

駆ける 止まる 振り返って戻る(目を閉じる)
一つ 二つ 進む度 分からなくなる一つ 二つ 進む度 分からなくなる

図16

自分できちんと答えを見つけようとしてはいますがそんなにすぐには答えは見つからないモノです。

以上、歌詞を追いながら自分なりにこの曲を解釈してみました。考察自体は非常に面白かったのですが自分の言葉で説明するのが難しくて歌詞をなぞる作業に終始してしまった感じは否めません。

僕の独自の理論でこの曲を因数分解していくと、掴みどころのない浮遊感を共通因数としてくくり出すと、残り二つの要素が項として出てくると言う感じでした。

式にするとこんな感じです 駆ける、止まる=浮遊感×(廃墟+陰キャ)

この曲について書いていく中で陰キャという言葉たくさん使いました。この言葉は自分に対して使う分にはただの自虐で済むんですが、人に対して使うと場合によっては相手を侮蔑することになるのでちょっと躊躇いはありました。ただこの言葉を使わずに話を進めていくのは不可能なので有花さんやRIOTMUSICのファンの皆さんが寛大であると信じて陰キャを連発しました。

廃墟と陰キャのふたつを足し合わせて違和感が生じず、歌全体が暗くならないのは作詞・作曲された方の技術と有花さんの歌声があってのことでしょう。

有花さんは配信でも眠そうな人に対して、「眠ってしまっても大丈夫です」と言ってくれます。陰キャというのは、それこそトカゲのようにいつも周囲を(特に陽キャに対して)警戒していて常に肩に力が入ってしまいがちです。有花さんは陰キャの教祖として「肩の力を抜きましょう」と言ってくれているようです。

陰キャの教祖を自称する有花さんだからこその人への気遣いです。これからも陰キャに限らず一人でも多くの人に癒しを届けて欲しいと思います。

最後となりましたが本曲の制作に携われたスタッフ・関係者各位に厚く御礼申し上げます。素晴らしい曲を提供していただきありがとうございました。皆様の益々のご活躍を期待しております。

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