先生の白い嘘
ちょうど話題になっている『先生の白い嘘』読了。
作者の鳥飼茜さんは今年『踊る!さんま御殿!!』に出ていた人か。
友人の婚約者の早藤雅巳にレイプされて処女を奪われて以後、いい様に肉体を弄ばれている高校教師・原美鈴と、バイト先の社長夫人の熟女に半ば強引に童貞を奪われたのがトラウマで勃起不全に陥った高校生(美鈴の教え子)・新妻祐希の物語。
主人公は美鈴だけど、新妻くんも熟女との関係が継続していたほうが対比になって良かったのではないか? しかも、男性の性被害が表沙汰になる機会が増えて来た昨今、この熟女は基本一度キリの登場で、物語上の結末が描かれないのは、なんだか食傷気味。
引っ掻き回す生徒が何人かいるのは学園ものの割と定番ではないかと思うけど、掘り下げが足りない人物がいてもったいない。最初は群像劇的に描かれていて、それぞれの関係がどう作用していくのかが引き付ける要素でもあったけど、美鈴と新妻の関係性がクローズアップされていくと共に他の人物が個性を失い、恋愛ものとして収まって行くんだなぁと。読み進めていく上での先が見えない興奮も徐々に収まり、二人の行く末を見届けるというある種の「パターン」に落ち着いて行く。そういった印象を抱きました。
それから、早藤には他にも山本玲菜という女がいて、彼女は妊娠した美鈴の友人・渕野美奈子(早藤の婚約者)を堕胎させようとしたり、階段から突き落とそうとしたりして、最終的に警察に自主するんだけど、お咎めなしで決着を見るのはどうなの?
好みもあるかもしれんけど、ラストはキレイにまとめ過ぎじゃないかなぁ……。
後は、読み手の性体験次第で、良くも悪くも刺さるところも違ってきそうな気もします。
映画は未見けど、問題になっている「早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴」の惹句。「快楽に溺れ」が削除されたそうだけど、「早藤を忌み嫌いながらも、早藤の呼び出しに応じてしまい、快楽に溺れる美鈴」であったら原作の流れに沿っていたんじゃないかと思う。
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