劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」感想(小説版・劇場版ネタバレあり)

はじめに

 本日(6/11)は職場の有給休暇推奨日であり有給をとったので、たまたま公開初日だった劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を観賞してきたので感想を書くこととする。

前置き(ネタバレなし)

 そもそもなんでこの映画を見に行ったかというと、個人的には平成中期の神キャラゲー四天王の一つと思っている「SDガンダム G-GENERATION F」に「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」が収録されていたからである。(ちなみに他の四天王は「ウルトラマン Fighting Evolution 3」「仮面ライダーV3」「忍風戦隊ハリケンジャー」。) このゲームでは多数のガンダム作品が参戦しており、スパロボみたくクロスオーバーものではないが、プレイヤーの操るオリジナルキャラが自分で設計・生産・鹵獲したガンダムを操り、各ガンダム作品のシナリオを追っていくというものである。
 このガンダム作品の中にはガンダムといったTVアニメシリーズから、「機動戦士ガンダム THE BLUE DESTINY」「機動戦士クロスボーンガンダム」などの漫画や、「ガンダム・センチネル」など模型誌の企画まで、1999年前半までのガンダム作品を幅広く網羅しているのが神ゲーたる所以の一つである。そして小説である「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(以下閃ハサと称す)」も収録されており、このゲームをプレイしたときに閃ハサについて知ることとなる。

前置き(小説版ネタバレあり)

 でもって閃ハサのシナリオをプレイした感想だが、
 ・Ξガンダムとペーネロペーがデカい
 ・ハサウェイがチェーンアギの件で不問になってる
 ・衝撃の結末
と、シナリオ数3つと短編ながら濃い内容になってて印象に残っていた。
 まずΞガンダムとペーネロペーのデカさだが、この閃ハサは作品の時系列的に「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」と「機動戦士ガンダムF90」の間に位置する作品となっている。「機動戦士ガンダムF90」とは劇場版「機動戦士ガンダムF91」の直前の出来事であり、機動戦士ガンダムF90からモビルスーツがダウンサイジングしていっている。F90が発表されたころは平成初期であり、現実世界の工学界隈では「ダウンサイジング」というバズワードが流行っていた。ダウンサイジングとは製品を小さくすることでコストの削減や効率化を図ることである。
 でもって閃ハサのモビルスーツはF90の前にあたるため、モビルスーツが最も大きい時期となっている。Ξガンダムの全高が28.0m、ペーネロペーの全高が32.5mとなっている。直前のνガンダムが24.2m、サザビーが25.6mであり、さらに大きいものとなっている。巨大MSの代名詞であるサイコガンダムの40m台には到達していないものの、相当デカい部類に入る。
 Ξガンダムもペーネロペーもデカいため、自軍のユニットとして生産すると火力や防御力の点でものすごく強いユニットとなっており、非常に重宝する。その点で閃ハサは「デカいガンダムが出てくる作品」という印象を私に強く残している。

 次にハサウェイの不問であるが、逆シャアでブライトの息子ハサウェイが大人になって登場しており、ジェガンに乗っては恋仲クェス・パラヤの仇であるチェーンアギを銃乱射により殺害している。でもって勝手にジェガンに乗ったことですら軍機違反なのに、
 味方であるチェーンアギを殺害するとはもはや重罰もんでは?
とか思っていたので、ハサウェイが生存していること自体に驚いた。これってご都合展開では?と一瞬思ったが、
 親であるブライトさんの権力でもみ消した
と理由付けがなされており、親の権力最強と思った。

 そして衝撃の結末。
 不問となったハサウェイが地球連邦政府の非人道的政策に異を唱え、マフティー・ナビーユ・エリンと名乗りレジスタンスの首謀者として活動する。しかしラストでハサウェイの乗ったΞガンダムが捕獲されてしまい、ハサウェイが処刑されて物語が終わるというガンダム史上最悪のバッドエンド(超絶誉め言葉)を迎えることとなる。
 この結末は2000年になるまでどのガンダム作品にもなかったものであり、衝撃的だった。それまでのガンダム、いや映像作品も様々なバッドエンドはあった。目的未達だった超新星フラッシュマン、敵とは関係なくひったくりに黒が刺される鳥人戦隊ジェットマン、カミーユが病んで終わるTV版機動戦士Zガンダム、8人ライダーの特攻で地球の平和が守られた仮面ライダー(1979)、そして宇宙滅亡というバッドエンドの極北だった伝説巨神イデオンなどなど…
 これらのバッドエンドにおいて、どの作品にも救いがあったように思う。イデオンすらも宇宙滅亡させることで惨憺たる作品世界をご破算にしており、碁盤をひっくり返すという意味でまだ救いはあった。
 しかし、閃ハサには救いというものが全くなかった。ハサウェイが処刑され、地球連邦政府は現状を維持しており、腐敗した政府に傷跡すら残せなかったという救いのなさが本当に忘れられなかった。

 そんなわけでこのようにいい意味でアクの強い本作が、願わくばアニメ化してほしいなあとか願いもうっすらと持っていた。そしてその願いが20年越しに叶うこととなる。

感想(映画ネタバレあり)

 そして6月11日から公開開始された劇場版閃ハサの感想は以下である:
 ・うえしゃまこわい(超絶誉め言葉)
 ・ケネス嫌い
 ・え?ここで終わり?

