高齢者の転倒リスクに対するアプローチ(評価編)
ここでは、高齢者の転倒に関連する要因とその評価方法について話をしていきたいと思います。
高齢者は、若年者に比べて転倒のリスクが高く、転倒による骨折が原因で、寝たきりのような状態になる場合もあります。予防という観点からも、高齢者に対しては転倒リスクに対するアプローチが必要になります。
転倒は、何らかの原因によって身体の正常位置が企図に反して大きくずれ、姿勢反射で応答しえなくなった結果発生すると言われています。
つまり、高齢者の転倒リスクは、身体機能と環境に適応する能力(巧みさともいうでしょうか)が関連すると考えられます。
そしてその他にも、多重課題条件下における歩行のように、注意の分配機能が求められたときに、その機能の低下が転倒の要因になるということも言われています。
日常生活では、いたるところに多重課題の動作が存在します。ですので、多重課題法を用いたテストで転倒リスクが高いと判断できる場合は、日常生活での移動に注意をしなければなりません。
ですので、転倒リスクの評価をする場合は、身体機能と環境、そして注意機能を考慮して、動作をしてもらい、その時の安定性を観察し、バランス機能を評価していきます。
評価項目として、以下のものが挙げられます
Berg balance scale、Timed up and go test、Functional reach testでしょうか。
調べてみるとその他にもたくさんの評価方法が存在するため、以下に列挙します。
運動機能の評価 1.30-seconds chair-stand test(CS-30) 2.5回いす立ち上がりテスト 3.片脚立位テスト 4.Short Physical Performance Battery(SPPB)5.2.4m歩行速度 6.6分間歩行テスト 7.転倒スコア(FRI-21) 8.The25-question Geriatric Locomotive Function Scale(GLF-25) 9.握力 10.10m最大歩行速度
生活環境の評価 1.Cost of care index(CCI) 2.Zarit介護負担尺度(ZBI)
日常生活動作の評価 1.障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準 2.BI 3.FIM
認知・精神機能の評価 1.ミニメンタルステート検査(MMSE) 2.HDS-R 3.モントリオール認知評価検査(MoCA) 4.Wechsler成人知能検査代3版(WAIS-Ⅲ) 5.Wechsler記憶検査(WMS-R)
それぞれの評価の特性を考慮し、選択することが必要です。
(参考文献)
地域在住高齢者における多重課題条件下での歩行能力と転倒リスク調査との関連https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/29/2/29_201/_pdf/-char/ja
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