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【ウマ娘】23アリエス杯オープンリーグ 81戦全勝テイオー編成の解説と振り返り

はじめに


こんにちは、よくトウカイテイオーとウマ娘を遊んでるtkscotという者です。

チャンピオンズミーティング最後の星座杯、2023年アリエス杯のオープンリーグで、幸運にも予選決勝の全レースをトウカイテイオー単独で全勝する事ができましたので、その紹介をします。

普段は自主的に情報発信する事は少なく、質問とか場の流れで断片的な考え方を出す程度でしたが、せっかくなので今回はCM編成の背景や構築に至った経緯もまとめてみました。

非常に長大な内容となってしまいましたので、適時飛ばしたりして皆さんが興味ある所に目を通してみてもらえればなと思います。

また説明の都合上、解析由来の情報も使用しますので、アレルギーをお持ちの方は自衛をお願いします。

【注意事項】オープン育成に馴染みの薄い方へ


今回は対外的な説明の為、様々なツールや計算による数値化も行ってますが、平時は既知の内容なら多くの計算や思考過程を省略しています。

普通のオープン育成は周りの良い個体を見てそれをそのまま目標にしたり、作ってみた娘をルムマで走らせて強み弱みを実際に見て、次の育成で調整し直す事を繰り返す物です。

オープン育成はノリで大体やれますので、本記事を見てやべぇやつだ!と敬遠したりせず、とりあえず気軽にやってみてください

一方でオープン育成は本記事の内容以外にも考えられる事は多岐に渡りますので、その楽しみ方の一端を垣間見てもらえればなとも思います。

相撲よろしく青天井ルールで純粋な強さを競うグレード環境に対して、ボクシング等のようにレギュレーションの中で競うオープン環境には、似て非なる遊び方があります。
試行錯誤しやすい環境ですので、自分好みの味付け強めでやってみるのも一興ですよ。

前置き


本記事はウマ娘23年アリエス杯に関する基本的な攻略情報は知っている事を前提として記載しています。
一般的な攻略情報の不明点は各自ググったり、有識者やインフルエンサーの皆さんに聞いてみてください。

またオープンリーグ向けの詳細な解説として、れがさんが毎回非常に緻密なCM攻略考察記事を出されてます。先にこちらを見た方が理解がしやすい所も多く、既に終わったCMの物ではありますが是非ご一読ください。

アリエス杯におけるオープンリーグ用A+育成指針https://note.com/legatus235/n/n7bd91f16036b

本文

1.個人としての攻略方針について

まず私はウマ娘の最初のチャンピオンズミーティングから、
オープンリーグでトウカイテイオーを使って遊んできた人間です。

私のゲームウマ娘に対する姿勢は、

  1. テイオーを使う

  2. ゲームとしての通常攻略を楽しむ

  3. 平時からあまり頑張りすぎない、気が向いた時に頑張る

みたいな感じで遊んでいます。_(:3」∠)_

よって基本的にはテイオーが不利な環境でもとりあえずテイオーを入れて、次に残りの2人でチーム全体としてCM勝率を上げられる構築を目指す動きを取ります。
普段はこの残り2人をテイオーが不利な時は環境Tier上位キャラで埋めたり、テイオーが有利な環境ならテイオーを補助できる逃げエース含めたりしていました。

ただ今回は最後の星座杯、CM2年目最後の区切りという事もあり、テイオーの勝率を最も高い結果にしたいという想いが最初にありました。
オープンリーグでは頑張ればCM勝率9割とかは取りやすい方なんですが、そういう時って大抵味方が強すぎて、テイオーが1位取る上での最大の障害は味方なんですよね。
Ms.VICTORIA実装後なんてテイオーに歌わせる為に、CM決勝はテイオー+2デバフにする事が殆どです。

よって今回はスタミナデバフが通りやすい最長G1条件という事もあり、CM攻略を考える前に最初っからテイオー+スタデバ2で行く事を決めていました。

本来1エース2デバフは1エースの宿命としてエースの事故1回で負けになる為、試合数が多い場合に全体勝率を伸ばす事が難しくなる編成ですが、例え全体勝率が落ちようともテイオーの勝率を最大化する事を優先した訳です。

この方針を決めた時、一瞬テイオー全勝の夢は見ましたが、現実的に無理でしょとすぐぶん投げてました。
それがまさか実現してしまうとは・・・、自分でもビックリだよ。

2.チーム構成紹介

攻略方針より、23アリエス杯の編成は以下のようになりました。

2023年アリエス杯オープンリーグ出走メンバー3名

走行性能の安定性を最重視したテイオーと、偏り無く相手のほぼ全員へデバフ投射できる事を重視したスタミナデバフ2人による1エース2デバフです。

なお方針ではあまり攻略面を考えずにチーム構成を決めてしまいましたが、チーム勝率を重視したい場合でも、結果としてこの編成が一番良かったのだろうなと振り返って思います。

この件に関する参考情報として、ぬーぶさん(@hikansakura)によるアリエス杯オープンリーグにおける勝率(全勝)に関する考察と、ここで言及されている勝率情報元であるhukiさん(@yuki31415920)、ゆういちろうさんによって運用されていたスプレッドシートについて貼っておきます。

前提として23アリエス杯挑戦時の私は通常キタサンとダンスウンス、餓狼ナリブ、ローレル、CBを持っておらず、
環境級キャラの手持ちはクリオグリ、ハロライス、正月サトノくらいで、
次点のキャラを含めると水マル、チョコボン、神イナリ等の選択肢からメンバーを組むしかありませんでした。

その上で3エースでもテイオーを強く運用するチームとしては、
積極的なポジキ利用とテイオーの固有発動率を高める逃げ2テイ1か、固有を捨て本領発揮を目当てにした先行テイ1+後方2(エースorデバフ)のどちらかになります。
前者なら水マルチョコボンと差しテイオー、
後者なら先行テイオー、正月サトノ、神イナリの組合せだったでしょう。

ただ他の方々の結果を見れば分かる通り、例え強い3エースチームを作れてもCM全勝は非常に難しく、テイオーの勝率を意識してチーム編成を組んでいる自分なんかでは尚の事3エース構築での全勝は見込めなかったと思います。

