ハロプロのマネージャーについて考える【後編】

前回はすっかりI氏にスペースを割いてしまったが、この辺り以降のマネージャーたちは山田氏までの人たちと違って表に出てくる事がほぼ全く無い為、意識して見なければ存在を感じない。
それゆえ、一部の人たちはメンバーが何から何まで決めていると錯覚し、メンバーの個人SNSアカウントなどにまで踏み込んでしまう。
ファンは、推しを担当しているマネージャーがどういう人なのか、多少は知っておく必要があるのではないかと思う。

O氏

I氏の後任でアンジュルムのチーフとなったが、アンジュにはI氏が異動してくるよりも前から現場付きとして担当していた。
I氏のようなお気に入りとそれ以外の差別こそ無いものの、積極的には動かない人間。O氏がチーフに就いてから、アンジュルムの公式Twitterアカウントはすっかりブログ更新通知専門アカウントと化した。
O氏のチーフ着任と時を同じくして船木結と川村文乃が加入したが、17年秋の中野サンプラザ公演を2人の“お披露目公演”と位置付けたものの、初披露の新曲以外は申し訳程度の歌割があるだけでさほどフィーチャーされるでもなく、「『何がお披露目だよ』と思っていた」と2人は後年語った。
また、「自分の加入で勢いが付けられず申し訳ない」と泣く川村を「貴方の責任じゃない」と和田彩花が慰めるという出来事もあった。

中西香菜・勝田里奈・室田瑞希が卒業の相談をしだしたのが公式アナウンスによるといずれも2018年秋~末頃であったとしていて、O氏チーフ期にあたるのだが、その直後の2019年初頭にO氏は異動することになり、そういった中でその旨を後任にちゃんと引き継いでいなかったのではと思う。
そうして、それぞれの卒業を廻ってつまづきだした。

S氏

O氏の後任。積極的には動かないという受け継がなくていい面まで受け継いでしまった。
そのうえ、その場しのぎの口先だけは上手いという厄介な面もあった。

2019年9月頃、太田遥香が自身のバースデーイベント(10月21日生誕)が無いのは何故かと質問したという。それに対しては「加入から1年経ってないから」と答えた。しかし太田はデビューが後のBEYOOOOONDS(特に、現Seasoningsの3人はお披露目も後)はやっているのに?と。それに対して、簡単に言えば「よそはよそ、うちはうち」という意味合いの事を答えたそうな。
ところが後になって、ある1つの不自然な点が浮かび上がった。7月7日が誕生日である川村文乃のバースデーイベントの模様を収めたDVDがなかなか発売されず、10月30日が誕生日である譜久村聖のものなどと同じタイミングでようやく受注受付がされた。これは、ファンクラブ側は太田のイベントもあるものだとして、川村のものと抱き合わせた形で売ろうと予定立てていたからではないかと。
単に伝達不足だったからというのも十分考えられるが、この頃ちょうど、太田は遅刻が目立ち始めていた。9月上旬に行われたイベントでは自身の出演回に間に合わず、ついに丸々穴を空けてしまった。また、ラジオ発の企画である“ばくわらミッション”に取り掛からず一時は誤魔化そうと言い訳したという事もあった。
そういう太田の意識の低下に対して、“干す”ことにし独断でバースデーイベントを召し上げたのでは?
また9月25日に行われた勝田里奈の卒業コンサートにおいて、デビュー曲「恋はアッチャアッチャ」の『四六時中』という太田が歌う印象的なパートが室田に変更されていた。これも“干す”一環だったのか?さすがにこれはマネージャーではなく歌指導の先生による別の理由の判断だと思いたいが。
(直後の『胸騒ぐ』も伊勢鈴蘭から川村に変更されていたが、伊勢は既に他にも幾つか歌割を任せられていたので、これがほぼ唯一と言っても過言ではない太田ほどのショックは無い)
しかしこれらは結果として、一般企業に例えれば閑職に追いやるようなもの。その後の問題行動に走る一因になったように感じる。

その後、バースデーイベントを召し上げたのはさすがにやり過ぎたと思ったか、これで埋め合わせにはならないにしても、11月の竹内朱莉のバースデーイベントに伊勢鈴蘭・橋迫鈴と共にサプライズゲストとして出させた。しかし皮肉にも、これも問題行動の1つに繋がってしまったのだが。
なお、歌指導の先生も気にしていたのか、11月4日のパシフィコ横浜公演では「帰りたくないな」の歌い出しを太田と伊勢の2人に任せたが、これも遅きに失したか。

太田に限らず他メンバーに対しても、その場しのぎで躱そうとした疑わしき事例があるが、述べたい本題からややズレてくるうえ長くなりそうなので、また別の機会に触れたい。
いずれにしろそんな調子だから、中西・勝田・室田から「私の卒業はどうなっているんですか?」と言われても真剣に向き合おうとせず、更にそれがカントリー・ガールズ側との連携不足に繋がり船木の卒業発表からは大わらわだったであろうことは想像に難くない。

