雑踏

「お客さんたちを集めてこれを売ること、今までの先人たちも凄かったんだからすごく価値のあるものなのよ。」

「でも仮に出ていくなら次の人見つけて現状復帰して退去ね。」

来る前よりも美しくを求められる場所にいるのね。
これは言われたこともない、けど聞こえてくる。


もちろん自分たちがこうしてやってることの価値も崇高さもわかってる。
それすぎるが故かもしれない。

みんなが、ほんとごめんね私○○あるから先に帰るねって言って出ていってしまったあとのような虚しさと感じる。

先を思いやる絶望感が毎日襲ってくる。

立派な先人を頼りなさいと言われたってなにをお願いしていいのか、そもそもどこからこの状況を説明していいのか、その体力を削ることですら倒れそうなくらい瀕死なのに。人を頼るのですら心をすり減らすのに。


あなたの人生なのだからそんなの自由に手放して生きないなんていうのも身勝手だ。
そんなの言葉にしていうのなんて簡単だろう。そしてそれができない心になってるからこそその言葉が余計に辛い。

どうせその言葉を放つのなら思い切って僕の手を引っ張って遠くへ、遠くへ拉致して欲しい。

最後に欲しいのはなんだろう感謝じゃなくて、むしろ怒りが欲しいかもしれない。

僕への怒り。その方がいい。そのくらい強く思ってくれたんだなと思えるから。
終わったあとだけど、強い想いを持っていたのは自分一人だけじゃなかったんだなって思えると思うから。

こんな小さなことに心がきゅっと締め付けられて、惨めに思えてくる。自分の心の弱さ。

本を開く。本の世界はすてきで、人間が愛おしくて好きになる。
でも、自分はそこに届かせられなかった。
そしてこの時間すら惜しいものだったのじゃないかと後悔する。


悲劇を語りたいわけじゃない。
ただひたすらにどうすればいいのか分からないんだ。

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