あわあわ
変な夢を見た。
町中の至る所でタバコを吸っている人達が全員代りにしゃぼん玉を吹いていた。
顔はよく覚えていないが高齢の男性や30代前後の女性。スーツを着たサラリーマン。
みんながしゃぼん玉を吹いている。
あまりにも滑稽な光景。
1人のしゃぼん玉が高く高く飛んでいく。そのしゃぼん玉がまた1人の高く飛んでいくしゃぼん玉とくっついた。くっついて少し大きくなった。また1人のしゃぼん玉がくっついた。また少し大きくなった。そしてまたひとつと…
足されるたび大きくなったしゃぼん玉は重さに耐えきれずゆっくりと落ちてきた。
目の前に現れたそれを僕は思わず突っついて割ってしまった。
みんなが僕を睨む。怖い。僕はひきつったように笑う。
みんなも笑う。笑って楽しそうだ。許してくれたのかな。
でもその時、怖くなった。僕だけしゃぼん玉のあの、、緑色の、吹くやつがない。
みんなは持ってる。
僕は片っ端からみんなの作るしゃぼん玉を割っていく。飛ばされては割り、飛ばされては割る。だんだんとそのスピードは追いつけなくなる。
いつの間にか僕はしゃぼん玉の中にいた。それでも僕は一心不乱にしゃぼん玉の中で無限に生まれるしゃぼん玉を突き続けていた。
気づくとそこには誰もいない。
目を覚ます。泡泡のお風呂にいた。変な夢をみていたと、半ば夢現に湯船から立ち上がった。
不思議なことに僕は白いカッパを着ていた。
体は少しも濡れていない。足には暗い色の長靴を履いている。
意味がわからない。
わけも分からず扉を開け外に出ると、天気のいい空が広がっていた。
庭の石をぴょんぴょんと島のように跳び移る。跳ぶ。翔ぶ。飛ぶ。
空を飛んでいた。
しばらく飛んでいると、目の前に小さなしゃぼん玉が現れた。近づいていく。よく見ると中には人がいる。
中でさらに小さなしゃぼん玉を突ついてわり続けている。
はっとした。僕は中の人が僕だど気づく。
そして、中の僕を助けようとそのしゃぼん玉を突ついた。しばらくしているうちに、またひとつと周りから飛んでくる。助けなくちゃ。
僕は必死になって僕を助けた。いくつも、いくつも、割る、割る。
もう記憶がとんだんじゃないかと思うくらい必死にわり続けていた。
目が醒めると僕は泡泡のお風呂で子どもと笑っていた。
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