 まずうえしゃまこと上田麗奈さんの感想だが、本作でうえしゃまはヒロインであるギギ・アンダルシアを熱演なさっていた。このギギというヒロインはとにかくアクが強く、まーハサウェイを振り回す振り回す。10代とは思えない色気でハサウェイを魅惑させ、機嫌次第でそっぽを向いては、たまに逆の意味で10代とは思えない(年齢1桁のような)子どもっぷりを見せる。この設定だけでも恐ろしいのに、うえしゃまの声が入ることで怖さが高まっており、本当にすごいと思った。
 過去にもギギアンダルシア役ではGジェネFで林原めぐみさんが、SPIRITS以降では川上とも子さんが、それぞれ声を当てていらしていた。この錚々たるレジェンド級の声優さんに匹敵するほどの迫力がうえしゃまにはあった気がした。
 うえしゃま、そもそも普段はおっとりとした声なのに、アイドルマスターミリオンライブではとにかく元気のいい高坂海美役を熱演なさっており、さらにはSSSS. GRIDMANでは苦心しながらも一癖も二癖もある悪役・新条アカネ役を熱演なさっており、芸幅の広さを感じた。
 そしてさらにステージを一段階上げるかのごとく、閃ハサでは超難役であるギギ役を熱演なさっていて、芸幅がさらに広くなったと思いつつ、この声優さん底知れぬ実力があり本当にこわい(超絶誉め言葉)って思った。
 また、ギギについても事あるごとにハサウェイの目の前でケネスとイチャついており、一瞬機動戦士ガンダム0083に出てくるニナ・パープルトンを思い出した。主人公コウ・ウラキと恋仲になりそうだったが、実は敵のライバルキャラであるアナベル・ガトーの元カノであり、途中でコウを裏切ったためガンダムオタク(ガノタ)の間では不評だった。
 しかし、ギギはかなり好評だった。それもそのはず、ギギは70歳の権力者の愛人であるという重い背景があるため情緒がやや不安定である。さらにハサウェイの前でケネスとイチャつくのもハサウェイを煽るという目的があってのことであり、ケネス自身にはそこまでギギに対する恋愛感情が社交辞令程度(?)しかなさげに見えるため、ギギもそこをわかってて比較対象にしたんじゃないかと思っている。ケネスにはやや気の毒だが、ギギはそこまで悪女とは思えない。とはいえ世の中の女性の一部、というか私が惚れる女性の多くってギギのように猫みたいなところがあるので、ほんとハサウェイに感情移入しまくってしまうところがあった。

 でもってケネスには気の毒とか書いたけど、しかし私自身は【現時点では】ケネスって嫌いなキャラである。離婚を理由に自分が恋愛に冷めたみたいなリア充っぽい態度が気にくわないし、軍人だから仕方ないとはいえ部下への態度がパワハラじみているところもなんか嫌である。
 さらには連邦軍が捕虜を人質にとるとかそもそも人道的じゃないと思うし。その作戦を卑怯として自分のパイロット技量のみを信じて正々堂々と戦うレーンエイムが気に入ってたりする。青臭いといえばそれまでだが、個人的にはこの青臭さが気に入っている。
 とはいえケネスが今後どうすっ転ぶかわからないので、様子を見守りたいと思う。

 そして「え?もう終わり?」の件。小説原作で短編とはいえ上映時間が1時間40分であり、演出も比較的丁寧に進んでいるので、これで尺足りるのか?まさかΞガンダムとペーネロペーが戦っていきなり敗北?と思っていた。しかし、今回は小説の途中までで終了し、続きは次回以降の映画へ持ち越しであり、半分拍子抜けしたと同時に続きがさらに見られるという楽しみが増えた感がある。
 この閃ハサ、テロと暗殺の違いはあれど、やってることが必殺仕事人に似ている感がある。必殺仕事人の主人公である中村主水が同心(今で言う警察)という権力のある隠れ蓑をまとって暗殺業を遂行しているのに対して、本作の主人公であるハサウェイはブライトさんの息子という権力のある隠れ蓑をまとってテロを遂行するという、どこかしら似ている面があったように思える。中村主水もハサウェイもどこかしら人間臭い部分があり、テロや暗殺者でありながらも個人的には感情移入できる部分が大きいように思った。ハサウェイに至ってはクェス・パラヤへの未練に心を痛めつつ(チェーンさんの件はどうなったって話はあるが)、未練のためギギに乗り気でないという複雑な心境と切なさが心に刺さった。
 そんなわけで今回の映画一作で終わってしまうとものすごくロスになるんじゃないかと思ってて、もう少しハサウェイたちの活躍が見たいと思っていた。しかし気づけば今回途中までということで、後々の楽しみができてうれしく思っている。
 
 他の感想だが、本作の見どころとなるモビルスーツ戦、画面が暗くて見えづらかった感があった。ファイブマンみたいにわざとチラ見せして最後にどどんと見せるという手法であれば納得なんだけど、閃ハサのほうは終始見えづらくて玩具の販促的にもったいないって気がした。まあ玩具はこのご時世だとすぐ売り切れるのでそっちのけでも大丈夫っぽいけど、できれば大画面でΞガンダムとペーネロペーをくっきり見たかったりする。

終わりに

 以上が閃ハサの感想であるが、総じてハマったし、できれば続きも見たかったりする。あとプラモほしいけど軒並み店頭にないのが残念である。

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