マガジンのカバー画像

短編小説

15
短編小説集。 ぜんぶ一話完結。
運営しているクリエイター

2019年7月の記事一覧

イカロスの墜落のある風景

【 僕の章 】 彼女と別れたきっかけは、今思えば些細なことだったように思う。 当時、彼女が僕に昨日購入したばかりだと言うリップライナーを見せてきた。きっと彼女は、僕に可愛いねであるとか、綺麗な色味だねとか、そう言うことを言って欲しかったのだろうけれど、何を血迷ったか、僕がそのとき言った感想は「実家で買っている犬のペニスみたい」だった。 ねえなにそれ。どういうこと。彼女が僕に詰め寄る。 「犬のペニスには、陰茎骨と呼ばれる骨が付いている。だからと言うわけではないが、そのリ