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写研よどうか生きてくれ

※2021/01/18 16:30追記:こちらの記事は2020年4月〜5月頃に書かれた古いものです。2021年1月現在、モリサワとのデジタルフォント開発提携が発表されました。写研は生きることが決まりました。この記事は記録として残しておきますが、各々最新の情報をご確認下さいますよう宜しくお願いします。


写研が動いているので、簡易的にまとめておこうと思う。2020年4月に、和光市の写研埼玉工場が解体されることがわかったのだ。

写研を知るデザイナーは減ったことと思う。かつて日本の組版は写真植字という技術を伴って行われていた。その先鋒を担い、長らく整った書体や画期的な書体を世に送り続けたのが写研という会社である。

しかしデジタル化する社会に追従せずに写植オペレーターを第一とする方針を取った写研は、世間から姿を消すのではないかという事態にまで陥っている。デジタルフォントのオープン化の話は2010年に浮上したが、それから音沙汰はなかった。

1990年代前後に多くの主要な社員は退社に向かい、それでも息を永らえていた写研の社長を長く務めていた石井裕子氏は2018年9月に逝去された。

その後社長には税理士の南村員哉氏が就き、そして2020年4月、和光市・写研埼玉工場の解体が決まった。

写研の電算写植機ではISDN回線を使用して使用料をカウントしており、昨今も少数のオペレーターから使用料を徴収していたと思われるが、この回線は2024年に終了するという。

このまま何もなく終わるかどうか。

オープン化を一切していなかった写研はインターネットにサイトも持たずにいたが、去る2019年7月に「sha-ken.co.jp」のドメインをついに取得している。
サイトは未完成(もしくは未公開)のままであるが、果たしてどのように動くのか。
話によれば、デジタルフォント化の作業はほとんど終わっているという。

先のわからない状態が続いているが、どうか、生きていてほしい。
美しい資産が、遺産とならないように。文化の喪失とならないように。

お願いします、南村社長。
お願いします、写研。


2020/5/3追記:「デジタル化」としていた文言について一部を「オープン化」に変更

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