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ラジオ

「自分の命を救ってくれたメディア」
これは言い過ぎかもしれない。
けど、事実なのだからしょうがない。
私は今までに三回死のうとした事がある。
一回目は14歳の頃。ただ「死」への興味だけで死にたいと思った時。
國府田マリ子さんと小森まなみさんの言葉で踏みとどまった。
二回目は23歳。新卒で就職して1年も経たずに尻尾巻いて逃げた時。
鷲崎健さんのトークで自分の人生を考え直した。
三回目は36歳。つまり今。妻も子供もいる。けど辛いこともあった時。
漢那邦洋さんの生き様に救われた。
ここに書いた人は世間で言えば有名ではない。しかし、全員ラジオスター。
自分だけのヒーローなのだ。私はこの4人にすべてを捧ぐことが出来る。
なにせ、捨てようとした命を拾い上げてくれたのだから。
ご本人様が知らないところで重めの十字架を背負ってもらっている。
いい迷惑だなあ。

ラジオとの出会いは12歳の時、父親から小さいポケットラジオを貰った。
テレビは1家に1台の時代に自分の支配下におけるメディアを手入れたのだ。
はまり込まない理由がない。
塾の生き帰り、ご飯食べてるとき、お風呂に入るとき、夜寝るとき、ずっとラジオを聴いていた。ラジオばっかりで勉強しないもんだから母親にラジオを投げ捨てられた事もある。それくらい聴いていた。
人間やりすぎはよくない。飽きがくるのだ。
あとは「ラジオを聴いている俺、かっこいい」で内容など入っていない。
そんな時、人生を決定づける出会いが訪れる。「國府田マリ子のGM」だ。
声優・國府田マリ子さんがパーソナリティーを務める番組で
とにかくこの人明るい。前向き。全力。トークに嘘がない。
私が人生ではじめてふれた「カリスマ」だ。
これで今風に言えば「沼」にハマる。
そこからはすごかった。狂ったようにラジオを聴くようになる。
土曜日は夜の10時から午前6時まで。日曜日は夜の8時から午前3時まで。
あらゆる番組を聴く。聴いて聴いて聴いて新たなカリスマに出会いたい。
自分だけの宝探し。

その宝探し続けること10年。23歳、鷲崎健さんに出会う。
兄貴でもなく、大人でもない。面白い何でも話を聞いてくれるお兄ちゃん。
気持ち悪い表現になっているのは百も承知。
感情の因数分解。物事を俯瞰で見るスタイルが大好き。
相手を立てるトークは惚れ惚れする。
鷲崎さんとの出会いで私自身も変わり、あらゆる人と出会うようになった。
人と話すのが嫌すぎてずっと服を買えずずっと同じものを着ていた人間が。
知らない人と話すようになった。

その人を通して、漢那邦洋さんに出会う。
沖縄のラジオに触れるきっかけでもあった。天真爛漫で爽やか。けど天然。
遠い沖縄を近くに感じる。親しみやすく気軽に番組にモノを送っていた。
無駄に男前で、モノマネが上手いのも楽しい。熱い話をするのも痺れる。

文化放送の片寄さんが言っていた言葉にこんなのがある。
「どれだけ乗り物が進化しても自転車はなくらない。それと同じで人は人の話を聞きたい欲求がある。だからラジオは、絶対無くならない」

23年ラジオを聴いている。
面白くてしかたがない。
ラジオに生かされたんだから。
また死にたくなったらラジオを聴くだろう。いや、毎日聴いてるのだから
嬉しくても楽しくても寝てても射精しててもラジオを聴いているだろう。
ラジオを聴くことは呼吸をしているのと同じだ。生きるってことだ。
私にとっては。

なんて小難しいことを考えながら
今日も今日とて、私はラジオを聴いて生きていくのである。

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