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[REVIEW 再録]BAD OMENS -10 YEARS IN THE BLACK 1st show-

今回は懐かしいデータが出てきたのでそちらの再録を。
私、MARINAの初めてのPRESSワークとなったSumerian Recordsの10周年ツアー初日。今思えばここから私の活動がスタートしたのだなぁと、感慨深いしなんだかとんでもない経験をしたように思います。
当時書いた文章をそのまま掲載いたします、楽しんでいただけたら幸いです。

2016 年 10 月 25 日、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル ShowBox SoDo。この日の公演より約一ヶ月をかけ、全米をまわるSumerian Recordsの10 周年ツア ーがスタートした。直前にヘッドライナーである Asking Alexandria の衝撃のボーカル交代劇等が話題となり、初日公演は世界中からのこの界隈のファンか らの注目が集まるものとなった。

しかしながら、今回私のメインの取材対象はこのツア ーのオープニングアクトを務めるSumerianの新星、結成からわずか 2 年という彼ら"BAD OMENS"(バッ ドオーメンズ)。インタビューワークを開始してから数ヶ月経ったある日、ふと「彼らは今何をしているんだろう...」と思いつき、スウェーデンの Her Bright Skies でベースを弾いていた BAD OMENS のギタリストJoakim(ヨアキム(ジョリー))に連絡を取ったのがきっかけである。なんとこのバンドを結成し2016 年の 8 月に 1st フルアルバムをリリースするとのこと、そこ まで本腰を入れ始めていることを知らなかった私は若干戸惑いつつも、実際にYouTube で公開されていた彼らの曲を聴き歌詞を読むとその完成度と世界観に驚かされた。結果、そこから彼らへの取材申し込みやインタビューという縁ができることとなったのである。

開場前の入り時間、会場に着いたと聞き一足先に彼らと顔を合わせた。

『やっと会えたー!』

事前に少しだが連絡を取り合っていた Gt.の Nicholas(ニコラス(ニック)と、ジョリーが笑顔とハグで迎えてくれ、そしてBa.の Vincent(ヴィンセント)も 暖かく迎えてくれた。21 歳の華あるヴォーカリスト、 Noah(ノア)の注目度がやはり高く彼の露出が群を抜いて多い彼らだが、こうして実際に会って見てみると全員の顔が整いすぎていて驚いた...というのが正直 なところだ。残念ながら Dr.の Nick(ニック)とはこの日結局直接話すことができなかったのだが、終演後にわざわざ撮影の件でコンタクトを取ってくれたりと、 見た目が先行されがちな彼らだがそれ以上に、バンド全体通してとても丁寧で人の良い子達だなという印 象を受けた。

開場は17 時半、事前に受付でPRESSのパスを受け取り会場内に入る。やはり若い世代に人気のバンドが多 いからだろうか、早い子は 5 時間も前から会場の前で 待っており、16 時半の時点で 100 人を超えるファンの子達が入り口前に並んでいた。シアトルのミュージ ックシーンは他の州と比べて人口が少ないと事前に聞いており、実際この日のソールドアウトは無かったようだが、ヘッドライナーのバンドを中心に熱狂的なファンが多く集まったようである。

プレスパスを見せ最前列の柵内へ。聞くと、この日の公演は全てのバンドが前半の 3 曲のみ撮影可能だとい う事。ショーの開始予定時間である18 時半は少し過 ぎていたが、OAということもあり彼らのサウンドチェックをそのまま観る事が出来たのは良い経験だっ た。

フロアの照明が落ち、歓声が上がる。ゆっくりと各メンバーがステージに現れ、はじまったのは静かに呼吸するような機械音とブレイクダウンのようなうねり のあるギターからスタートする"FERAL"。ニックはバンド内で一番小柄なドラマーながらも、かなりパワフルなドラミングを見せる。

そして歌い始めに合わせゆっくりとステージ中央に現れたVo.のノアにフロアからは黄色い声が。正直まさかこの曲を 1 曲目に持ってくるとは思わなかった、 ゆったりしたメロディをバックに語るように歌われ る曲調をスロースタート気味に感じながらも、少しず つ盛り上がりを見せサビでは彼特有のハスキーな歌 声が伸びる。少しフロアを煽った後に全員のコーラスから始まったのは"EXIT WOUNDS"。


