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Canal Ventures 2.0 Philosophy ver 0.6

はじめに

『Canal Ventures 2.0 Philosophy 』を説明する前に、先ずはこれまでの経緯とわたしの思いについてお話ししたいと思います。

キャナルベンチャーズ1号ファンド(CVCF1)が組成されて約3年が経ちますが、この4月でようやく2号ファンド(CVCF2)を組成することができました。今回は、GPとなるキャナルベンチャーズの経営陣が全面刷新により一気に若返る中、「戦後最大の人類の危機」といわれる新型コロナ(COVID-19)ショックを迎えることとなり、鳴り物入りのファンドレイズとなりました。

「戦後最大の人類の危機(COVID-19)」
これはこれからの投資活動にどのような影響を及ぼすでしょうか?

2020年4月頭の時点において、世界中の多くの国々で株価暴落、失業者数が増加する状況を迎えています。これがこのまま続けば、リーマンショックを超える未曾有の世界同時不況に陥る可能性があります。

一方で、パンデミックや経済的混乱などの災禍は、新しいニーズや価値観、生活様相をドラスティックにアップデートするため、既成概念をディスラプトするスタートアップが飛躍的な成長をもたらすきっかけになると考えます。実際に2013年のSARS の流行はその後のアリババの成長を促し、2008年のリーマン・ショックによる大不況も、Airbnb とUber をはじめとする数多くのスタートアップの躍進につながりました。

また、今回の新型コロナショック(COVID-19)は、結果的に数年先とみられていたDX(デジタルトランスフォーメーション)を急激に手前に引き寄せつつあるため、当初5〜10年先と考えられていたアフターデジタル(アフターDX)時代は、思いの外、早くやってくるのかもしれません。

このような状況下、わたしたちは、今何を考え、今後どのような行動をとるべきでしょうか。
現時点では誰もコロナショックやアフターコロナの行先は見通せないと思いますが、わたし自身は、今回の事態はわたしたちが今後飛躍していくための試練(ハードル)と捉えております。少々高さのあるハードルではありますが、様々なことを充分注意して慎重に進めつつも、決して逃げずに攻めの姿勢で乗りこなしていけば、必ずやわたしたちが望む世界に一歩ずつでも近づけるものと信じています。
そのためにわたしは今後以下のことを心がけていきます。

1.アフターコロナ、アフターデジタル(DX)社会を見据えた将来ビジョンの具現化
2.環境の変化に強いしなやかなチームの組成
3.ムダな贅肉を削ぎ落とした筋肉質な経営
(コスト管理・経営管理の徹底) 
4. 現状シナリオ以外にも、様々な状況を想定したシナリオを準備
5.上記全てを踏まえた上で出来うる限りのファイティングポーズ
6.大事なことは、信頼と挑戦

これらをふまえ、2020年のキャナルベンチャーズ2.0の投資哲学を以下のように定めました。

投資ビジョン

わたしたちは、『革新的な技術・サービスを探求し続ける起業家』と、『これからの社会・産業を牽引していく事業会社』を紡ぎ合わせて、これまでの社会・産業構造を大きくアップデートしうるエコシステムを創り続けます。そしてこれを通して、あらゆる人がこれまでよりも豊かで、幸せになる『アフターデジタル(DX)社会』の実現を目指します。

投資セクター

新たな事業を興す場合、タイミングは非常に重要と考えます。既にスケールしている市場においては、当たり前ながら既存のビッグプレイヤーがひしめいており、そこで新興プレイヤーが戦って一定のシェアを獲得することは非常に難しいと言わざるを得ません。新興プレイヤーが大きくスケールしていくためには①既存市場のビッグプレイヤーと手を組み、ビックプレイヤーのDX促進を通して持続的成長を図っていくか(Sustaining Innovation)②社会・産業における大きな変わり目において革新的な技術によりゼロイチで産業をおこすか(Disruptive Innovation)③全くの未開拓市場にいち早く入ってリーディングカンパニーとしてのポジションを築き将来市場が大きく成長するのを待つか(Frontier Tech)のどれかを選択することが望ましいと考えます。

