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短編小説

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短編小説集。 ぜんぶ一話完結。
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2020年6月の記事一覧

カエサルの瞳

友人の牧田が校内でゲリラ的に開催するバザー(基本的には牧田の実家に眠っていたガラクタの叩き売り)、『マキタスポーツ』が、今日も懲りずに開催された。 マキタスポーツの品揃えは壊滅しており、大抵は2、3品しか売られていない。以前、牧田が母親と喧嘩をした際には、『活きのいい熟女』と称された牧田の母が3万円で売られていた。 「このコラショの目覚まし時計、なんで5万円もすんの?」 「バカ!小学生の頃の俺が、毎晩愚痴をこぼしていた相手だぞ。そんなに易々と手放せるかよ」 「なら売るな