サザエさんで学ぶ市販の風邪薬の売り方



サザエさんを例に市販の風邪薬の販売について考えていきたいと思います。

ちなみに年齢は以下の通りです。

サザエ 24歳
波平 54歳
フネ 50ン歳
マスオ 28歳
カツオ 11歳
ワカメ 9歳
タラオ 3歳
伊佐坂先生 60代
ウキエ 16歳

フジテレビ
https://www.fujitv.co.jp/sazaesan/character.html



カツオの場合

カツオくんは見る限り小学生っぽいですが年齢確認は必須になります。そもそもどの薬でも年齢確認は重要ですが、こと風邪薬においては小学生~中学生辺りの年齢の確認はより重要となってきます。

その理由としてはジヒドロコデインの使用可否の判断のためです。

カツオくんは11歳ですが、11歳ならばギリギリ風邪薬のジヒドロコデインは使用する事ができません(ジヒドロコデインは12歳未満は使用不可)。ですからジヒドロコデインを避けた風邪薬を推奨する必要があるため年齢確認が必須になってきます。

では仮にカツオくんがひどい咳があった場合はどうすればいいのでしょうか。「ジヒドロコデインは強い咳止め薬」と習った人も多いでしょうから、できればジヒドロコデインを推奨したい人も多いと思います。「ジヒドロコデインが無理なら1つでも咳に効く成分が多い風邪薬を選べばいい」と思う人もいるかもしれません。

ただこの答えはシンプルにデキストロメトルファン配合風邪薬を推奨するようにしてください。と言うのも実は風邪の咳に対してジヒドロコデインはほとんど効果を発揮しません。ですからデキストロメトルファン配合風邪薬を選択すればOKです。何も迷う必要はありません。咳に効く薬を覚える時にはデキストロメトルファン配合の風邪薬だけをピンポイントで覚えればOKです。


また15歳未満はイブプロフェンやロキソプロフェンのNSAIDSも使用できません。すると「ジヒドロコデイン非配合」「NSAIDS非配合」の中で11歳でも使える風邪薬と言えば新コンタックかぜ総合は1日2回で済みますし条件を満たしているため推奨可能です。もし喉の痛みもあるならばベンザエースAやルルAゴールドDXαはトラネキサム酸も配合していますのでこちらの方がいいかもしれません。


ウキエの場合

ウキエさんは16歳。15歳以上ですのでイブプロフェンも使用可能です。すると選択肢としては格段に小児(15歳未満)と比べて多くなります。
特に有用なものが喉の痛みです。もし喉がひどい場合にはイブプロフェン+トラネキサム酸の形がベストになります。中でも市販薬最高量の200㎎のイブプロフェンを配合している風邪薬も発売されていますからその中から選択するといいでしょう。

具体的な薬を挙げるとCMも流れているベンザブロックLプレミアムは推奨しやすいと思います。フィギュアスケートが好きならば浅田真央さんCMのストナアイビージェルEXでもいいでしょう。いずれもイブプロフェン200㎎+トラネキサム酸の形になります。


波平の場合

波平さんは見た目は高齢者ですが年齢は54歳で江口洋介や夏川結衣と同じ年です。ですから高齢者の括りではなく薬も幅広く選択する事が可能です。ただ年齢が上がるにつれて基礎疾患の可能性は高まります。

例えば波平は激怒する事が多いため高血圧の持病があるとします。するとメチルエフェドリンや葛根湯などに配合されている「麻黄」は血圧に影響を与えてしまうため選択肢から外れてしまいます。甘草(グリチルリチン酸)も偽アルドステロン症のリスクが高まるため避けた方がいいでしょう。またNSAIDSの中には血圧の薬に影響を与えてしまうものもあるためNSAIDSを避けるに越したことはありません。


では具体的に何を推奨するのかと言いますとパブロンSゴールドWは血圧に影響を与える成分は一切配合されていませんので推奨可能となります。また咳なら咳止め、喉の痛みなら喉の薬と言った具合に個別の症状に応じて薬を提案するのも1つの選択肢となります。

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マガジン第2弾と言う事で今回は「風邪薬」をテーマに一般の参考書には書かれていない現場で使える知識をQ&A形式でまとめました。

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