また1エース2デバフのエース構築についても、上記ぬーぶさんの考察通りテイオーの先行運用は正解でした。
脚質選定に関しては先行以外はそれぞれ下記のリスク要因があった為、採用しませんでした。

逃げ:
ブロック事故はほぼ起こらないが、テイオー固有発動0%確定であり、加えて位置取りかかり同時発生時の確実な負けがある為、論外。
(加えて強さが相手編成&ポジキ運頼みで不安定)

差し:
汎用キャラとしては無我夢中で一番出力を高くできたが、無我夢中の順位条件逃しであったり、前脚質が多くなるCMでは垂れウマブロックによる負けリスクが無視できないレベルに高くなる為、スタミナデバフ2との組合せは不適切と判断。
(多分さっさと加速するのでテイオー固有も出にくい)

追込:
出力並なのにブロック事故率が一番高く論外。固有は弱い動きの時なら事故無くてもたまに出たかも。

今回の先行脚質は特定の上位Tierキャラ以外は環境上弱く、
特にテイオーだと先行ではブロック事故以外で固有がまず発動できない為、
決して強くなれる選択肢ではありませんでしたが、最も弱くなりにくい選択肢でした。

ちなみに今回のCMオープン環境は何人か事前予想されてた通り前脚質(特に先行)が多く、またまともなデバフ専を入れてくる相手は全試合合わせても1割に満たない程度で2デバフ1エースは1~2人くらいでした。勝率9割取るだけならデバフ対策無しでも行けたかも。
一方でルムマは2スタミナデバフ1エースだらけで、ルムマとCM環境が歴代で最も乖離した環境と言われていました。

3.個体紹介:トウカイテイオー

(1)ー A 構築内容とスキル選定について

今回作成したトウカイテイオーについて、砂井裏鍵さん(@urakagi)のレースエミュレータ(http://race.wf-calc.net/#/champions-meeting)による結果と、um-sateiさん(@SateiUm)のウマ娘 評価シミュレーター(https://umsatei.com/)による評価点内訳は以下のようになりました。
1人だけのエースを前提に事故リスク低減を最優先にしてる為、性能自体は平凡ですね。

23アリエス杯トウカイテイオー出走個体 レースエミュレーター結果例

※記事記載当時のエミュに脱兎の先へが未実装の為、回復効果の代用はレースプランナーで、速度効果の代用は効果量が近い中盤速度スキルであるクリダスカの継承固有Queen's Luminationでスキル効果の模擬をしています。
また記事記載時点ではAdventure of 564による未発動金スキルの回収も行われておらず、最大スパート率は大体素で金3発動した時の物ですね。
(確率見た感じ金2で下り坂上振れの時も最大スパートに入ってそう)

23アリエス杯トウカイテイオー出走個体 評価シミュレーター内訳

※なお本記事では評価値、評価点、査定値、等の表記揺れがありますが、これらは全て同じ意味で使用しています。

今回のテイオーに期待していた動きは各フェーズ毎に以下の内容でした。

序盤:
同脚質である先行集団の先頭の確保
(CMに多い先行集団による終盤垂れウマ事故の予防。ウマ好みと平均値以上のパワーを重視)

中盤:
最低2つ以上の金回復の発動(最低限度の走行性能の確保)

終盤:
逃げの垂れウマを極力回避しつつ、白加速1つはなるべく発動

ラストスパート:
デバフサポート下における基礎能力差による逃げ切り

その上で上記要求を実現する為に、最終的に下記を構築の必須要件としていました。

①適切なステータスバランスと長距離S
②スピード緑スキル3種
③金回復スキル3つ以上
(脱兎は必須、他はマエストロ好転が優先でレスプラ系統はバックアップ)
④垂れウマ回避
⑤ウマ好み

また必須では無いものの、下記スキルも重要度高めに見ていました

⑥登山家 、本領発揮、通常キタサン継承から2つ(前2つ優先)
⑦固有スキルレベル1(テイオーは比較的固有1を作りやすい為)
⑧先行S、芝Sと紫スキル
⑨継承すごく速度固有または直線◎、コーナー◎
⑩スタミナ緑スキル2種、先行コツ(視野)

ちなみにオープン戦では通常であれば評価値0で性能を上げられる適正Sや、評価値から見た費用対効果が最高レベルの継承すごく固有や直線◎コーナー◎の搭載が重要ですが、上記の通り今回のテイオーではどちらも優先度がかなり低い(無くても完成できる)扱いでした。
これらは実力が拮抗した戦いで個体完成度を突き詰めてハナ差勝負を制する際に重要度が増す要素ですが、今回は最長G1条件だけあって1エース向けの耐力確保や要所挙動の再現性を高めるスキルステータス配分で殆ど全ての評価値が埋まる特殊環境だったからですね。

個人的には必要要件が欠けている完全適正個体よりも、必要要件が揃っている距離以外適正A個体の方が平均的には優れると考えており、実例として下記は最初期に試作で作った娘でCM採用個体の娘と似た雰囲気の構成で且つ適正2S紫スキルも積めてましたが、すぐボツと判断していました。

23アリエス杯トウカイテイオー初期試作個体

※火事場はウマ娘3.0で速度効果が追加され終盤のほぼ固定地点での速度増を見込めた為、テイオー固有発動(追い越し対象)への影響調査で入れてましたが、スタミナデバフ耐性が十分にある練習パートナー級の逃げが居る時しか機能できず、564金回収効率も悪い為廃案になりました。
なおこの娘は練習でパワーの重要性を確認する上でも活躍してくれました。

速度スキルについてはスキル効果単体の評価値効率は下記のようになっており、継承すごくと◎は本当は欲しかった所でしたが、前述の通り今回は余裕なくほぼ無理でした。

23アリエス杯向け代表速度スキル単体効果の評価値効率表

直線コーナー◎は発動地点がランダムであり、長距離戦の今回は発動地点の絞り込みもほぼできなかったのが痛かったですね。距離が短ければ発動地点が限定されるので、要所発動スキルの代わりもできたのですが。
今回CM採用個体で直線◎が取れていたのは結果として◎で評価値を埋めるスペースがちょうどよかったからですね。
(コーナーでなく直線にしたのは追い抜き時の外回り不利低減+PDM解除 or 接続への期待と、加速中発動で効果無効になるリスクを鑑みた結果です。)

