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FXもう一度やってみるよ⑩ 課題と対策② 通貨ペアとFX会社

ドルコスト平均法は、購入価格の平均を下げていくことが狙いですが、その最終的な目的は、為替差益を得ることです。
なので、10年20年のスパンで、利益が乗っている場面がより多く期待できる通貨ペアを選択したいところです。

また、どうせならスワップポイントもなるべくもらいたいところですが、スワップポイントはFX会社によっても違うため、FX会社選びも絡んできます。

ということで、通貨ペアとFX会社はセットで考える必要があります。

通貨ペア

理想の通貨像は
・為替差益が得られる
・スワップポイントが高い
・スワップポイントがマイナスにならない
となりますが、これら全てが常に成立するような虫のいい通貨はありません。
けど、なるべくそれに近い通貨というものはあります。

■為替差益が得られる

なるべく利益が乗っている場面が多く期待できること。
そのためには、「価格はいずれ戻る」という為替の基本的な性質が現れやすいこと。
そのためには、流動性が高いこと。
結論は、米ドル、ユーロ、ポンド、円、豪ドルあたりのメジャー通貨です。これらのメジャー通貨の中でペアを検討します。

トルコリラや南アフリカランドなどの新興国の通貨は、スワップポイントが高く長期運用で人気ですが、メジャー通貨に比べて流動性が低く、いずれ価格が戻るということが過去のチャートを見る限りあまり期待できません。
スワップポイントで為替差損のリスクをペイするという考えもありますが、ドルコスト平均法はあくまで為替差益を狙うものなので、スワップポイントは二の次、あくまで価格が戻ることの期待を重視すべきです。

また、できれば、10年スパンで見て、現在の価格が比較的安い価格帯にあるとなお良いと思います。その方が将来、利益が乗っている場面がより多く期待できます。

■スワップポイントが高い

スワップポイントは高いに越したことはないですが、通貨ペアの両国の政策金利の差で決まる変動的なものなので、一時的に高い安いと言ってもあまり意味はありません。

ただし、長期的に高めの通貨というものはあって、豪ドルはその筆頭です。
さすがに純粋な額の比較ではトルコリラに劣りますが、メジャー通貨であること、長期的にスワップポイントが高水準を維持していることから、積み立て対象としてはトルコリラなどの高スワップポイントの新興国通貨よりも現実的だと思います。

現在(2018年12月)、メジャー通貨の中で米ドル円ロングのスワップポイントがかなり高水準で、スワップ運用における通貨としてオススメしている記事がネットで見受けられますが、重要なのは、高いことよりも、高水準の状態が長期で維持されていることです。

以下はおよそ過去10年の、米ドル円ロングと豪ドル円ロングのスワップポイントの推移(ヒロセ通商)をグラフ化したものです。

縦軸はロング1000通貨あたりのスワップポイント。横軸は日付。
青い線が米ドル円のロング、黄色の線が豪ドル円のロングによるスワップポイントです。
ヒロセ通商は豪ドル円のスワップポイントの固定提供(5円/1000豪ドル)をしていて若干比較対象としては不適切なんですが、固定提供はスワップポイントのベースが基本的に高水準であるということを前提としたサービスなので(ヒロセは実際に厳しい状況になると固定提供を解除します)、他のFX会社でもヒロセの提供する豪ドル円スワップポイントに若干少ない程度のスワップポイントになっています。

グラフからは、現在の米ドル円ロングのスワップポイントの高水準さが確認できますが、2018年に入って急に上がってきたものであって、長期で見るとそれほど美味しいわけではないことがわかります。
長期で見れば、豪ドル円の方が断然有望です。目先の高さに飛びつかないようにしましょう。

■スワップポイントがマイナスにならない

スワップポイントは通貨ペアの両国の政策金利の差で決まるので、ある日もらう側から支払う側へ立場が入れ替わってしまう可能性はあります。それでも、日本は長期で低金利政策が継続しているので、対円の通貨ペアでロング(買い)で入れば、ほぼ、スワップポイントをもらえます。日本人としては有利な条件かもしれません(とはいえ、それぞれのFX会社でスワップポイントがどう推移しているのかはマメに確認すべきです)。

スワップポイントのプラスマイナスを、いくつかの通貨で見てみます。
以下はユーロ円ロング、ポンド円ロング、スイスフラン円ロング、カナダドル円ロングの推移です。

ちょっとごちゃっとして見辛いかもしれませんが、ユーロ円ロングが赤。スイスフラン円ロングは黄色。ポンド円ロングとカナダドル円ロングは寒色系です。
ユーロ円ロング、スイスフラン円ロングは、マイナスの程度の方がむしろ大きく、これなら逆にショート(売り)で入った方がスワップポイント的には良いですが、それでもプラスマイナスが安定しないので、スワップポイントを考慮するとユーロ円とスイスフラン円は選択肢から除外されます。

ポンド円ロング、カナダドル円ロングは基本的にプラスで推移しています。
しかし、いずれも豪ドル円に比べれば低水準です。これだと豪ドル円を差し置いて選択する意味はほぼありません。

■結論

豪ドル円の一択だと思います。
グラフには示しませんでしたが、ニュージーランドドル円ロングもそれなりに長期で高水準ですが、豪ドル円と比べると若干見劣りします。

メジャー通貨であり価格が戻るという性質が現れやすく、長期でスワップポイントが高水準で推移している。
これらの必要な条件を高い水準で満たす通貨ペアの中で、豪ドル円は最善の選択でしょう。

