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Zoomの音の遅延はどれくらいか?

Zoomの良さ

Zoomの良い点として、動作が軽い、高音質、遅延が少ない、といった点が上げられます。音質については個々の集音環境が異なるので一律に語るのは難しいです。では、遅延についてはどうでしょうか?

Zoomを使ったことのある方ならわかると思いますが、電話でのやり取りのように、聞いたり話したりすることは問題なくできます。しかしながら、いかにアプリがサクサクで、高音質で音声のやりとりができたとしても、会話が成立しなければ意味がありません。

ここで重要になってくるのが音の遅延です。ですが、この遅延について詳細に語られている情報は多くありません。特にベースインフラとなるインターネットが多くの方にとってベストエフォートなため、正確な情報を出すことができないんですね。

そこで、気になっていたZoomの遅延について、自分で環境を作って計測することにしました。

音の遅延の計測結果について

(この記事では環境については詳細に記載せず、結果についてのみ記載します。環境構築の詳細については今後別記事で共有予定です。)

2台の端末で別々のZoom IDでアプリにログインし、片方が開催した会議に参加します。送信元となる端末でテスト信号音を再生し、Zoomへ音声として送ります。また同時に受信側の端末と音声ケーブルで接続し、テスト信号音を送ります。受信側の端末では、音声ケーブルからとZoomからの両方のテスト信号を録音し、2つの音声にどれくらいの違いがあったのかを確認します。

(2020/4/30追記)
その後、別のテストをしてLAN内の2台の端末による1対1接続では、クラウドを経由しない直接接続であることが分かりました。3台以上が接続した後の、クラウド接続時の遅延については別途計測する予定です。

下のキャプチャ図が結果です

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上下2段ある内の上の方が音声ケーブルからの音、つまり遅れのない元の音となります。下の段がZoomを経由して録音された音です。見ての通り明らかにズレがあり、このズレが音の遅延となります。この2つの音の差を計測することでZoomの音の遅延がどれくらいあるかを知ることができます。

このテストの結果では「26,927 samples ※」、秒数に直すと約0.140秒(140msec)となりました。※(録音サンプリング周波数は192kHz)

(4/18: 遅延計測の録音を再生した動画を追加公開しました)

音の遅延の評価

テストをするにあたり、可能な限り正確に計測するための環境構築を行いました。とはいえインターネットの混雑状況や時間帯による影響は排除できません。何度かテストを繰り返すうち、会議に参加した直後に遅延が約267msecのこともありました。その場合は一度会議を抜けて入り直すだけで改善される、といったことも分かりました。

何度か繰り返して収束した結果が先の約140msecの遅延となります。会議参加者も2人のみでかなり良い条件下ではありますが、目安となる計測結果を得られることができました。ただし、この結果だけではこの数値が十分に小さい値なのかどうかわかりません。現時点で分かることは「Zoomの品質のWeb会議でも約140msec程度の遅れはある」ということです。

今後、同じ計測環境で他のWeb会議システムについても計測を行い、それぞれの差を調べていきたいと思います。また、詳細な環境構築の情報についてもご興味があれば記事をご期待ください。

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