(1)- B ステータス説明

ステータスに関して、目標値の詳細は基本的には前述したれがさん記事(https://note.com/legatus235/n/n7bd91f16036b)の通りです。
ただ当然ながら今回は特殊な事をしてますので、色々と微調整はしてます。

微調整の説明に当たり、先にステータスと評価値(査定値)の関係について説明しておきます。
以下はゲームウィキ.jpのウマ娘 査定置き場さんで公開されている、地雷さん(@bbbbb14141)が調査されたステータス査定値に関する資料のページ(https://umamusume.gamewiki.jp/)から引用した表になります。

地雷さん調査 ステータス査定表

上記資料の通りステータスの評価値は50区切りで1ステータス当たりの平均上昇値が切り替わり、全体的には指数関数的にステータスに対する評価値が増えていきます。

ステータス査定値表全体(1200まで)
ステータス査定値10回平均

A+条件で注目されやすいステータス値は~650・800・1000・1100・1150・1200~地点で、特に1000、1100以降は評価値の伸びが一気に大きくなる為、過去にも評価値が圧迫される環境では一番強さに影響するスピード値であっても1200ではなく1150付近までで抑える調整が推奨される事がありました。

上記関係とステータス毎の効果量期待値で優先順位を割り振っていくと、大抵の場合A+オープンの最適ステータスバランスは

 スピード (1150~)1200
 スタミナ 条件次第
 パワー  850~1000
 根性   600付近
 賢さ   850~1000

のような形になる事が多かったです。

ちなみに一般的な緑スキルの1ステータス当たりの評価値は以下のようになっており、現在のオープンリーグ環境では大抵の場合緑スキルを入れた方がステータスの実効値に対する評価値が低くなる、所謂評価値圧縮というのができる為、スキルptと評価値に余裕がある場合は緑スキルは入れ得です。

緑スキルの1ステータス当たりの評価値効率

(1)- B - 1 スピード系 (終盤速度)

スピード値は基本的にれがさん記事通りなので詳細はそちらを見てください。
ザックリ言えば、本来は最高速の走行距離が長い長距離ではスピードは高くしたいものの、耐力面が追いつかない為、緑スキルも駆使しながらステータス低め調整するのがトレンドでした。

元々ルムマ勢からの報告でルムマに多いデバフ2環境ではスピード1100が良いとか、スピ1100環境になってきた後は1150にした方が良いとか言われてましたが、今回のテイオーは評価値に余裕が無い為、前者のスピード1100ラインで緑180積むの前提で組みました。
ここは春ウマ自前の赤テイオーの利点が活きた所でしたね。

(1)- B - 2 スタミナ、根性系 (耐力)

次に今回最も重要な耐力設計について、恐らくここが一番対外的に注目頂いてた所だと思います。
自分の知るオープン攻略者さんは大抵スタミナ1000~1100、根性600~800くらいの金2または金1+白回復(継承すごく等)の娘を作っていましたが、今回は1エース用に若干変則的な構成にしましたのでその説明をします。

まず今回のCM条件における評価値を最小化する為の耐力面から見た最適根性設計について、ウマ娘初期の頃によく使用されていたでどっちさん(@Dedotti_dedo)によるスプレッドシート版スタミナ計算機(https://twitter.com/i/web/status/1386901667531030528)と先程の地雷さん調査のステータス査定値一覧表を組合せた自作のスプレッドシートで計算すると、下記表のようになります。

最適根性値確認スプレッドシート

これは中央の表が必要スタミナを、下段の表が必要スタミナ+根性+回復スキルの評価値を合算した物を表示しており、どちらの表も横軸で根性値を、縦軸で回復スキルの水準を振っています。
そして下段表中の背景黄色い部分がその行で最も合計評価値が低い領域を示しています。

つまり例え最長G1条件と言えども、耐力評価値最適化の観点からは根性値は600付近(金1なら~750付近でもOK)で留めるべきだったという事になります。
なおウマ娘2.0以降では根性にも様々な役割が出来ましたので、構築次第では根性を盛る型もありでした。
(後方エースの追い比べ威力増大方面での検討等。今回は対象外の為割愛)

次に根性の目標水準が分かった所で、スタミナ値と金回復スキル個数の関係に移ります。
先程挙げた他の方の例にはスタミナ1100金2相当の娘も含まれてますが、これはスタミナデバフ専用の娘が相手に1人いるか、かかりや不調を見越した耐力水準を目標に設定された耐力に余裕を保たせた娘が多かった認識です。
つまり走り切る為の金回復の要求発動数は約1個分程度で、もう1つの金回復で十分な耐力の余裕を見ており、レースで悪影響発生しなかった場合は最悪金1発動だけでも最長スパートに準じた走りができる調整だったという事ですね。
3エースであればこういった娘を3人、あるいは他は金1or2のスタミナギリギリ性能特化の娘にすれば大抵の場合誰かは良い走りをしてくれるって寸法でした。

ちなみにデバフ専門の娘はささやき+けん制+焦りを全部投射してくると考えるとこちら側の耐力を-5%持っていき、金回復は基本的なスキルは1つ発動で+5.5%回復な為、ちょうど金1つ増やす事でデバフ専1人に対応できます。

ただ今回の私のチームは1エースのみであり、エースの金回復不発で走行性能が落ちれば即負けに直結し、且つその1エースには対抗水準並の走行性能も持ってもらわなければなりません。

よって今回は回復以外に金スキルを搭載できない事を前提条件として、評価値圧縮と要求金回復発動率の最大化を目的に金回復3+Adventure of 564構築を採用する事にしました。

まず評価値圧縮の効果からですが、ほぺさん(@hoffe_33)による様々な走行条件を加味したスタミナ計算機(https://stacalc.hf-uma.net/)においてスタミナ充足率(%)が大体100%になる耐力水準で、金1、金2、金3とスタミナ緑スキル2つの有り無しで評価点が良い感じになるステータス地点を選ぶとそれぞれの評価値の合計はこうなります。

金回復・スタミナ緑スキルの組合せによる、耐力関連合計評価値の比較表

※上記ツールはあらゆる条件を加味している為、それなりに余裕が無いと充足率100%にはならないので、普段の肌感覚よりも設定数値は少し大きめです。
※レースエミュで切り詰めると乱数固定でスタミナ1100根性750金1(5.5%)、スタミナ900根性600金2(5.5%×2)でも走れますが、この条件での評価値のAB差分は-893ptです。

