宝塚歌劇団雪組公演 蒼穹の昴を語る②

雪組公演が大千秋楽を迎え、素敵な娘役さん4人を無事に送り出し、寂しさを噛み締めていた年末にとんでもないニュースが飛び込んできました。
初めは意味がわかりませんでした。
残念ながら、とんでもないことだと理解するのに時間はかかりませんでした。
その辺りのお話を綴りたいと思います。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

このニュースの第一報からある程度時間が経ち、
思ったのがこの言葉でした。

某(名前を出すのも嫌です)は頭角を表すと様々な演劇賞を受賞し、宝塚以外の舞台の演出も数多く手掛け、宝塚歌劇団を背負って立つ若手演出家の一人、でした。
(説明はこれで合ってますでしょうか?)
その某が起こしたセクハラ&パワハラ案件。

週刊誌の記事なので鵜呑みにするのは危険ですが、話し半分としてもなかなか素晴らしい増長具合だったようで。
まあ、若くして様々な演劇賞を貰えばこうなるんでしょうか?
若い割には、思考回路が実に昭和的です。
SNSが発達し、下手なことをすれば即袋叩きということさえも分からないくらい増長していたんでしょう。
舞台の使い方、セットや衣装の美しさ、超大作を上手くまとめた技量は賞賛に値しますが、それを全てぶち壊すことを某はしたのです。

令和のこの世の中、ハラスメントに関しては本当に厳しくなっていると実感いたします。
仕事で労基主催の採用に関する説明会に出向いたのですが、面接などではハラスメントととられる事案が多岐にわたり紹介され、難しい世の中になったことを痛感させられました。

大きな夢を抱いて入団した演出助手さん。
一度限りの退団公演に傷をつけられた朝月さん、千風さん、羽織さん、花束さん。
スケールの大きな作品に並々ならぬ情熱を持って挑んだ雪組生プラス専科の方々。
そして、この舞台に心を動かされたお客様。
そんな全ての人たちの思いを全て某はブチ壊したのです。

エンターテイメントの世界では、演出家やプロデューサーなど上に立つ人間のハラスメントが明るみになることが増えました。
そんな中で、自分だけは特別だし、劇団がもみ消してくれる、とでも思ったのでしょうか?
もしそうだとするなら、ただの大馬鹿者です。
エンターテイメントに関わる人間としては万死に値する行為だと思います。

劇団の責任は

週刊誌報道なので話し半分にしないといけない、と先程もうしあげましたが、劇団の対応も話し半分としてもお粗末極まりないものでした。
特に役職の付く方々の対応は唖然としましたし、プレスリリースも何これ?、という代物でした。
本当に生徒やスタッフを守る気があるのでしょうか?
よくわからないので言及できませんが、いじめ裁判の教訓を全く活かしていないのでしょうか?
こんな有様では、様々な我慢を強いられ、日々稽古と公演に明け暮れる生徒とスタッフが浮かばれません。
この悪手が今後に影響しないことを願うばかりです。

それでも素晴らしさを語りたい

舞台裏で様々な事がありましたが、この作品は本当に素晴らしかったです。
この舞台についてしまった宿命に坑がうかのような雪組生、専科の皆さんの熱演。きらびやかな衣装。スケールの大きさを感じさせる舞台のセットや舞台の使い方。
これらは、どんなに事があろうとも変わるものではないですし、逆にこういう事がある中でこの舞台が大千穐楽を迎えたことに対して、関わった全ての皆様に感謝の気持ちを伝えたいとと思います。
本当にありがとうございました。

最後に

いろんな意見はあるかと思います。
こんな事があったから、贔屓がハラスメントを受けたからもう見られない。そんな方もいらっしゃると思いますし、それに対して大きな声を上げることは何ら間違っていないと思います。
ただ、こんなとんでもない事があっても、この作品は本当に素晴らしかったし、この作品で心を動かされた素晴らしさを伝えたいし、皆さんのご贔屓が魂を込めて演じた舞台が大好きだし、これからもDVDなどで繰り返し見続けるよ、という人間がいることを忘れないでもらえればありがたいです。

長くなりました。
お付き合いいただきありがとうございました。