こうして、スタッフのやる気の無さはメンバーの人間関係までも揺るがせてしまう事だってある。
S氏は、コロナ禍にともなう最初の緊急事態宣言が明けた2020年初夏に、御役御免となった。

K氏

時期を数年遡って、Juice=Juiceが「LIVE MISSION 220」に明け暮れていた頃。その約2年の期間をほぼ丸々メンバーと共にしていたのがK氏である。「ギャルマネ」と言った方が通りは良いか。なお、K氏はチーフではないのかもしれない。
Juice=Juiceメンバーとは最終的にはまるで友達のような間柄になり、良好な人間関係は築けていた。ただ、220の濃密な時間を共に過ごしたことでヲタとの距離感も曖昧になり、「移動中の駅や空港などで付け回すような半ストーカーのおまいつ(いわゆる常連。おまいつもいるなの略)を優遇している」との声が聞かれることもあった。
そんなK氏は、2017年3月末でJuiceからこぶしファクトリーの担当に異動することになった。担当する最後のライブの際にはメンバーの何人かは泣いてしまった。

さて、異動先のこぶしファクトリーでは、というと。
この頃、藤井梨央が大学に進学。仕事との調整が発端となり、着任早々から藤井との関係は急速に悪化。5月上旬には「学業に専念する為」として9月での卒業を発表。
しかしその後も事態は収まらず、苛立ちを抑えきれない藤井が“マネキンの腕で握手”をするなどトチ狂った挙句、ハロコンリハのボイコットという暴挙に出て7月で契約解除。
加えて、小川麗奈が「心身の不調」であるとして休業。そしてK氏は7月半ばから、こぶしの現場から姿を消した。言わば、喧嘩両成敗。
わずか百十数日の、なんともスピード感に溢れた悲劇。風の噂では、ファンクラブ業務担当に異動したとか。
この事をきっかけとしたこぶしファクトリーのパワーダウンは、5年で解散という結末を迎えた最後まで尾を引いた感がある。

Juiceメンは皆大人でいられたからこそ“友達のような関係”が成立していたが、子供にはある程度の厳しさも必要だ。しかし、厳しさを取り違え、私的感情を剥き出しにするのは「責任あるマネジメント」ではない。

T氏

ギャルm…いや、K氏が離れたJuice=Juiceはいっとき停滞したが、メンバーの追加もあって次第に上昇気流に乗り出す。2019年には「「ひとりで生きられそう」って それってねぇ、褒めているの?」がバズり代々木第一体育館公演も敢行するなど、グループの最高到達点と言える年となった。
SNSの発信も熱心に行い、せっかくノウハウを心得た川村文乃を擁しているのにも関わらずそれを全く活かす気のないアンジュルムとは発信に関して雲泥の差だった。

ところが。
2020年、コロナ禍にともなう最初の緊急事態宣言が明けたタイミングで、その雲泥の差はひっくり返る。
この頃からチーフになったのがT氏。言ってみれば、この頁最初に出したO氏と同類の人物。
その積極性の無さは、愛嬌が服着て歩いてるような存在の段原瑠々でさえも「メンバーから発案しないと何もしない」とこぼすほどである。

愚痴をこぼすだけで済むのならまだ良かったが、高木紗友希があのような末路を辿ったのも、金澤朋子が加入したばかりの3flower(有澤・入江・江端)に我関せずだったのも、何もしなさゆえにT氏が舐められていたからではないかと思う。
また、その3flowerもさらなる新メンバー加入が決まった際に「自分たちでは力不足だったのかと話し合った」そうで、まるでO氏と川村の関係の再現である。
そんなT氏も昨年2022年夏前に異動になったと思われ、Juiceはようやく再構築の道を歩み出した。


近年デビューするグループは、マネージャーの一存だけで色々な事が決まったりしないよう、BEYOOOOONDSは作家と博報堂が絡んでいるし、OCHA NORMAも博報堂が絡むなどしている。
それから、OCHA NORMAのデビューシングル発売日だった2022年7月13日。その日のメンバーのブログは、デビューをするという事の何たるかをちゃんと教えられ、そしてその意識をちゃんと共有できていることがありありと感じられ、非常に感心した。
コロナ禍で一時は芸能そのものが危機に瀕したことと、半ば惰性的にメンバーを採るようになっていた結果太田遥香に道を踏み外させた反省。今は、その教訓が活かされ、かつてよりは風通しの良い体制になっているように思う。
この調子で、メンバーが悲しむ事の無いような未来のハロプロ作りに励んでほしい。

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