スタミナの基準値が非常に高くなる今回は緑スキルを使う事でも大きな評価値圧縮(Aα差分等)が可能ですが、上記の通り金スキルを使えばさらに大規模な評価値圧縮(AB差分等)が期待できます。
ただし当然金スキルにはスキル不発リスクがあり、予定している耐力水準に必要な回復スキル数が増えるほど、その必要な回復スキルが全て発動できる確率は減る為、本来はあまり複数積みを前提にしたくはありません。

スキル発動率が90%(賢さ900相当)の場合、スキル2つ所持で2つとも発動できるのは81%、3つ所持での全発動は72.9%です。

スキル発動率90%での発動スキル数確率

一方でスキル2つのうち1つ、ないし複数のうち幾つかだけ発動してくれれば良い場合は、上記表の通り必要水準のスキル発動率は金1だけの時の発動率よりも高くできます。
(スキル発動率90%で、スキル2つ所持でどちらか1つ以上発動できる確率は99%)
この項で例に挙げたデバフ耐性重視の金2構築も、この都合で最低限走れる金1発動率はかなり良いです。
(当然こちらに評価値リソースを割く以上、悪影響が発生しない環境での性能は落ちます。)

よってここまでで出してきた関係性をさらに一段階進めて、最初から走り切る為の最低耐力水準を金回復2のラインに設定し、それで浮いた評価値(約900~1200pt)を予備の金回復1(559pt)と保険の564(180pt)に充てたのが今回のテイオーで採用した金回復3+Adventure of 564構築でした。

この構築における回復スキルの発動率は以下のようになっていました。

23アリエス杯採用トウカイテイオーにおけるスキル発動率

最低限で走る為の金2発動率は基本的には96.76%、デバフ耐性を得る為の金3全発動は70.99%。
ここにAdventure of 564が中盤発動する保険込みで見ると金2は97.68%、金3は78.66%。
金2発動率については頭打ちが近い為、1試合での発動率は564有無で約1%しか違いはありませんが、実はこの1%の差に助けられた可能性がある試合が今回ありました。
たかが1%でも81戦積み重なればその1%の差で敗北していた訳ですから、馬鹿にならない物です。

※96.76%^81戦≒約7%、97.68%^81戦≒約15%です。
本番で7%を一発で引けていれば564不要でしたが、自分は93%側の人間でした。しかし同時に自分はこの本番において15%を引く事ができた人間でした。

ちなみにAdventure of 564の終盤発動までを考えた場合、金2発動はほぼ100%近く、金3も約94%まで見込めますが、これはゴール直前も含めた話なので、走行性能への影響が少ない範疇ではせいぜい金2発動は約98%、金3発動は約80%強程度だったと思います。

そしてこれらの数値を覚えた上で一般的な型のスキル発動率を思い出してみますと、実はこのほぼ100%近くで最低限走れて、スタミナデバフ耐性も約8割でデバフ専1人分得られるというのは例に挙げていたデバフ耐性重視の金2構築とほぼ同じ確率になっています。

つまり前提として他の金速度・金加速スキルを使いにくいという制約はありますが、それらが不要にできる(≒差しと迫る影勢以外の)構築では今回の金3+564構築の方が評価値を節約しつつ、同等の必要回復スキル発動率を出せていた事になります。

加えて言えば金2構築で金2不発し金0で走る時よりも、金3構築で金2不発(564も不発)で金1で走る時の方が余剰耐力は多くなり、最悪の場合でも金3構築の方が事実上の最低走行性能の底上げが見込めていた事になります。

ここまでの関係性を踏まえて、安定性最優先の今回のテイオーでは金3+564構築を採用していました。

なお金4についても同様の手法でさらなる節約が可能でしたが、ここまで来るとA+育成でのスキルptのリソース確保やサポカ連続イベ完走も厳しくなる為、個体の完成度を高める観点からは難しい状況でした。
加えて先程の評価値圧縮の検討表から、金2➔金3の評価値圧縮量は金1➔金2での圧縮量には及ばない為、費用対効果的にもそこまで良い選択肢ではありませんでした。

(とはいえ金3入手の安定性も踏まえて今回自分も金4狙えるサポカ構成にはしていましたが、クラシック中に金4入手できてからスタミナ根性ステ+入手スキルptの軌道修正に入らないといけない都合上、まあ無理でしょという認識でした。)

後は使用する金回復スキルそのものですが、前述の通り脱兎が最優先でマエストロ好転一息が次点でした。
脱兎は特別な発動条件無く、強い速度効果も内包しスキル発動の判定も回復・速度でまとめて行える為、オープン向けとしても非常に強いスキルでした。(評価値696ptで高めですがそれ以上の見返りがあった)
またマエストロ好転一息(508pt)はスキルに適正条件が絡まない都合上、評価値が他の適正条件金スキル(559pt)より約50ptほど安く、オープン向けでは優先にしたいスキルでした。(好転はウマ娘3.0で中盤確定発動になってくれましたしね)

最後に覚醒スキルであるレースプランナー、または赤テイオー進化スキルのレースの天才も上記金回復のどれかが取れなかった時に取得するバックアップ候補でしたが、これらは発動に5位以上の順位条件がある都合上、前脚質が多いCM向けとしては優先度が低めでした。
後方脚質が多く、試合数も少ない個人大会向けでは使っても良かったと思います。

ちなみに評価値の観点から見た、速度効果を内包した回復スキルの利点についてはいま野ジャングルミックスさん(@imano_I03)の下記記事も参考になります。

進化スキルの速度分の利益
https://note.com/imano_i03/n/n95994a0ea73e

(1)- B - 3 パワー系 (序盤位置取りと加速)

パワー系も基本はれがさん記事の通りですが、一応ここでは序盤の位置取りに関連する項目という事でウマ好みも含めた概要を説明します。

まず春天のコース図はumabetさん(@uma_bet)のツールKizunaより引用しまして、下図のように序盤後半はずっと登り坂になっています。
https://kizuna.uma.bet/track/10811