FX会社

理想のFX会社象は
・運用する通貨ペアのスワップポイントが高い
・企業として安定している
・未決済スワップポイントに税金がかからない
です。最初の2つは思いつくと思いますが、最後のは、そういうことがあるって知っていないと思いつかないですね。実際私も後になって知ったくらいです。
では順に見ていきましょう。

■運用する通貨ペアのスワップポイントが高い

スワップポイントは通貨ペアごとに違うので、ここでは豪ドル円のロングにフォーカスして、FX会社を検討します。

豪ドル円ロングのスワップポイントはヒロセ通商が有名です。ヒロセ通商は豪ドル円ロングのスワップポイントを原則固定(1000ドル5円/日)で提供しており、国内FX会社では一番高いと考えてよいと思います(瞬間風速的には同じ位の会社があるかもしれません)。
なので、豪ドル円でスワップ重視なら、ヒロセ一択です。

しかし、「スワップ重視なら」という但し書きがつきます。
ヒロセは1,000通貨単位での取り引きですが、ここがドルコスト平均法と噛み合わせが決定的に悪いんです。

1通貨単位で取引できないとすると、ドルコスト平均法で今日は800ドル買うとなっても、えいやーで1000ドル買うか、または買いを控えることになります。これだとドルコスト平均法の効果は現れづらいです。
保留分が1000ドルを越えたら超えた分だけ1000ドル単位で購入するという運用も不可能ではないですが、かなり管理が面倒になりそうです。

私はスワップポイントはあくまでオマケという考えなので、スワップポイントの高さよりは、1通貨単位で取引できるというドルコスト平均法との噛み合わせを重視します(ヒロセの豪ドル円ロングのスワップポイントが他の会社と比べて2倍くらい高いということなら話は違ってきますが・・・)。

1ドル単位で取引できるFX会社は、私が先日軽く調べたところ、2社だけでした。SBIFXとOANDA JAPANです。
私はSBIFXで運用していますが、SBIFXに決めたときは他の選択肢はあまり検討しませんでした。
豪ドル円ロングのスワップポイントは他のFX会社と比較して標準的ですし、企業としても安定感があるので。
現在も特に不満点は無く、今後も乗り換えるつもりはありません。

■企業として安定している

FX会社が経営破たんなどで消滅する、ということは可能性はあまり無い、というか考えてもきりが無いですが、親会社が安定した大企業であれば、いざというときのリスクは比較的低いと思います。
FX会社自体か、その親会社が東証1部上場していれば文句なしです。
SBIFXは親会社(SBIホールディングス)が東証1部上場なので、安定した経営が期待できます。
でもこのあたりはあまり神経質になる必要性は無いかなと。有名どころなら大丈夫でしょう(と割り切って先に進んだほうが良い)。

■未決済スワップポイントに税金がかからない

これ、結構マニアックな部類の話だと思うんですが、スワップポイントに対してどのタイミングで課税されるかは、FX会社ごとに違います。

パターンとしては、
・ポジション未決済で課税される
・ポジション決済したら課税される
です。

これ、実運用でどう影響してくるかというと、ポジション未決済で課税されると、その年に得た分のスワップポイントに対して毎年きっちり確定申告で税金を払う必要が出てきます。
この点、決済して初めて課税される場合は、税金はその年に確定した損益だけで見ればよいので、課税額の把握が容易ですし、その年の利益が20万を越えない範囲でポジションを決済するといったコントロールもしやすいです。
ちなみに、その年の雑所得による利益が20万を超えなければ、その雑所得分の納税は必要ありません。

10年で、スワップポイントが200万円貯まるとします(為替差益は便宜上0円とします)。
毎日増えた分に課税される場合は、最終的には200万円に対して20%の40万円を納税することになります。
しかし、決済しないと課税されない場合は、10年間毎年、利益が20万以下に収まるように決済すれば、200万円がまるまる非課税(ほんとうは非課税ではないんですが、便宜上非課税と書きます)にできるので、前者の場合で支払うことになった税金40万円分得をします。
要するに、やりようによっては、最終的な総利益のうち「20万円x継続年数」の額を非課税扱いにできるということです。

まあこれはかなり論理上の話であって、実際はこんなにスッキリした運用にはならない気がしますが、それでもそういうやりようの選択肢があるという点で、決済しなければ課税されないFX会社を選んだほうが良いと思います。

SBIFXは未決済ポジションのスワップポイントには課税されません。
ヒロセもです。
会社によってばらつきがあるので、下調べは必須です。

■結論

私はスワップポイントの高さよりも1通貨単位で取引できる利便性を重視するので、SBIFX。
もしスワップポイントの高さを重視し、1000通貨単位のざっくり運用でもよければ、ヒロセ通商。
いずれも未決済ポジションのスワップポイントには課税されないので、そこもプラス評価。

まとめ

通貨ペアは、安定性(価格は戻る)とスワップポイントの長期高水準推移を評価し、豪ドル円。

FX会社は、ドルコスト平均法との噛み合わせ重視(1ドル単位取引可)でSBIFX。
次点で、豪ドル円スワップポイントの高さ重視でヒロセ通商(ドルコスト平均法との噛み合わの悪さはトレードオフ)。

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