これがフルメンバー揃って初のライブとは思えないほどのしっかりとした纏まりがあり、序盤の煽りで 『跳べ!跳べ!』とノアが叫ぶとフロア前方のファン が一斉に大きくリズムに合わせ飛び跳ねた。何度もフロアに向け手を伸ばし、観客を煽るノアの姿を見て、 やはり彼はとても華のあるボーカリストだと感じた。

しかしここで 1 つ問題が。彼らの曲を事前から聴いていた私はあと1 曲かとカメラを調整したのだが、他の カメラマンやスタッフに『決まりは3 曲だから出ろ』 『3 曲終わったよ』と促され外に出なければならなか った。2 曲しかやってないよ?と大きな音の中訴えてはみたものの、通じずに柵外へ。

3 曲目は彼らの中で最大のYoutube 再生数を誇る "THE WORST IN ME"、囁くように歌うノアを全員が 息を潜めたように見つめたかと思えば、サビ前で彼が マイクを観客へ向けると大合唱が起きた。コーラスをジョリーとヴィンセントが担当し、ニックが主にシャウトのバックアップボーカルを行う回数が多いようである。

曲終わりの MC、ノアはこのツアーに参加できたことへの感謝とシアトルのファンへまず感謝の言葉を。そ して各出演バンドの名前をコールするという素晴ら しいアピールをしてくれた。恐らくこの日の共演者全 てを MC で讃えていたのは彼らだけである。そこから 一気に疾走感のある曲"REPRISE"へ。事前の Facebook での Q&A 配信でほぼ全員が『ライブでやるのが一番 好き or 楽しい曲』と答えていた曲だ。フロアではサークルピットが巻き起こっていた。

パフォーマンスもそのバンド名が表すような無機質でクールな印象を持ちがちな彼らだが、この日はヴィンセントがにこやかにフロアに微笑みかける姿もとても心に残った。ラストは壮大なオーケストラ要素のある前奏とコーラスから一気に怒涛のシャウトとギ ターの展開へと流れ始まる彼らの代表曲"GLASS HOUSES"。

サビのコーラスでは会場内のファンがメンバーに合わせ大合唱する。全公演の日程の中では狭い部類に入るそうだが、それでもこの日の ShowBox は千人程が入る会場である。その空間の中に繊細かつダイナミッ クな音が響き渡り、全く見劣りしない世界観を今回彼 らは見せつけてくれた。曲がラストを迎えると共に大きな拍手とメンバーの名を呼ぶファンの歓声が上が る。手を振ったり頭を下げたりとそれぞれがファンへの感謝の意を表しながらステージを後にし、あっという間に感じた5 曲でこの日のショーは幕を閉じた。

セキュリティや他カメラマンとの曲数の話も書きましたが、次の Upon A Burning Body からカメラマンの数が倍近く増えた事もあり、まだまだ彼らの知名度は他に出演していたレーベル メイトのバンドに比べると低いのかもしれない。
確かに、この公演に参加するにあたり、何度も他バンドに対する問い合わせ 等が私まで寄せられていたのも事実。しかしその度に私は発言をしていたように、今回の公演に参加できたことも彼らのおか げであり、私が観に来た個人的なメインはこの BAD OMENS でした。メンバー全員がマーチブースに顔を出し、公演中も終 演後もファンとの交流や物販を自ら行う姿を見ている中でもっともっと彼らを応援していきたいな、いつかこのメインクラスでステージを広々と動き回る彼らの姿を見たいなと、心からそう思いました。これまで私が関わってきた海外のバンドの中では、 間違いなく彼らが一番注目度は高かったはずです。しかし、それに一切奢っているようなそぶりもなく、何度も何度も私に対して感謝の言葉や気遣いを見せてくれたメンバーには本当に頭が上がりません。バンドとしても勿論ですが、人間として最高な人達に出会うことができました。このような素晴らしい機会、そして経験を与えてくれた BAD OMENS の皆、本当にありがとうございました。また会える日を楽しみにしています。

-Oct 25 Setlist-
FERAL
EXIT WOUNDS
THE WORST IN ME
REPRISE
GLASS HOUSES


そして彼らはこの時の口約束を、数年後本当に果たしてくれることになる…。
それはまた、別のおはなし^^

私、Marinaの今後の取材や活動費、または各バンドのサポート費用に充てさせていただきます。よろしくお願いいたします!