京都芝3200mコース図

次にこの登り坂による序盤での相対位置の差異について、SCPとまとさん(@poyopoyoSCP)の序盤~中盤入り走行シミュ(https://t.co/ypvegedML0)を使って確認してみます。
最新版は上記のVer.3ですが、昔から自分が使わせて貰ってる私的改造版がVer.2ベースの方ですので、古新聞ですみませんがこちらで説明します。(挙動の傾向に問題ないのは確認済みです。)

下記は一般的なオープン個体の春天序盤走行区間約30秒について、先頭個体1との相対位置関係をシミュレートした物です。
先頭個体1はパワー850、序盤加速は地固めだけの逃げ。
これに対してパワー800・900・1000の先行個体2~4が追走しています。

京都芝3200m序盤走行シミュレート設定値
京都芝3200m序盤走行シミュレート結果

序盤終了時(右端)の個体2~4の個体1に対する相対位置はそれぞれ約-23m、約-22.2m、約-21.5mです。
実際には出遅れやポジキに走行乱数、スキル等々が関与するとはいえ、ノミナル値で語った場合、パワー800個体はパワー1000個体に序盤終了時に約1.5m(0.6バ身)の差をつけられてしまう可能性がありました。

ちなみに致命的な出遅れが発生した場合は約1mの差が加えて発生しますので、上記のパワー差と合わせると合計1バ身を越える差に膨れ上がる可能性もあります。
序盤における1バ身の価値は重く、またパワー1000付近というのはA+オープン向けで成立する強個体としても実用的な数値だった為、結果としてパワー800付近の娘は厳しかったです。

一方でパワー900についてはパワー1000と比べて、こちらだけ致命的な出遅れが発生してもノミナル値ではギリギリ1バ身未満の差に抑えられる為、評価値を食わない範囲でパワーを高めるラインとして現実的な範疇でした。
(スピード都合で採用する良バ場の鬼による緑パワー+60を踏まえて、840+60の構成にする事でステ評価値の段階が上がるステ800から大きく離れないで作れる点も良かったですね。)

ここまででパワー値自体の議論をしましたが、このままではパワーで優位な相手や様々な乱数要素によって先頭が変わる状態のままですので、一般的な攻略情報で勧められている通りウマ好みも採用します。
下記がウマ好みを使用した場合の相対位置の図ですが、見た通りウマ好みを発動した個体3だけが圧倒的な差を付けて前に行けています。

京都芝3200m ウマ好み搭載個体込み 序盤走行シミュレート設定値
京都芝3200m ウマ好み搭載個体込み 序盤走行シミュレート結果

基本的にCMの対戦相手レベルだとウマ好みちゃんと積む人少なめですので、大抵の相手にはこのウマ好み1つだけでも先頭はほぼ取れます。
が、ウマ好みが発動できるかは枠番と相手の脚質分布にも左右されますし、スキルである以上賢さ判定による不発もありますので過信はできません。その為のパワーのお話でした。

(なおここまで対外的な説明用に最初から最終型での数値的解説をしていますが、実情を言えば前述のパワー800付近の叩き台個体が練習で位置取り悪く、もうちょい上げないとな。で評価値的にパワー900ラインが見えてきて、上記を大幅に簡略化したザックリ確認で900の有効性も軽く把握して本育成に移っていました。机上検討も大事ですが、練習のN増しで実際の挙動を見るのも大事ですね。)

(1)- B - 4 賢さ系

賢さについてはスキル発動率の観点からも850くらいは欲しいなぁくらいで、正直ここまでの議論で詰めた結果の余りで配分してました。
スキル発動率は賢さ700で約87%、賢さ800で約89%、賢さ900で約90%と、賢さ800~900ではそこまで大きな差はできない為ですね。
(と言ってもその1%の為に回復スキル構築は頑張っていたのですが。)

賢さステータスによるスキル発動率

賢さに関する走行性能への影響はれがさん記事の通りです。

(1)- C サポカ編成と使用因子、シナリオ育成

サポカ編成と因子はこんな感じでした。

23アリエス杯トウカイテイオーのサポカ因子

サポカは脱兎、マエストロ、好転の3つと右回り用のフクキタル、良バ場の鬼用のトプロ(オープン育成だとグラマスシナリオ産は安定しない為保険)、ウマ好み等の3女神。
両親は継承固有の都合で固定され、登山家は因子に多めに載せてそっから引っ張ってきてました。
(レンタル先はウマ娘DBさん(@umamusume_db)でてきとうにパワー9長距離3先行6探しました。)

なおCM向けとしては通常キタサン継承のワッショイは本番向けではあまり使うつもりが無いレベルでしたが、それでも親にしてるのは最悪保険になるからというのが1つと、もう1つ個人大会向けであれば逆に最有力加速候補になりえた為、CM育成がボツでも大会用育成に切り替えられる用に構えてたのが理由です。
(登山家や金回復が取れなくても、ワッショイ+レスプラ系統で補う等)
まあ結局CM個体が完成するまでの間に良い娘はできなかったんですが

あと育成について、グラマスシナリオでは最終的にA+ステータスにするだけならあまりにも簡単な為、クラシックで暇な時は大体非適正レースに出て紫スキルが取得できないか試していました。
これはクラシック非適正レースを多くする事でクラシック年末のWBCを負けやすくして、シニア入りでのファン数を抑制し固有レベルが上昇しにくくする事にも寄与していました。
(今回のサポカ編成ではダービーとWBCどちらも勝つと流石にテイオーと言えど固有レベル1は難しく。)

(2)個体紹介:デバフ役(マヤノトップガン、ナイスネイチャ)

(2)- A 構築内容とスキル選定について

次にデバフ役2人の紹介をします。

23アリエス杯デバフ役の構成

デバフ役のスキル構成として、今回は基本赤デバフ3種✕4脚質の全搭載と
ささやき+564構築を必須条件としました。

赤デバフは今回CMでは全脚質で強いエースが作られる可能性がありどの脚質も切れなかった為、全脚質を対象にせざるを得ませんでした。
その上でグラライ以前のシナリオでは速度デバフのためらいを切り、焦りけん制8つ搭載のスタミナデバフ特化にしていた所でしたが、
グラマスでは青女神によるヒント取得の大幅強化が入った為、因子による取得も込みで基本赤デバフ12個全搭載が現実的に短時間で作成可能になりましたので、ためらいを含めた全搭載前提で育成する事にしました。

