記憶と記録

先日、ソール・ライター展と蜷川実花の個展「うつくしい日々」を観に行った。

私は写真に関する知識は無いし、理解も深いわけでは無い。
好奇心でふらっと足を運ぶことが多いのだけど、その中でも前述の2つの個展はとても素晴らしかった。

ソール・ライターの作品はまさに「日常を切り取った美」として完成されたものだった。シュールレアリスムに影響を受けた世界観も細かい色合いなども含めてあまりに完璧で、展示を見終える頃にはすっかりソール・ライターの虜になっていた。

蜷川実花の展示は衝撃的で言葉が出なかった。
日常そのものというか、写真1枚1枚に渦巻く感情を封じ込めているような気がして、見ていて息が詰まるような気分になった。
父親が亡くなったという背景があっての展示ではあるけど、どことなく悲しくて美しい世界を写真を通じて少しばかり覗くことが出来たなと思う。

ちなみにソール・ライター展は写真NGだったが、蜷川実花の個展は特別に写真撮影OKとのことで、スマホや一眼レフで撮影している人がちらほらといた。

彼らは写真を撮ってどうするのだろう。
SNSにでも載せるのだろうか、自分自身で思い返して楽しむのだろうか。
素敵な作品ほど記録として残すよりも記憶として刻みつけたいと思う。
そう思わせてくれるくらい素晴らしかった、ということにしておこうかな。