これらのことをふまえ、わたしたちは各セクター毎、以下の方針に基づき投資を実行し『アフターデジタル(DX)社会』の実現を目指していきます。

(1)Sustaining Innovation
既存産業ドメインの企業におけるデジタルトランスフォーメーション

既に大きな市場となっている社会インフラについては、今まで日本ユニシスグループが深く関わり合いを持ってきた産業領域ですが、これまで新規参入がほとんどなく大きな変革が起こりにくい領域でもありました。この領域において、わたしたちは自らが結節点となって、事業会社、スタートアップ、及び生活者含めた三者それぞれがメリットのあるDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現していきます。
具体的な領域とDX参入のポイントについては、以下を想定しています。

・金融(Cashless、eBANK, 他)
・電力・ガス(小売自由化, 他)
・自動車(自動運転、車検電子化, 他)
・不動産・建設(契約・登記電子化, 他)
・教育(STEM、プログラミング, 他)

(2)Disruptive Innovation
社会環境の変革や法改正、生活者の価値観変化でうまれる新たな枠組み・市場の領域

昨今、社会環境の変化や法制度の改正、あるいは生活者の価値観の変革により、様々な分野で既得権益で守られてきた産業構造は破壊され、これまでとは異なる枠組み・ゲームルールで市場がゼロから形成されるチャンスがあると考えています。今わたしたちが注目している領域は以下の通りです。

・ニューリテール(OMO, D2C) 
・ニューレイバー&ワークスタイル
(外国人就労、work mobility、在宅オンライン、HR)
・ニューモビリティ(AI, Beyond MaaS)
・ニューエナジー
(P2Pトレード、非化石エネルギー)
・デジタルセールス&マーケティング
(Insideセールス、MA、Customer Success)
・デジタルヘルス(オンライン診療、AI診断)
・スマートトラベル(OTA、スマートホテル)

(3)Frontier Tech
今後大きな成長が期待される未開拓領域

例えばこれまで宇宙産業や量子コンピュータなどはSFの世界のモノであり、現実社会においては程遠い夢物語感がありましたが、急激な技術革新や市場成長により、すでに実証実験はもとより、一部実用化が始まろうとしています。
わたしたちは、この領域については、先ずは一定枠内で少額投資をさせていただき、最先端の情報を入手・分析の上、今後の市場性について見極めていきたいと考えています。
いまわたしたちが、注目している分野は以下の通りです。

・宇宙産業(ニュースペース)
・量子コンピュータ
・ドローン
・ナノテクノロジー 

投資ステージ

文化や価値観が全く異なるため、スタートアップと事業会社間で価値あるエコシステムを構築することは容易なことではありません。また短期間で急成長することを前提に資金を集めているスタートアップは、各ステージ毎に、狙うこと、注力することが異なっており、事業会社が求める品質基準に対応できるのは通例ミドルステージ(シリーズB)以降ではないかと考えます。

わたしたちは、通常の事業会社より少し早い段階から出資を行わせていただき、将来ビジョンを共有しながらも、先ず起業家の方々が求めるバリューアップに最大限に貢献しながら信頼関係を築くことに努めます。そしてその信頼関係に基づき、適切なタイミングで将来ビジョンのリアライズ(事業連携・業務提携等)のご相談させていただきたいと考えています。

具体的な投資ステージについては以下のとおりです。

・シードステージ
・プレシリーズAステージ
・シリーズAステージ

投資ポリシー

投資させていただくにあたって、わたしたちはキャピタリストそれぞれが皆様から信頼され、また常に挑戦を続ける人物でありたいと考えています。これに基づき、わたしたちは以下の投資ポリシーに従って行動いたします。

一、わたしたちは、常に先見的なビジョンと高いコミット力を保ち続けることを目指します
二、わたしたちは、人生をかけて挑戦する起業家の方々を最大限にリスペクトします
三、わたしたちは、自らのできること、できないこと、やるべき時、引き際を冷静かつ迅速に判断し、やるべき時にやれることを全力でやり切ります
四、わたしたちは、自分たちのチームメンバーのみならず、全ての出資先、関係する事業会社との信頼関係、コミュニケーションを大切にします
伍、わたしたちは、お金ではなく、自らを売り物とします 
六、わたしたちは、決して評論家にならずに、常に起業家と同じ目線で伴走し、企業の成長に向けて、自ら持つ知識と経験とネットワークを惜しみなく提供します
七、わたしたちはどんな困難なことがあろうとも、屈することなく常に挑戦し続けます

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