多少の因子準備は必要ですが、今後は個人大会級の相手については基本赤デバフ12個は全搭載してくるものと構えた方が良い時代に突入しましたね。

ささやき+564についてはれがさん記事の通りです。
金スタミナデバフはささやき以外ですと長距離では射程難の八方睨みと効果量が低すぎるスタミナグリードだけで、大会向け等で最大値の上振れを狙う場合は睨みグリード込みの搭載も無くはないかもしれませんが、CMで安定して強い効果を相手に与える上ではささやき単体に絞る方が効果的と判断しました。
(ご存じの方も多いと思いますが、ささやきは前方射程が無限で効果量も金デバフの最大値-3%です。)
今回のスタミナデバフ役は如何にささやきを当てるかが役割のほぼ全てになるほど重要でしたのでね。

またデバフ役について、次優先で青回復スキルもなるべく入れるようにしています。
(金回復はささやき発動率に干渉するのでチャンミ向けはNG。試合数少ない個人大会用なら有り)
これは後述する564ささやきの最終的な有効発動率を上げる為で、マヤノの方は概ね満足な水準にできていますが、ネイチャの方はダメでしたね。
とはいえ最低限の仕事はできる為、そのまま投入しましたが。個人大会向けにちゃんと作るならもう少し頑張った方が良かったですね。

後は上記以外にも可能な範囲で駆け引き以外のデバフ効果を持つスキルも入れていますが、こちらはおまけ程度であまり効果には期待していません。
そもそも最初からささやき以外のデバフスキルは、スタミナデバフ耐性の水準が整っている強者相手に水準以上の負荷を加える為の保険程度でしかありませんしね。

(2)- B ステータスと564ささやきの有効発動率説明

上述のスキル構成を前提に、ステータスも含めたデバフ役の基本的な目標構築は大体こんな感じでした。

23アリエス杯デバフ役目標構築 評価シミュレーター内訳

簡単に言えば賢さを高めすぎず900~1000の範囲に収め、また耐力が足りずとも長距離における走行性能の低下を最低限に抑える事で、
最も重要な564ささやきの最終有効発動率を少しでも上げられるようにしています。

ここで恐らく大抵の方はささやきの有効発動率って何?何でデバフ役で賢さ抑えてんの?
って思うでしょうから、長距離における564ささやきについて先に説明します。

なおこちら厳密に考えますと非常に難しい対象になりますので、以下では厳密な数値的正しさをある程度無視して、大体こんな感じになるよね、
というふんわり考察で進めていきますのでご了承下さい。

まず金デバフ「魅惑のささやき」が中距離専用スキルであり、長距離ではAdventure of 564を使わなければスキル発動ができない事は皆さんご存知でしょう

次に564はコース後半(コース全体の後ろ側1/2、春天の場合は3200mの後半1600m分)のどこかでランダム発動であり、他に発動条件はありません。
という事は564の賢さ判定による発動率が、そのまま相手にささやきで影響を及ぼせる確率なのかと一見思うかもしれませんが、これは2つの点で間違っています。

1つは564ささやきを使用する個体は1位を走行するエース個体では無い為、エース個体がゴールした時に564個体はまだゴール地点より遥か手前にいる事です。
つまり実際にはゴール手前の区間ではデバフ役が564を発動できても、既に1位がゴール済みの為にデバフ効果がレース結果に影響を及ぼさない564発動無効区間が存在します。

またもう1つはささやきが発動して相手の耐力を削れても、即座に相手の速度が落ちる訳ではなく、相手の速度が十分に落ちるまでタイムラグがある点です。
つまりそのタイムラグのうちにゴールされてしまえば十分な悪影響を及ぼせない為、相手に有効な悪影響を及ぼす為にはそのタイムラグよりも早くささやきを当てなければなりません。
まあこちらはそもそも体力不足の歩き状態の時間が長ければ長いほど良いので、これについては歩き状態にできるより前に発動しておきたいよね、くらいでも良いかもですが。
(歩きになるかはそもそも相手の耐力次第なので議論が難しい。)

後者のタイムラグは定義が難しいですが、エミュで見るとデバフで体力不足になり60m手前まで走れる速度に落ちる時も、耐力0で最低速度に落ちて歩く時も、どちらも約3秒ほどは減速に時間かかってますので、
ここではとりあえず約3秒(約70m弱)程度で見ておきます。

エミュレーターによる耐力不足での減速時の影響確認図

次に前者の無効区間ですが、今回エース個体は大体約2分43秒くらい(最初のテイオーエミュ結果参照)でゴールするのに対し、上記の800-800-800-800-900追込デバフ個体を回復スキル無しで走らせた場合、ゴールタイムは約2分49秒弱程度になります。
約6秒の差だと、デバフ個体は大体先頭のエース個体から約130mくらいの差で後ろにいますね。また回復スキル3つを積んでいた場合、ゴールタイムは約2分47秒弱程度になります。
大体先頭のエースから90m弱ほど後ろ、回復なしデバフ個体から40m強ほど前にいます。

回復スキル無しの800-800-800-800-900追込デバフ個体のエミュ結果
青回復スキル3搭載の800-800-800-800-900追込デバフ個体のエミュ結果

よってここまでの内容をまとめますと、
回復スキルを入れないデバフ個体ではゴールよりも200m(タイムラグ70+無効区間130)近く手前までに564ささやきを発動できないと対面エースに対して有効にささやきによるデバフ効果を与えられず、最後の約200mは実質564ささやきが有効発動できない区間になる事が分かります。

春天における200mとは564発動の後半1600mにおける1/8、約12.5%にも相当し、例え賢さ判定のスキル発動率が100%でも、約87.5%程度は有効発動できない可能性がある事になります。
これがスキルの賢さ判定とは別に影響してくる為、賢さ判定の約9割と564ささやき無効発動率の約9割弱をあわせて考えると、
春天における564ささやきの最終有効発動率って、耐力面気にしないと約8割程度まで落ちてしまう訳です。

という事で長くなりましたが564ささやきの最終有効発動率の概念が分かった所で改善方法を考えます。
ここまでの説明で分かるでしょうが、この改善は賢さ上げてスキル発動率に関わる賢さ判定を向上させるか、耐力を十分確保しつつ走行性能を上げて無効発動率を減らすかの2択しかありません。

