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ステージ機材システム

こんにちは
関西で活動しているクリエイター兼パフォーマーの西岡健です。普段活動している音楽ユニットcrescentの花マニピュレーターとして、また主宰するクリエイターチーム enotoneのクリエイター・プロデューサーとしてこの度noteで発信していくことにしました。まずは直近の私の活動の紹介から書いていきたいと思います。


crescentの花 メインステージシステム

僕のライブシステムは先日にも述べた通り、いくつかのパターンがある。

1日2現場などではできるだけ簡易なセットで臨み、素早く設営・解体をしなければならない。前回紹介したのは比較的小規模向けであり、セッティングも10分以内で組める。じつはこのセットは路上ライブでも使っていて、Seaboard演奏用ソフト音源に加えてバックトラック再生も一つのシステム内で行える。

crescentの花のライブセットのメインシステムは、4Uラック内に組んだ2台のオーディオインターフェースと、2台のコンピュータによるシステムだ。キーボードじゃないの?(笑)
Apple MacBook Pro とMicrosoft Surface Pro 3 の2台のコンピュータをホストとしたシステムで、それぞれオーディオインターフェースとしてMOTU UltraLite AVB、MOTU Track 16 を接続している。MacBookをマスター、Surfaceをスレーブとして、この二組のシステムはMTC(MIDI Time Code)によって完全に同期している。このバックアップを兼ねた二重化システムの特徴は、内蔵シンクロナイザーによるジャムシンク機能によりマスターのタイムコードが途切れてもスレーブは動き続けることだ。片方に問題が発生してダウンしても、もう一方が走り続けるのだ。

これにメインキーボードのClavia Nord Stage 2ex 73とcrescentの花のトレードマークである ROLI Seaboard Rise 49 が加わり、さらに愛花のボーカル用マイクと僕のコーラス用ヘッドセットマイクもこのシステムに接続されている。crescentの花のサウンドはすべてこのシステムに集約されてから、ライブハウスの音響システムへと送られる。


マニピュレーター?

さて、僕のユニットでの肩書きは、「キーボード&マニピュレーター」となっている。楽器としての担当はキーボードだが、crescentの花のライブでは欠かせない、この同期システムの操作も担当している。今日はこのマニピュレーターの仕事を紹介しよう。

二組のコンピュータにはどちらもMOTU Digital Performer 10(DP10)がシーケンスシステムとして起動していて、同一のプロジェクトが立ち上がっている。DP10はライブ用シーケンスシステム用途で定評のあるチャンク機能というものがあり、1曲=1シーケンスを演奏順に並べておき、チェインチャンクという機能によって連続的に再生されるようになっている。曲ごとにプロジェクトを読み込んでまたスタートボタンを押す、という手間(操作ミスの元!)が省略されるだけでなく、マスター/スレーブが完全に同期しているので、一度スタートボタンを押すとステージの間はコンピュータに触れることなく演奏できる。

とはいえライブスタートの後は何もしていないのではなく、実際のステージではMC中のBGMもセットリストとして組んでいるので、その音量調整を手元のROLI LightPad Block M に組んであるフェーダー(MIDI CC)で行いつつ、MC終わりで次の曲へ移行するときは、もう一台のBlock のボタン操作(MIDI Note)でマーカーによる頭出しを行なっている。ちなみに曲中にも細かくマーカーが打ってあり、リハーサルなどではMC用BGMの確認も含めて簡単に頭出しできるようにしてある。

ところで、二重化しているこのシステム、当然二組のシーケンスからは常に同じ音声が再生されているのだが、両方音を出すとややこしい(やかましい)ので、正常に走っているときにはマスターの音声のみを出し、マスターに異常が発生して再生が止まったときにはスレーブの音声に瞬時に切り替えるという、少々複雑なことをしている。簡単に説明すると、マスターのオーディオインターフェースからLTC信号をオーディオ出力したものをスレーブのインターフェースに入力していて、これをキーシグナルとしてスレーブシステムの出力バス系統をゲートしている。いわゆるサイドチェインによるダッキングである。マスターに異常があるとLTCがストップするので、ゲートが外れてスレーブに切り替わるという仕組みだ。スレーブがダウンしても、マスターがそのまま走るので、これをもって二重化と呼んでいる。ゲートへのルーティングや細かい設定は企業秘密だが(笑)、興味のある人がいればまた紹介しよう。


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