2020年慶應義塾女子高校 国語入試問題分析

どうも。

昨日から高校入試の分析を作っています。
私自身の担当生徒の高校入試がようやく明日の東京都立の入試をもって終わるので、ぼちぼち落ち着くかなぁ、と思っていましたが、三月初旬に鹿児島で小論文対策の授業の準備をしたり、来期の各種カリキュラムや模試作成があったり、プライベートも(以下略)で、意外と忙しそうです。

昨日の開成高校の分析はこちら

では、本日は女子の最難関私立高校と言って過言ではない慶應義塾女子(通称「慶女」)について分析を始めます。

〇入試データ(学校ホームページより)
受験者数 454人 合格者137人 倍率 3.3倍
補欠合格者 29名

→倍率は昨年が3.7倍だったのでやや緩和されました。とはいえ母集団を考えると相当厳しい入試であることは間違いないですね。

→ちなみに、補欠合格者は2016年を最後に繰り上がっていません。私の所にもよく質問が来ますが、期待させては酷なので「基本的には上がりません」と伝えています。

〇入試概観
科目別のまとめ
英語→昨年から易化傾向だが、今年も易化。かつては帰国子女生を始めとして英語でガッツリと稼ぐことで「勝ちパターン」を構築していたが、この2年はそれだけでは難しいようなイメージ。
数学→女子高の中では随一の難しさと言われるが、今年は深い理解が必要な問題だった模様。
国語→以下に詳述。

〇国語の入試問題分析
大問1 『いにしえの恋歌』彭丹
→平安から鎌倉期の和歌を取り上げつつ、そこに歌われている自然や人間の感情、とくに恋愛感情について取り上げている文章。評論であるが、結果としてある程度古文の知識が無いと解けないと言う意味では2年前、2018年の大問2と似通っていると言える。

問1 易
漢字。ここ最近は簡単。

問2 やや難
空欄補充。枕草子における「夏」「秋」「冬」についてそれぞれ答える問題。知識というよりも「春以外はなんなのか」を調べる学習姿勢が大事だと思われる。

問3 難
空欄補充。直前の短歌から内容を推測するのだが、その際にこの文章が「恋愛感情」について説いてるものであることを踏まえないとYの答えが入らない。

問4 やや難
文学史。西行、紀貫之、清少納言、小野小町、柿本人麻呂を時代順に並べ替えるもの。中学生にはやや厳しいか。しかし、問2も含めて国語の教科書をよく読もう、という感想しか生まれない。

問5 やや難
理由記述。直後の具体例を抽象化することが求められる。問7

問6 難
①は「人日」の読み。知らないと思われる。②の七草粥を食べることは知っていてほしいレベル。でも、あまりピンと来てない印象。

問7 やや難
理由記述。要素が二つにまたがる。読みながら解いているとボロが出そうな問題。丁寧な作業が求められる慶女っぽい記述。

問8 標準
理由記述。一見分かりにくいが、直後をしっかりと追えば正解できる。この問題はしっかりと取っておきたい。

問9 やや難
換言記述。傍線部の「人の心」の内容を換言できるかがポイント。前後を見てテキトーに答えの候補を探す、という読み方では絶対に解けない。その意味では差のつく問題かも。

問10 やや易
①換言記述と②理由記述。丁寧に追っていけば取れる問題。ここも確実に得点したい。

問11 やや易
掛詞と枕詞を答える問題。慶女に合格したいならこの程度の知識は当然必要。

問12 やや難
換言記述。直後の比喩的な表現を正確に抽象化できるかがポイント。でも、こういう問題こそ慶女っぽい。

問13 やや難
選択肢。「興」について正確に捉えているかが問われる。実質的には内容一致問題。

大問2 『進化論の最前線』池田清彦
→言語学的な観点から日本人の英語教育について述べた文章。読みにくさはあまり感じない。

問1 易
漢字。今年は難しくない。

問2 易
空欄補充。四字熟語を入れる普通の問題。

問3 やや易
理由記述。具体例を追いかけた後に出てくる抽象部分をまとめればいい。

問4 標準
換言記述。直前の具体例をまとめれば良いのだが、どこをまとめるかを正確に判断する必要がある。そこさえクリアーすれば大丈夫。

問5 標準
抜き出し。抜き出し問題は字数の条件など、探すのに手間取るのでできるかぎり後回しにすべき。まあでも、そんなに難しくないかな。

問6 やや易
理由記述。条件を踏まえ、文章をしっかりと追いかければ見つかる。あとはまとめるだけ。

問7 標準
内容一致。いつも通り。そんなに難しくない。

問8 標準
分かち書き。慶女と言えば品詞分解問題。通称「分かち書き」である。

今回は『うまく使いこなせなくなってしまう』の分解。「使いこなせ」と「しまう」の識別がポイントか。でも、ひとときよりも難しくない。

以上となります。大問2が軽いので、そこを取りきれば点数は作れますが、大問1のような知識を要する問題がここ最近の慶女のトレンドです。

これらの問題を取りきるためには「教科書」「国語便覧」「辞書」を使った当たり前の学習が最適です。奇をてらわない良問なので、取り組むまでにしっかりとした蓄積を心がけましょう。

それでは。

よろしければサポートをお願いします。日々の制作の励みになります。