じゃあ前者と後者どちらを改善するか?についてですが、
この記事はオープン育成の解説なので当然評価値効率が良い地点を探して、それで決めます。

賢さ判定について、まず前述の通り賢さステータス自体は素の数値を上げるほど評価値が指数的に増えていき、一方で賢さ値によるスキル発動率は既に800付近からソフトキャップによる頭打ちになりかけており、賢さ値だけを上げていっても賢さ判定の評価値効率はどんどん悪化する一方です。
つまりどこかで賢さ自体を上げるよりも、その分を耐力改善(今回は青回復スキルのみとします)に回した方が良くなる領域が存在します。

ここで先程の回復スキル無しと青回復スキルを3つ搭載したデバフ個体の差を確認してみますと、
回復なしは(70+130)でゴールから約200m手前までに発動しないと有効発動ができませんでしたが、
青回復スキル3搭載型は(70+90)で、有効発動できない区間は約160mだった事が分かります。
後半1600mにおける200mは約12.5%に対して、後半1600mにおける160mは約10%です。
つまり青回復スキル3つ搭載していたら、無効発動率を約2.5%も減らす事ができていた訳です。
賢さ判定で言いますと、賢さ900のスキル発動率90%と賢さ1200のスキル発動率92.5%の差に相当します。

まあここまでの議論は結構乱暴に数字扱ってましたので、200mも無いやろ190mくらいや、とか考えても良いですが、190-160で比べても無効発動率に1.5%以上の差はあります。
スキル発動率91.5%だと賢さ1059ですね。

ではこの賢さ900、賢さ1059、賢さ1200のステータス評価値って幾つだろうと確認してみると、それぞれ2209pt、2945pt、3841ptになります。
賢さ900と賢さ1059って評価値の差が736ptある事になります。(900と1200の差は1632pt)

賢さ900・1059・1200のステータス評価値

一方で青回復スキルですが、コーナー回復とかは217pt、適正条件のある青回復は基本239ptです。
ここでは適正青回復で考えますと、適正青回復スキル239pt×3=717ptです。

つまり賢さを900から1059まで上げて賢さ判定を1.5%上げるよりも、その分青回復スキル3つ積んで564ささやきの無効発動区間を1.5%相当以上減らした方が評価値消費は少なく、結果として評価値効率の面から見た564ささやきの有効発動率が優れる事が分かります。

まあ実際にはステータス900~1000の間は1000以上と比べてステータス評価値の上がり方はマシな方であり、賢さ900(90%)と賢さ1000(91%)ではスキル発動率が1%増える所も考えると、多分賢さ1000のちょっと手前くらいが一番良い所なのかな?って思ってます。
ささやきが一番大事とはいえ、他の赤デバフもなるべく多く投射したいしね。

長くなりましたがこういった考察の元、超長距離戦におけるA+オープンリーグデバフ役の賢さって900~1000くらいが良かったんじゃないかな?
加えて、その分耐力を少しでも増やすのが良かったんじゃないかな?というのが個人的な見解でした。

あとは賢さ以外の残りのステータスですが、上記では全部800で仮置きしてました。一見てきとうに数字並べてるように見えるでしょうが、ザックリ言えばここまでのデバフ役構築の制約のもとで評価値を抑えて長距離走行性能を上げようとすると、全ステータス同じくらいに高めるくらいが良いだろうなと認識していたからです。(ふわっふわ)
(ちなみにステ評価値は指数的に上昇する為、ステ評価値最小でステ合計値最大化する為には 全ステータスをなるべく同数値にした方が良い所までは定性的にあってます。)

エース向けのステータス構築については前述の通りですが、
あれは金回復スキル込みで最長スパートを出せることを前提とした話であり、まともな回復スキルも積めないデバフ構築の方ではスピード抑えて根性もちょっとくらい盛らないと耐力が全く足りないですからね。
あと単純にデバフスキル向けのサポカ構築だとスピード伸ばしにくくスタミナ根性は盛りやすいです。

ただパワーについてはこの後わざと低め調整をする方向で考え直しました。これはテイオーのパワー説明で触れた通り、登り坂における位置取りに影響する為です。

デバフ役については中間地点で564ささやきが最速発動しても相手エースに当てられるよう常に後方脚質エースの後ろに位置取りたい為、パワーをちょっと低めに設定するとちょうど良かったです。
(射程がある八方睨みを使用しなくて良いので、終盤入りの位置よりも中盤ささやきを確実に当てたかった。)

本当はこれで浮いた評価値を前述の賢さに回したかったんですが、今回の採用個体はどちらもシニアでの練習下振れが酷くて、クラシックでステータス過剰にならないように抑えてた分、ステータスの出来が酷くなってしまいました。
でもまあ最低限自分が使いたい水準は満たしている範疇だったのでそのまま使いました。(マヤは1発育成、ネイチャも育成3回目で出来たのでとても省エネでした)

(2)- C サポカ編成と使用因子

今回のデバフ役のサポカ編成は、サポカからちょっと取りにくい逃げ焦りと差し焦りを全て因子頼みにした上で、他の基本赤デバフ10種は全てサポカから取り、ついでにスタミナイーターも取りに行く方針にしました。
各スキルとサポカの取得関係は下記帳票の通りです。

23アリエス杯デバフ役マヤノトップガン 採用デバフスキル検討帳票
23アリエス杯デバフ役ナイスネイチャ 採用デバフスキル検討帳票

この上で、使用したサポカ編成と因子は下記です。

23アリエス杯デバフ役サポカ構成
23アリエス杯デバフ役採用因子

ネイチャの親のCBに関してはCM向けだけであれば自前のハロライスで良かったんですが、自分が所属しているDiscordのオープン育成サーバー「海がオープン」が毎月参加しているオープン育成グループ同士でのチーム戦、オープン対抗戦クロスロード賞のレギュレーションが使用キャラの使用適正は全てC以上となってましたので、追込でも使えるように追込適正&逃げ差し焦り因子持ちをDBで探して使いました。

(ちなみに自分は鯖内予選落ちでした。自分はCM編成そのままで行くのを仄めかしてましたが、ちゃんとこちらの編成をほぼ封殺できるようなメタ編成を用意してきた方もおりました。
 ここまで触れていませんでしたが、オープン育成は限られたレギュレーション内での争いなので、2デバフ編成相手であろうが対策してあればちゃんと勝てる編成を作れることが多いです。
 グレード対戦に比べてよりメタの影響が強くなるじゃんけん的な、あるいは相手の編成読みが重要と言える環境って事ですね。)

