人工股関節全置換術後の脱臼について

THAの手術後のリハビリでは、脱臼のリスクを知り、理解しておく必要があります。

脱臼の要因としては、以下のものが挙げられます。

・寛骨臼コンポーネントと人工骨頭間の求心力不足

・インピンジメント

・脱臼肢位

・コンポーネント設置位置の不良


寛骨臼コンポーネントと人工骨頭間の求心力不足については、股関節周囲の筋萎縮や神経筋疾患などによって起こる軟部組織の緊張不十分、筋力低下などが挙げられるため、上記のような場合には、脱臼のリスクを特に気をつけなければいけません。強引なROM訓練や、キッキングのような股関節屈曲位からの急速な筋出力などはリスクが高いため、控えた方がよいと思います。


脱臼肢位は、進入方法によって異なりますので、術式の確認をして、主治医から情報収集をすると良いです。


インピンジメントによる脱臼には、3つの原因が挙げられ、①骨性、②軟部組織性、③インプラント性があります。

骨性は、手術の際に骨棘の除去が不十分で、遺残した骨棘とステムの頚部がぶつかることで脱臼が生じます。

軟部組織性は、股関節を深屈曲させた際に関節包の前方が挟まり、この部位を支点にして脱臼が生じます。

インプラント性は、ステムの頚部がライナーと衝突することによって生じます。


このように、THAにおける脱臼肢位だけでなく、その他の要因も脱臼に関係するため、理解し、介入前には、主治医からの情報収集をすることが重要となります。



(参考文献)

・臨床の「なぜ?どうして?」がわかる 病態からみた理学療法 外科編.中山書店. 

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