ばるぼら

物語の説明もない感想メモ

結論から言うと、致死量のの美と怪しさを摂取して息ができなくなるかと思った

映画はジャズとそのMVみたいな新宿の街の映像から始まる。最初の最初から鳥肌が立った。華やかとも違う、原色だけど暗くて説明がつかない色みたいな音楽と、スーツの人が行き交いホームレスが眠る色のない新宿の街のアンバランスさが不気味だった。
そして台詞のないシーンの美しさが印象的だった。この映画は「画」を見る映画でもあったんだと思う。音楽と、人と、場面だけの映像。稲垣吾郎と二階堂ふみはその世界観に負けず、溶け込む役者だった。音、画、人全てが揃って一つの美しい世界ができあがっていた。


二階堂ふみの退廃的なのに時折めちゃくちゃチャーミングな表情を見せるところとか、退廃的な中に毛色の違う狂気が見えているところがたまらなく良かった。セリフの無いシーン、新宿の色々な場所にばるぼらがいるカットが続くシーン、好きすぎて泣くかと思ったな、、、

稲垣吾郎は無感情に見えながら、目つきの鋭さがあって、20代の頃の彼自身の危うさを垣間見た気がした。この内容を映像化して、しかもだいぶ芸術志向で作ろうとした時に彼以上に美倉を美しく演じられる人はいないと思った。大人で、上品で、でも子供の心許なさを引きずっており、コントロールできない衝動を隠し持っている美倉。稲垣吾郎の佇まいには全部が揃っていた。
やってることえぐいのに美しく見えちゃうのが本当に魔法(突然雑な語彙)
美倉が部屋でかけるジャズがカオスすぎたから、もう一回聴かせてほしい。なんだったんだろうあれは

二人は世界観に負けない役者、と言ったけれど、渡辺えりさんは完全にばるぼらの世界観に住んでいた。特異なキャラクターを大きな動きがなくとも存在だけで「美しいもの」にできるところに演じる人の凄さを感じた。

手の込んだ芸術を多方向から同時摂取した感動と、単純に推しの顔が良くてえっちだというオタクな感想の狭間で混乱して訳が分からなくなってエンドロール見ながら半泣きだった なんてことなの、、、、吾郎さん誕生日おめでとう、、、





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?