4.おわりに

という事で非常に長かったですが、これで23アリエス杯の81勝テイオー編成の紹介は終わりになります。
一応証拠として、今回紹介した編成で挑戦したアリエス杯チャンミの動画リンクを置いておきます。

ウマ娘23年アリエス杯オープンテイオー全勝

ちなみに本記事ではオープン勢ならほぼ皆知っている知識から、
自分独自の考え方まで幅広い内容に言及しましたが、
本記事で触れたツール類は全て過去のチャンミで使用した事がありますし、因子もデバフ用はアリエス杯以前に作成済みの既存の娘で、
アリエス杯で新規に用意したのはテイオー向けの親育成くらいでした。

また使用した考え方も実はどれも昨年時点で構築済みの物で、
23年アリエス杯における初出は564ケアの実戦投入くらいだったんですよね。(564ケアの構想自体は昨年想定していた菊花CM向けに準備)

実際に金回復3圧縮やデバフ役の耐力(もとい走行性能)重視姿勢は、2022/11/19の個人大会 第8回とりのおーぷんで実践&紹介済みでした。(下記動画の2時間6分~)

この大会は22年11月CMスコーピオ杯、圧倒的クリオグリ一強環境であった条件で開催されており、準決勝9人中7人がクリオグリ+デバフ2で統一されるような世紀末環境でしたが、その中でテイオーが勝ち筋を見出す為の構築が、今回の23アリエス杯構築の基になりました。
(中距離戦ですが相手もスタデバ大量投入してくる可能性が高く、長距離並の耐力水準設計が必要だった)

最後に、今回チャンミ81勝テイオーというチャンミ挑戦における1つの到達点を実現できたのは、これまでウマ娘界隈において様々な方が情報や技術力、種々のリソースを費やされてきた結果を多岐に渡り自分が活用し続けられてきた事がとても大きな要因となっていました。

  • ウマ娘有識者の皆さんによるCM攻略情報の柱

  • ルムマ勢の皆さんと練習パートナーによる実戦経験の柱

  • 既存の様々なツールを活用した技術の柱

この3柱の巨人の肩の上に、これまでの自分のオープン育成で身に付いた知見と過去のOP大会における構築思想を積み上げた結果が、今回のアリエス杯のチームに繋がりました。

自分と界隈の皆さんによるこれまでの2年間の集大成の1つとして、
最後の星座杯・CMオープンリーグでテイオー単独81勝を実現する事ができて、とても良かったです。
これまで直接・間接的に関わった皆様方、誠にありがとうございました。

参考資料

今回記事で紹介できなかった物も含めて、
23アリエス杯攻略において参考・利用させて頂いたサイトやお世話になった方々を列挙します。

サークル「きたちゃんぶらっく」さん一同(代表おりばーさん(@oliver_uma)
本記事の当初の掲載場所であるうまっちんぐの管理運営やチャンミ集計、レシート因子作成くん(https://ssc.kitachan.black/)(記事移転時に閉鎖済み)の提供(こちらは帝王塾さん一同、ポチさん(@aoneko_uma)も)

おがテツさん(@o_TeT_o)
数字でわかるウマ娘攻略(https://ogatetsu.shop/)チャンミ考察・下バ評記事

ルネさん(@ReneKuroi)
ウマ娘ラボ(https://umamusumelabo.com/)各種記事

たそさん(@taso_uma)
メモ置き場(http://umagame.html.xdomain.jp/)チャンミ加速スキルまとめ

れがさん(@lega235)
https://note.com/legatus235)オープン攻略向け考察・記事

ぬーぶさん(@hikansakura)
オープン攻略向け考察

砂井裏鍵さん(@urakagi)
レースエミュレータ(http://race.wf-calc.net/#/champions-meeting

地雷さん(@bbbbb14141)
査定値調査(https://umamusume.gamewiki.jp/)、じらいぬ鯖管理

um-sateiさん(@SateiUm)
ウマ娘 評価シミュレーター(https://umsatei.com/

ほぺさん(@hoffe_33)
スタミナ計算機(https://stacalc.hf-uma.net/)、チャンミバ身計算、危険回避シミュ、距離ロスシミュ等

ふぃーねさん(@f1_Ne_)
バ身計算関連

SCPとまとさん(@poyopoyoSCP)
序盤~中盤入り走行シミュ(https://t.co/ypvegedML0

でどっちさん(@Dedotti_dedo)
スプレッドシート版スタミナ計算機(https://twitter.com/i/web/status/1386901667531030528

元教頭やしろさん(@SEKAOWA_YUI)
ウマ娘 情報 まとめ 置き場(https://yumamusume.gamewiki.jp/)各種情報

ウマ娘DBさん(@umamusume_db)
ウマ娘DB(https://uma.pure-db.com/#/search)因子検索

mee1080さん(@mee10801)

相性表(https://mee1080.github.io/umaishow/

umabetさん(@uma_bet)
Kizuna(https://kizuna.uma.bet/)コース図確認

U-toolsさん(@u__tools)
U-tools(https://xn--gck1f423k.xn--1bvt37a.tools/)相性計算ツール、スキル効果確認

GameWithさん(@umamusume_GW)
GameWith(https://gamewith.jp/uma-musume/)イベント選択肢チェッカー、サポカ所持スキル確認等

青いさん(@BurudebI)
https://t.co/sApPr0yg2Z)デバフ検証等

ぴらんさん(@pyran19)
スタミナデバフによる減速影響や、564発動区間に関する考察等

ゆういちろうさん、hukiさん(@yuki31415920)
A+オープンリーグ統計(https://docs.google.com/spreadsheets/d/1tIR8BEQW1UYyy-thzKMus_nbLIhubM0T/edit#gid=945891379

いま野ジャングルミックスさん(@imano_I03)(https://note.com/imano_i03/n/n95994a0ea73e)進化スキルの速度分の利益記事引用

海がオープン鯖一同

その他、ウマ娘の攻略情報の発信者の皆さんや、ウマ娘関連で交流頂いている皆さん

改めて、ありがとうございました。

tkscot(@99_999999999)

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