FXもう一度やってみるよ⑫ 課題と対策④ リスク管理

前回の記事で、レバレッジの重要性と具体的なレバレッジの算出方法を説明しました。
この流れで、リスク管理の話をします。

前回の記事で触れましたが、ぽんぽんとポジションが増えていったときに、全体としてのリスク管理をどうするか、という課題があって、そのために「実質レバレッジ」(オリジナル用語)というものを持ち出しましたが、FXの知識がおありの方の中には、証拠金維持率でよくね?って思われた方もいると思います。
私も記事書いた後で、証拠金維持率からリスクを求める考え方で説明すればよかったとちょっと後悔してます(笑)。

口座情報として見える証拠金維持率は、その口座全体でのものなので、もしその中で複数の通貨ペアを積み立てる場合には、口座全体としての指標である証拠金維持率では、個別の通貨ペアにおけるリスク管理には若干甘いんです。
実は私はトルコリラも少し、積み立てではないですが持っていて、そのために通貨ペア別のリスク管理の必要があってそうしているのです。しかし説明が面倒くさくなっちゃうので、この連載では今後は1通貨ペアを前提にします。

証拠金維持率をリスク換算してみる

証拠金維持率とは、取引の規模(具体的には必要証拠金)に対する、現在の時価でのポジションの評価額の割合で、2倍なら200%と表されます。
要は、今どれだけ余裕があるかです。

現在のポジションの評価額は、業者によっては資産評価額とか有効証拠金など言葉がまちまちですが、意味は「証拠金+含み損益」です。
私的には「資産評価額」がしっくりきます。
以後この「証拠金+含み損益」を「資産評価額」と呼ぶことにします。

で、この証拠金維持率から何を把握すればよいかというと、現在のレートからいくら値下がりしたらロスカットされるのか(=レートがいくらまで耐えられるか)です。前の記事で「実質レバレッジ」について述べましたが、それと目的は一緒です。

たとえばいま米ドル円が100円、10万ドルロング(買い)していて、証拠金維持率1000%とします。
必要証拠金は、100(円)×10万(ドル)×0.04で、40万円(実際は業者ごとに必要証拠金の算出方法は違いますが、だいたい同じ程度です)。

ちなみにx0.04はレバレッジ25倍のことですね。取引するのに必要な資金(必要証拠金)が実際の取引規模(上の例なら100円x10万=1000万円)のx0.04(25分の1)でよい、ということは、資金の25倍までふっかけて取引できる、ということとイコールですね。なので必要証拠金はx0.04するわけです(ただしレバレッジ25倍は国内業者に課せられる規制なので、海外業者の場合は別です)。

話を戻します。
その必要証拠金40万円に対して資産評価額が1000%ということは、400万円。
その業者のロスカット基準が仮に100%だとすると(業者によって微妙にルールが違う)、資産評価額が必要証拠金の100%(つまり同額)になったらロスカットなので、ロスカットまでの余力は360万円。
今10万ドル持っているので、この360万円はレートが36円下がると枯渇します。
つまり、現在のレートは1ドル100円なので、1ドル64円までは耐えられる、と言うことになります。これがロスカット価格です。

リスク管理で見るべきはロスカットラインの価格

リスク管理は、このロスカット価格が見えていることが大事です。
証拠金維持率だけで、何%だから安全だ、危険だ、と判断するのは危険です。何故なら、具体的に何をどうすればどれだけ危険性が改善するか、わかりますか?って話です。

リスクへの対応

リスクを改善するには、証拠金維持率を改善すればよいです。
証拠金維持率を改善するには、2つの方法があります。分子(資産評価額)を増やすか、分母(必要証拠金)を減らすか。
分子を増やすには、資金を追加するしかありません。
分母を減らすには、持っている通貨を減らす(決済する)しかありません。
打ち手はこの2つに限られます。

では資金をいくら追加すればいいのか。また通貨をいくつ決済すればいいのか。

ロスカット価格が80円だとして、それをあと10円下げたい場合。
10万ドルもっているなら、10円x10万=100万円。資金を100万円追加すれば、ロスカット価格は10円下がります。

分母を減らす(必要証拠金を減らす)場合は、ちょっと計算が難しいですが、論理的には、通貨を減らした分必要証拠金が減るので、その分余裕が増える。元の余裕とその増えた分の余裕の合計を、決済した後の通貨数で割れば、ロスカット価格が求まります。それが70円になるように計算すれば決済する数量が求まりますね。方程式。

1ドル100円、10万ドルロング。資産評価額240万円(このときロスカット価格80円)、目標ロスカット価格70円。減らす数量をXとすると、
(240万円-100円*(10万ドルーXドル)*0.04)/(10万ドルーXドル)=30円
この方程式を解けば決済すべき数量が求まります。

結局、リスクに対して具体的にとれる2つのアクションを考えれば、ロスカット価格が見えてないといけません。
このロスカット価格が今の価格の10円以下なら、まあ1日宵越しするにはほぼほぼ案パイなのかなと思います。
でも保証はできないので、あくまで自己責任で判断してください。

私は通常は余力10円(ロスカット価格が現在価格から10円下)というのを目安にしてますが、GWとか正月とか、ヘッジファンドが仕掛けてきそうな薄商いの時期は一時的に資金をできるだけ入れて、無事乗り切ったら資金を出す、とうことをしています。

通貨数が増えれば増えるほど、リスク回避のための投入資金は多くなる

これはあたりまえなんですが、たとえば、1万ドル持っている状態と10万ドルを持っている状態では、ロスカット価格を○円下げる場合に追加必要な資金は変わります。

ロスカット価格を1円下げたい場合、1万ドルなら1万円の追加でよいですが、10万ドルなら10万円です。
私の場合は年でまあ4万ドルくらい貯まるんですが、たとえば10年続けると40万ドルになりますが、40万ドルに対してロスカット価格1円下げようとすると、40万円必要です。

リスク回避のために資金を増そうと考えるシチュエーションというのは、結構危険な雰囲気がしているときなはずで、ロスカット価格を5円とか10円とか下げたいはずです。そのとき、40万ドルなら5円さげるためには200万円、10円下げるためには400万円必要となります。いざというときにそのくらいの資金をすぐに投入できるのか?
・・・というのもウォッチしておいたほうがよいです。まだ積立始めて浅いうちはよいですが、いずれは意識したほうがよいです。

私の場合、管理用エクセルに緊急時に投入できる資金の額を入力してあって、その資金を入れたらロスカット価格がいくらになるのかが自動的に算出されるようにしています。
用意できる緊急資金に対して持っている数量が大きくなりすぎないように、買い控えもありえるということは意識しておく必要があります。

まとめ

大事なのはロスカット価格を知ること。
そして、ロスカット価格の目標から逆算して、いくら資金を追加するのか、あるいはいくら通貨を決済するのかを常に把握する。
決して、証拠金維持率だけで判断しない。



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